AWS、日本企業のAI利用に伴うワークロードの温室効果ガス排出量削減に貢献

最新の調査により、AWS上で最適化されたワークロードは、オンプレミスと比較して、温室効果ガスの排出量を最大99%削減可能と推定

(日本 — 2024 年 8 月 27 日)アマゾンウェブ サービス(AWS)の委託によりアクセンチュアが実施した最新の調査によると、ITワークロードをオンプレミス(自社所有)のインフラストラクチャから、AWSクラウドデータセンターへの移行が、人工知能(AI)の活用による環境フットプリントを最小限に抑える効果的な方法であることが明らかになった。アクセンチュアの推定によると、AWSのグローバルのインフラは、オンプレミスと比べ、最大4.1倍エネルギー効率を向上させることが可能である。日本の企業組織にとって、AWS上で最適化されたAIワークロードは、オンプレミスのデータセンターと比較して、最大99%の温室効果ガスの削減が見込まれる。

本調査では、日本国内において、AIを含め計算負荷の高いワークロードにAWSのデータセンターを利用するだけで、オンプレミスのデータセンターに比べて温室効果ガスの排出量を98%削減できるとしている。これは、稼働率向上によるハードウェアの効率化(33%)、電力や冷却の効率化(34%)に加えて、AWSがカーボンフリーエネルギーの調達(31%)を行っていることによって可能になるものである。さらに、カスタムシリコンチップを活用してAWS上にワークロードを移行して最適化した日本の企業組織は、AIワークロードの温室効果ガスの排出量を合計で最大99%まで抑えられる可能性がある。

アマゾン ウェブ サービスジャパン合同会社、常務執行役員サービス & テクノロジー統括本部統括本部長安田俊彦は、次のように述べている。「今なお、世界中の組織におけるIT支出の85%をオンプレミスが占めているという現状がある。これを考慮すると、日本においてAIワークロードをAWS上で最適化することで温室効果ガス排出量を最大99%削減することは、日本の組織にとって持続可能性のための有意義な機会といえる。電力系統(グリッド)における再生可能エネルギーを増やす取り組みも、AIワークロードの温室効果ガス削減をさらに後押しすることになる。AWSは、データセンターの設計から最適化、チップへの投資に至るまで、データセンターインフラストラクチャー全体で持続可能性のためのイノベーションを常に行い、顧客のニーズに対応するため継続的にエネルギー効率の改善に努めている」
アクセンチュアのテクノロジー・サステナビリティ・イノベーション担当グローバル・リードであるサンジェイ・ポダー(Sanjay Podder)は、次のように述べている。「本調査は、AWSがハードウェアや冷却の効率化をはじめ、カーボンフリーエネルギー、カスタムシリコン、最適化されたストレージなどに注力することで、組織によるAIと機械学習のワークロードの温室効果ガス削減に貢献できることを示している。AIの需要が拡大し続ける中、テクノロジーによる持続可能性は、企業がイノベーションを推進しながら環境目標を達成する上で重要な役割を果たすことができる」

■持続可能なシリコンチップ技術のイノベーション:カスタムシリコンチップの開発

AWSが進めている代表的な取り組みの一つが、AWSのカスタムシリコンチップへの投資である。2018年に発表されたGravitonは、AWSの独自設計による汎用プロセッサで、この種のチップとしては初めて、大手クラウドプロバイダーによって大規模に展開されたものである。最新のGraviton4は、初代のGraviton 1 の4倍のパフォーマンスを提供し、Graviton3は同等のEC2インスタンスよりも最大60%少ない消費電力で同じパフォーマンスを実現できるが、Graviton4はさらにエネルギー効率を向上させる。

生成AIアプリケーションをより持続可能な方法で実行するためには、エネルギー効率の高いハードウェアによるシリコンチップレベルでのイノベーションが求められる。AWSはパフォーマンスやエネルギー消費量を最適化するために、AWS Trainium(機械学習トレーニング用)やAWS Inferentia(推論用)などのカスタムシリコンアクセラレーターを開発し、同等の他の高速コンピュートインスタンスよりも大幅に高いスループットを実現している。AWS Trainiumは、生成AIモデルのトレーニングにかかる時間を数か月から数時間へと短縮する。Trainium2は、第1世代のTrainiumと比べて、最大4倍高速なトレーニング性能と、3倍多いメモリ容量を提供すると同時に、エネルギー効率(一ワットあたりの性能)を最大で2倍向上させる設計となっている。AWS Inferentiaは、AWSの機械学習推論チップのなかで電力効率が最も高い。Inferentia2は、類例のものと比べて最大50%高いワットあたりの性能を提供し、最大40%のコスト削減を可能にする。AWSはこうしたカスタムシリコンのアクセラレーターによって大規模なAIモデルのインフラストラクチャの温室効果ガスを削減し、消費電力一ワット当たりのパフォーマンスを強化して、効率的に実行できるようにする。

