通信速度100倍!?4Gとの比較から見る5Gの特徴や課題を解説

NTTドコモやソフトバンクなど、大手キャリアが次々と商用サービス開始を発表し話題となっている「5G」。テレビやネットなどで言葉を耳にしたことはあるけれど、5Gについて具体的には理解できていない、5Gで何ができるの?と疑問に感じている方も多いのはないでしょうか。

今回はそんな方々のために、5Gの特徴を現在私たちが使っている4Gと比較しながら解説していきます。また、5Gによって実現される未来や5Gが抱える課題などについても、併せて解説します。

何かすごい?4Gと比較から考える5Gの特徴

そもそも5Gとは「5th Generation」の略称で、日本語では「第5世代移動通信システム」という意味を持つ言葉です。5Gは現在の移動通信システムの主軸である4Gに代わる最新の通信技術として注目を集めています。

ではこの5G、従来の4Gと比べると一体どのような点が優れているのでしょうか?

大容量高速通信

5Gの第1の特徴は大容量かつ最大で20Gbps(理論値)の高速な通信が可能になるという点です。

約100Mbpsから1Gbpsの4Gの通信速度と比較すると、その通信速度差はなんと最大で100倍!5G環境下では、今までダウンロードに30秒かかっていた2時間の映画が、3秒でダウンロードできるようになると言われています。

データ量の多い4Kや8Kなどの超高画質動画の通信や、IoTによる大容量のデータ通信にも対応することができるため、現在よりもはるかに快適に通信を利用できると考えられています。

高信頼低遅延

2つ目の特徴は、高信頼低遅延。通信遅延とは、データの送信と受信との間に生じるタイムラグのことです。LINEやSkypeなどのビデオ通話を利用した際、少し音声や動画にズレを感じたという経験がある方も多いはず。それが通信遅延と呼ばれるものです。

5Gではこの通信遅延が非常に小さいため、遠隔地との通信でも遅延が起こりづらく、より安定した接続が可能なると言われています。5Gの通信遅延は1000分の1秒以下で、4G(4Gの通信遅延は100分の1秒)の10分の1。

圧倒的な低遅延を実現することで、高い信頼性が必要とされる自動運転技術や機械などの遠隔操作、遠隔制御技術での活用や、クラウドゲームでの利用が期待されています。

同時多数接続

3つ目の特徴は、同時多数接続です。私たちが利用しているスマートフォンや携帯電話の電波は、直接相手に届くのではなく、一度基地局を経由してから、相手に届いています。

同時多数接続とは、ひとつの基地局に複数のデバイスを同時に接続することを指します。5Gではこの同時に接続できるデバイスの数が飛躍的に増えると言われています。その数は実に4Gの100倍。

5Gの同時多数接続により、スマホやタブレットなどのモバイル端末だけでなく、家電やウェアラブル端末など身の回りのあらゆるものがインターネット接続されるlot時代がさらに加速すると言われています。

生活が一変する!?5Gが実現する未来

5Gが普及すると今までできなかったことが可能になり、私たちの生活やビジネスは大きく変わるとも言われています。
実現によって可能になることや、活用が期待されるケースについて詳しくみていきましょう。

5G×エンタメ

5Gの凄さを私たちが1番実感しやすいのはエンタメ分野かもしれません。

例えば、5Gの大容量高速通信や高信頼低遅延により、4Kや8K映像といった大容量のコンテンツをスムーズにライブ視聴することができるようになります。特にスポーツやライブなどの音楽イベントでは、離れた場所にいてもまるで会場にいるような臨場感を味わうことができます。

また、VRやAR、MRなどの分野でも大幅な技術進歩を見込むことができると言われています。5Gの実現により、VRやARがライブやイベント、ゲームなど活幅広い分野で活用されるようになるのは間違いないでしょう。また、今より更に没入感の高いコンテンツが生み出されることも期待されています。

5G×自動運転

5Gの高信頼低遅延という特徴を生かすことで、車の自動運転技術の向上やコネクテッドカーが広がることが期待されています。

ネットワークに接続して走る車が増えることで、車同士が通信し合い、一定の車間距離を保ちながら安全に走行できるようになったり、アクセル、ブレーキなどの情報をタイムラグなく伝達することで衝突を回避したりといったことが可能になります。5Gの実現で、自動運転車が増えれば、渋滞や交通事故は低減するとも考えられています。

5G×医療

5Gの大容量高速通信や低遅延という特徴は、医療分野でも役立つと考えられています。特に、遠方にいる医師が診断や手術の助言を行う遠隔医療の可能性は5Gの実現でさらに広がると言われています。

遠隔医療が本格的に稼働すれば、地方都市における医師不足が解消され、都市部と地方の医療格差をなくすことができると考えられています。

また、将来的には遠隔地にいる医師がリモートコントロールできる機器を使い、より詳細な診断や処置、手術等を行うことも可能になると言われています。

導入には障壁も!5Gが抱える課題

私たちの個人の生活をより豊かにしたり、企業の技術開発の促進や競争力アップにもつながるとされる5Gですが、サービススタートにはまだまだ課題も多く残されています。

5Gが抱える課題について紐解いていきましょう。

セキュリティ対策

5Gにより私たちの身近のあらゆるものがインターネットに接続されるようになった場合、セキュリティ対策は今以上に重要になってきます。

スマホなどのモバイル端末はもちろんですが、特に注意が必要なのは家電などのlot機器です。

サイバー攻撃者はスマホなどと比べると、どうしてもセキュリティ対策が疎かになりがちなlot機器を狙い攻撃を仕掛けてくる可能性が高いと言われています。

ハッキングや不正アクセスは個人だけでなく、企業や社会に大きな影響を与えるリスクがあるので、セキュリティ対策は万全にする必要があります。

エリアとサービス

2020年3月より5Gの商用サービスが開始されましたが、提供されるのは都市部などのごく一部の地域のみ。基地局の整備など問題もあり、全国的に展開されるようになるにはまだまだ時間がかかるとされています。

また、5Gならではのコンテンツやサービスはまだまだ圧倒的に少ないのが現状です。現在の4Gで満足しているユーザーを5Gに取り込むためにも、5Gでしか体験できない魅力的なコンテンツやサービスの開発が進むことが期待されます。

端末料金

中国や韓国などに続き、日本でもNTTドコモとソフトバンクが5G対応のスマートフォンの販売を発表しました。端末料金は軒並み10万円を超えるハイエンドモデルが中心のため、利用者数がどこまで増えるかが疑問視されています。

5G利用者が増えなければ、5G対応のサービスやコンテンツの開発が滞る可能性もあるため、ハイエンドモデルだけでなく、ミドルレンジモデルのバリエーションを増やすことが必須だとされています。

5Gの今後の可能性に期待

5Gサービスが一般化すると、身の回りのあらゆるものがインターネットにつながるスマート社会が実現し、私たちの生活がより豊かに、快適になると言われています。

アメリカや中国、韓国に次いで、日本でも5Gの商用サービスがスタートしました。

今後様々なコンテンツやサービスが展開していくことが予想される5G。これからの5Gの動向や可能性に期待が高まっています。

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