人・組織・リーダーシップ

日本を代表するマーケター・CDOとともに考える、オンライン前提社会における「いい出会い」の生み出し方とは 〜24 Fest by another life.イベントレポート〜

3月19日から20日にかけて株式会社ドットライフが開催した『24 Fest by another life. 「#出会いは生み出す」』。24時間に渡る生配信イベントで、多彩なゲストによるトークセッションが繰り広げられました。

今回はそのなかからオープニングを飾った、長瀬 次英氏による基調講演をレポート。インスタグラム・ジャパンの初代CEOを務めるなど、日本を代表するマーケターの一人である長瀬氏が考える、コロナ禍における「いい出会い」とは。熱量あふれるセッションの模様をお伝えします。

ざっくりまとめ

-コロナ禍において、むしろ出会いは増加傾向にある。
-大切なのはリアルにつながる出会いをいかに確保するか。
-そのためには発言や振る舞いなどを含めた、自分の情報の一貫性が重要。
-先入観を持たずに、相手の本質を見抜く目も求められる。
-明確な目的意識を持つことで、出会いの質はさらに高まる。

コロナ禍の間に出会いの種を仕込んでおこう

——今回はオンライン化での新しい出会いをテーマにしています。まさに長瀬さんの専門の領域ですよね。

そうですね。私自身、人と人との出会いをつくるとか、つないでいくということを仕事にしてきました。それはブランドや組織をつくるという意味でもありますし、商品を介して売手と買手をつなぐという意味でもある。つまるところ、人と人との出会いがなければビジネスって存在しないと思うんですよ。

もちろん、出会いというのは「ヒト以外のもの」との出会いも意味します。Instagramなどはまさにそうですよね。まずはアプリを搭載したスマートフォンという機械との出会いがある。被写体となるさまざまな「モノ」との出会いも生まれます。それでも最終的に求めるところは、やっぱり人との出会いなんですよね。だからInstagramにもDM機能がついて、互いにやりとりができるようになったわけです。

人と人との出会いが、結局一番盛り上がる。それはコロナ禍においても変わらないと思いますね。その最たる例がClubhouseでしょう。音声だけとはいえ、さまざまな出会いが生まれ、さらに連携するTwitterやInstagramでもつながっていく。きっとそこからリアルへとつながる出会いも増えていくはずです。

——一方で、コロナ禍で人との出会いがなくなり、塞ぎ込んでいる人も少なくないと聞きます。こうした状況下でも出会いをつくれる人と、そうでない人の違いはどのあたりにあるのでしょうか。

人とのつながりを維持することに、意識的かどうかではないでしょうか。

コロナ禍において、SNSなどを通じたソーシャルなつながりをすべて断ち切ってしまったとしたら、いざ自由に誰とでも会えるようになったときに「誰と会えばいいんだっけ?」と困惑してしまう可能性だってないとはいえません。

反対にソーシャルなつながりを大切にしている人は、例えばZoomでやりとりしたときに「いつか飲みに行きましょうね」と約束したり、さまざまな接点を作ったりしておけるじゃないですか。Clubhouseなどはまさにそうですが、オンラインだからこそ、今まで出会えなかった人と出会えるということもあるわけですし。

もちろん数が多ければいいということではありません。出会いの「質」も大切ですからね。いずれにせよ、リアルでの出会いにつながる「種」を仕込んでおくことは、やっぱり重要だと思いますね。コロナ禍が過ぎ去ったあとにすごく効いてくると思います。

「リアルで会いたい」と思われる人がやっていること

——今、出会いの「質」という言葉をいただきました。リアルにもつながるような質の高い出会いを得るために必要な、準備や心構えみたいなものはあるのでしょうか?

まず、何を質が高いとするかは人ぞれぞれだと思います。その上で、僕はリアルにつながる出会いを大切にしています。やっぱり人と人は直接会わないと何も生まれないと思うからです。

仕事によっては、すべてオンライン上でもできるかもしれませんが、そこから先の人間関係を結ぶためには、やはりリアルで顔を合わせることが必要だと思うんです。

とはいえ人生は有限です。誰とでも会っている時間はありません。何事にも優先順位があるように、「会いたさ」にもプライオリティがあるのです。逆にいうと、誰かの「会いたいリスト」の上位に入らなければ、リアルにつながる質の高い出会いは得られないわけです。

では、どうすればオンライン上の判断材料だけで「会いたい」と思ってもらえるのか。ポイントは一貫性にあると思います。例えば、Clubhouseでカレー好きとして意気投合したとしましょう。その人がInstagramやTwitterではカレーの話題に全く触れていなかったらどうでしょう。「会いたい」という熱量は、きっと下がってしまうのではないでしょうか。

