富士通と帝京大学がXRや空間コンピューティング、生成AIを活用し、生活習慣改善を促進するUXの共同研究を開始

富士通株式会社と学校法人帝京大学 冲永総合研究所は、XRや空間コンピューティング、生成AIなどのデジタルテクノロジーを活用し、自身の体内の状態を深く理解することで生活習慣の改善に向けた意識向上やヘルスケアリテラシー向上をサポートするUXプラットフォームの共同研究を2024年10月18日から本格的に開始する。

生活習慣改善を促進する UX開発コンセプトムービー(富士通/帝京大学共同研究)

本研究では、健康診断の受診結果から生活習慣の改善が必要とされた受診者が保健師との面談時、または面談後に、XRと空間コンピューティングを用いて体内の様子をバーチャルで空間上に再現し、健康課題が潜んでいる箇所に対する理解を深めることで、生活改善に向けた健康意識と行動変容にどのような影響を与えるかを検証する。また、生成AIを搭載したAIヘルスケアサポーターのアバターを作成し、生活習慣の改善に向けたフォローアップを行うことにより、受診者のヘルスケアリテラシーの向上などに与える影響も検証する。

■背景と課題

近年、生活習慣病は高齢者層だけでなく若年層でも増加傾向であり、生活習慣の改善による重症化予防が国民の医療費負担の軽減や企業の労働生産性の向上、個人のQoL(Quality of life)向上に繋がると考えられている。そのため、厚生労働省は健康保険組合に対してデータヘルス計画(注4)の策定と実施を義務付けている。健康保険組合が保持する健康診断結果や医療機関が作成する診療報酬明細のデータを用いて健康診断で得られた数値と病気の関係性を分析し、生活習慣の改善を行うというPDCAサイクルにより効率的かつ効果的な改善が進められている。

しかし、生活習慣の改善には、それを支援する側の努力だけでなく、改善を求められる個人が健康に対する興味や関心を持つよう意識の変革を行い、自らの意思で行動を変えていくことが必要である。

富士通と帝大冲永総研は、2022年10月より、インフォームドコンセントにおいてXRや空間コンピューティング、生成AIを用いた医師と患者のコミュニケーションギャップの解消を目指す研究を行ってきた。その研究成果である、患者の生体データから生成したバーチャル体内モデルや、AIメディカルサポーターのアバターなどの技術を活用し、このたび、生活習慣改善の意識向上やヘルスケアリテラシー向上をサポートするUXプラットフォームの共同研究を本格的に開始する。

■共同研究について

1. 共同研究期間

2024年10月18日~2025年1月31日

2. 研究概要

(1) 保健師や、健康診断により生活習慣の改善が必要と診断された受診者にインタビューを行い、生活習慣の行動変容を起こせない本質的な阻害要因(例:時間にゆとりがない、自覚症状がない)を特定する。

(2) (1)で特定した阻害要因を踏まえ、生活習慣の改善を必要とする受診者が行動変容を起こすためのアイデアを抽出する。

(3) XRや空間コンピューティングを活用して内臓や骨格などをバーチャルに空間上で再現可能なプロトタイプを作成する。

(4) 生成AIを搭載し生活習慣病の予防について学習したAIヘルスケアサポーターのプロトタイプを作成する。

(5) 健康診断の受診結果から、健康課題を発見された受診者が(3)のプロトタイプを用いて、自身の体内の様子を空間上に表示しながら保健師と面談を実施することで、受診者の健康意識の向上や行動変容にどのような影響を与えるかを検証する。

(6) (4)のプロトタイプを用いて、受診者がAIヘルスケアサポーターに健康に関する質問をしたり、生活習慣の改善に向けた具体的な取り組みに対する助言などのフォローアップをすることにより、本人や家族のヘルスリテラシーの向上や自律的な改善行動に結びつくかを検証する。

3. 両者の役割

富士通

・関係者、有識者へのデザインリサーチ(注5)、真の生活習慣改善意識の阻害要因の特定
・自律的な生活習慣改善のUX/UIシナリオの作成
・初期プロトタイプの開発サポート、改善提案、プロトタイプでの実証実験

帝大冲永総研

・医学的専門知識の提供
・医療領域における可視化ノウハウの共有
・保有する生体臓器データを用いた初期プロトタイプ開発

■今後について

両者は本研究の成果をもとに、デジタルテクノロジーを活用した健康指導の社会実装による生活習慣病予防を通じて、人々のWell-Beingの実現と健康に関わる社会課題の解決に貢献していく。

■商標について

記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標である。

Special Features

連載特集
See More