日経クロストレンド「今後伸びるビジネス」2024年下半期ランキングを発表
2024/11/13
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◆AIエージェント開発激化で、「バーチャル・ヒューマン・エージェント」の将来性に期待集まる
◆「サーキュラーエコノミー」が経済インパクトの伸びで1位に、トヨタグループも社団法人設立
株式会社日経BPは2024年11月12日、マーケティング専門メディア「日経クロストレンド」が作成した「マーケティング」「消費トレンド」「テクノロジー」の潮流を見極める「トレンドマップ 2024下半期」を発表し、注目の全95キーワードをランキング化した。
マーケティング、消費トレンド、テクノロジーの3分野は変化が激しく、様々なバズワードが飛び交っている。この中から中長期的に注目すべき潮流を見極める目的で、日経クロストレンドの活動に助言する外部アドバイザリーボード約50人と、編集部の記者など各分野の専門家の知見を集約した。キーワードの分析結果は、「将来性」と「経済インパクト」の2つのスコアで示す。
2024年4月に実施した前回調査と比較し、分野別で将来性スコアが伸びたトップ3は、マーケティング分野で1位「SDGs」(持続可能な開発目標)、2位「ソーシャルメディアマーケティング」、3位「UGC(ユーザー生成コンテンツ)」。消費トレンド分野では1位「ミレニアル世代」、2位「α世代」「シェアリングサービス」、テクノロジー分野では1位「バーチャル・ヒューマン・エージェント(VHA)」、2位「IoT」、3位「VUI(音声ユーザーインターフェース)」となった。
一方、経済インパクトについて各分野で最も高い伸びを示したキーワードは、マーケティング分野では「UGC(ユーザー生成コンテンツ)」、消費トレンド分野では「サーキュラーエコノミー」、テクノロジー分野では「GNSS(測位衛星システム)」だった。
■トレンドマップ2024下半期のポイント
将来性スコアの伸長1位は「バーチャル・ヒューマン・エージェント(VHA)」「ミレニアル世代」
注目はスコア3.70となったVHAである。知性や人格を備えた人工知能(AI)で、人間を模した姿の画面上のキャラクターと対話できる点が特徴である。マシンと人間の間の橋渡しをする新しい概念だ。生成AI技術の進化を追い風に、対話を実現する基盤技術であるAIエージェントの開発競争が国内外で激化している。高精度なVHA実現への道が開かれたと期待する声が大きく、それがスコア上昇として現れた。
今回新たに追加したAIエージェント(マーケティング分野)が、分野別の将来性スコアランキングで8位(スコアは4.13)となったことからも、成長の余地が大きいことがうかがえる。
マーケティング分野で将来性スコアの伸びが1位だったSDGs(スコアは0.36ポイント増の3.68)も、今後の市場トレンドを占う上で重要である。インテージが2023年に調査したところ、SDGsの用語を認知している人のうち51.1%が「SDGsに取り組む企業を応援したい」(2022年は49.2%)、43.4%が「SDGs関連の商品やサービスを購入・利用したい」(2022年は41.5%)と考えている。SDGsに強くコミットしたマーケティング活動が消費動向に大きく影響する時代が本格到来したことが、数字でも証明された。
経済インパクトのスコアで最も伸びたのは「サーキュラーエコノミー」
資源の循環と経済成長の両立を目指し、持続可能な社会を目指す考え方であり、国内外の各政府が推進している。この動きが産業界にも波及し、例えば2024年8月にトヨタ自動車や豊田通商、アイシンなどが、自動車産業におけるサーキュラーエコノミーの実現に向けて、一般社団法人「サーキュラー・コア」(名古屋市)を設立した。多くの専門家がサーキュラーエコノミーが単なる掛け声ではなく、市場に大きなインパクトを与えるフェーズに移行したと考えている。
マーケティング分野で経済インパクトの伸びが1位だったUGC(スコアは0.43ポイント増の3.39)は、昨今小売店側が積極的にUGCの生成を後押しするケースが増えており、巨大な商圏を生み出すエンジン役を担っていることが調査結果にも反映された。
UGCとは、消費者が自発的に投稿するSNS上のコンテンツで、その影響でバズ(話題)が生まれる現象は以前からよく知られている。最近では、来店客が購入前に商品を店頭で試せる体験型店舗がオープンし、その様子を客がSNSにアップすることを認めるケースが増えている。商品やサービスのヒットにUGCが欠かせない役割を果たしつつある実態が浮かび上がっている。
■「トレンドマップ2024下半期」の分析手法
[将来性(=企業の収益貢献や社会変革へのインパクト)]
1.将来性は低い
2.将来性はやや低い
3.どちらとも言えない
4.将来性はやや高い
5.将来性は高い
[経済インパクト]
1.どの企業も収益を得られていない
2.一握りの企業(1~2割程度)の収益に影響している
3.一部の企業(3~5割程度)の収益に影響している
4.大半の企業(6~8割程度)の収益に影響している
5.社会全体になくてはならない存在