■AWS のインフラストラクチャ全体でのエネルギー効率の向上

配電から冷却技術まで、AWSのインフラストラクチャはエンジニアリングにおけるイノベーションを通じて、できるだけピークに近いエネルギー効率での運用が可能である。AWSは、リソースの使用を最適化することで、アイドリング容量を最小限に抑え、インフラストラクチャの効率を改善し続けている。例えば、AWSではデータセンターの設計の際、中央に大型の無停電電源装置(UPS)を配置する代わりに小型のバッテリーパックを利用し、ラックごとにカスタム電源を設置することで、電力効率を改善するだけでなく、可用性も向上させた。電力は電圧が変わったり、交流から直流、あるいはその逆の変換の度に電力が失われる。UPSを排除することにより、AWSはこうした変換を減らすことができる。さらに、ラックの電源供給を最適化することで、ここでの最終的な変換による電力のロスも低減し、こうした変更を合わせると電力変換時のロスはおよそ35%削減される。

サーバー機器に電力を供給した後、AWSのデータセンターにおいて最もエネルギーを使用するリソースの一つとなるのが冷却である。AWSは効率性を高めるために、場所や時期に応じて、自由空冷をはじめとするさまざまな冷却技術に加え、リアルタイムデータを用いて気象状況に適応している。このような革新的な冷却に関する取り組みは、運用規模の小さな一般的なオンプレミスのデータセンターではより困難である。AWSの最新のデータセンター設計は、最適化された空冷ソリューションが液冷機能と併せてシームレスに統合されており、NVIDIAのGrace Blackwell Superchipのような最も強力なAIチップセットに対応できる。このような柔軟なマルチモーダル冷却設計により、従来のワークロードとAIモデルのいずれを実行する場合であっても、最大限のパフォーマンスと効率性を引き出すことが可能である。

■日本国内最大の再生可能エネルギー購入企業

今回の調査結果から、日本におけるAWSのカーボンフリーエネルギーの追加調達が、計算負荷の高いワークロードの温室効果ガスの排出を31%削減することに貢献していることが分かる。AWSは、2040年までに事業全体で温室効果ガスの排出量実質ゼロを達成するというAmazonのコミットメントに足並みを揃える形で、グローバルインフラストラクチャに必要な電力の100%カーボンフリーエネルギーへの移行を迅速に進めている。Amazonは世界中で500件を超える太陽光発電と風力発電プロジェクトに数十億ドルを投資し、Amazon全体において、事業活動で使用する電力量と同等の電力を、2030年までに100%再生可能エネルギーで確保するという目標を、2023年に7年前倒しして達成した。
Bloomberg New Energy Finance(NEF)によると、Amazonは4年連続で世界最大の再生可能エネルギー購入企業であることが確認できている。現時点において、日本国内で太陽光・風力発電合計20件のAmazonの再生可能エネルギープロジェクトが始動可能な状態となっている。これらが稼働を始めれば、年間20万メガワット時(MWh)以上の再生可能エネルギーが生成されると見込まれ、毎年日本の4万8,000世帯に電力を供給するのに十分な量となる。[1] 最近2024年7月には、日本で初めてとなる陸上風力発電所(所在地:青森県六ケ所村、発電設備容量:33メガワット(MW))への投資を発表した。
[1] 日本の1世帯当たりの年間平均エネルギー消費量を4,175kWhと仮定した場合
2021年に日本初となるコーポレートPPA(Power Purchase Agreement)を活用したオフサイト型の太陽光発電プロジェクト(分散型)を立ち上げて以来、Amazonは日本全国で再生可能エネルギーの普及を急速に拡大している。大規模な再生可能エネルギープロジェクトに適した土地が限られた日本において、Amazonは集約型および分散型の大規模太陽光発電所、陸上風力発電所、そして14件の屋根設置太陽光発電プロジェクトを進めるなど、さまざまな革新的な方法で再生可能エネルギーの調達を行っている。
Amazonは引き続き日本社会の再生可能エネルギーへの移行を支援するため、さまざまな企業と連携し、変革を進めていく。バーチャルPPAなどの仕組みを通じて、企業による再生可能エネルギー調達の選択肢を広げるため、Amazonは数年にわたって政策関係者や日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)をはじめとした業界団体と協力してきた。これらの取り組みは、新たな再生可能エネルギープロジェクトを電力網に追加し、他の企業が再生可能エネルギーへの移行目標を達成するための新たな機会を創出することにも貢献する。
AWSの最新調査レポート「AWSクラウドへの移行による温室効果ガス削減に向けた取り組み」は、下記URLよりダウンロードが可能である。
https://d1.awsstatic.com/ja_JP/PR/new-report-how-moving-onto-the-aws-cloud-reduces-carbon-emissions.pdf

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