もちろんSNSの使い方は人それぞれですが、とはいえ「人から自分がどのように見られるのか」に意識的である方が、質の高い出会いは増やせると思いますね。

——あらゆる投稿などが判断材料になっている、と。

それは間違いないと思いますね。ビジネスシーンでもそうじゃないですか。今や営業前に相手の会社のことをネットで調べるのなんて当たり前じゃないですか。だから見せ方がすごく大切になるわけで。一番伝えたいポイントはどこなのか、ネット上の情報をきちんと整理しておく編集能力みたいなものは、ますます求められる時代だと思います。

——ネットによって初対面で伝えられる情報量が増えた一方、不適切な情報が伝わってしまうと悪印象にもなりかねないということですね。

そうですね。まあ企業レベルでいえば昔からやってきたことだとは思うんですよ。SEO対策をしっかりして、自分の会社が不利になる情報は検索上位に出てこないようにするとか。

今後は個人レベルでもそういった意識が求められるようになるということですね。オンラインでの出会いが増えれば増えるほど、そこはシビアにならざるを得ないというか、ある程度の覚悟が必要だと思います。いい出会いを得ようと思うならば、メディアごとに自分の発言や振る舞いを統一しておくことは欠かせないでしょう。

——話を少し戻してしまうようですが、BtoB領域においても、良質な出会いを得られる会社とそうでない会社の明暗が、コロナ禍によってくっきり分かれた印象です。

単純にスマホにふれる時間が増えましたからね。サプライヤーにしてもOEMにしてもエージェンシーにしても、ビジネスパートナーを選ぶときにネットで情報収集する時間が倍増したような印象です。

Webページから各種SNS、ランディングページ、ECサイトに至るまで、きちんとメッセージが統一されていて、一つの世界観が打ち出されていれば、やっぱり仕事をしたいと思ってくれる人は増えるはずです。だからこそ、そのあたりの情報整備は念入りに、無駄だと思えるくらい周到に準備しておくべきだと思います。

「思っていたのと違う!」と思わせない情報戦略

——長瀬さん自身は、今後どのような点に気をつけながら、人とつながっていこうと考えていますか。

まず僕はコロナ禍が過ぎ去れば、人と人とのつながりはまたリアルを中心としたものに戻っていくと思っています。それはアパレルをはじめ、リアルな場を必要とするビジネスに携わっているからでもあるのですが。

その上で、僕が気をつけたいのはオンラインとリアルでのギャップを生まないことですね。「思っていたのと違う」と思われることが、ブランディング上よくないと思うので。人ってすごくセンシティブなので、ちょっとした振る舞いや身だしなみで相手にさまざまな先入観を与えてしまいます。オンラインでの印象と現実のズレが生まれないように気をつけていきたいですね。

逆に相手に対しては、自分が謝った先入観を抱かないように気をつけたい。これは個人でもビジネスでも同じですね。デジタルリテラシーというとすごく平板な言い方になってしまいますが、その人やその会社がどんな相手なのかきちと読み解く目は必要になってくると思います。

もっと些細なことでいうと、どういうタッチポイントで、どんなことを話し、どんな振る舞いをした相手なのかをしっかり覚えておくこと。これも意外と重要だと思います。それをしっかりと踏まえておけば、リアルでつながったときに相手にどう接するべきなのかも見えてくるはずです。そういった配慮がより良い関係性を築けるかどうかに、実は深く関わってくるのではないでしょうか。

——ありがとうございます。最後に本日のイベントの参加者に向けて一言メッセージをいただけたら幸いです。

いい出会いに恵まれるためには、ゴールを明確にしておくことも大切だと思います。今の自分に必要なのはどんな出会いなのか。出会いの先にどんな関係性を気づきたいのか。そういった意志を持って人と接するだけで、出会いの質ってずいぶん変わってくると思うんです。そういったことも頭の片隅に置きながら、このイベントのなかで生まれるさまざまな出会いを楽しんでいただければ幸いです。
長瀬 次英
PENCIL&PAPER.COM CEO / Visionary Solutions CEO

1976年京都生まれ。中央大学総合政策学部国際政策文化学科卒業。2000年、KDD(現・KDDI)に入社。その後、J. Walter Thompson Japan、ユニリーバ・ジャパン、ニュースキン・ジャパンで、ブランドの戦略構築や新商品開発、アジア地域市場におけるビジネスの立て直し、新規事業開発・収益化を手掛ける。フェイスブック・ジャパンでブランドビジネス開発責任者として参画した後、2014年にインスタグラムの初代日本事業責任者に就任、日本におけるインスタグラムの収益モデルを確立。続いてロレアル日本法人で初代CDO(最高デジタル責任者)に就任、その後もエンターテインメント会社LDH JAPANの執行役員兼CDO等を務めデジタルシフトを牽引。2019年には自ら会社を設立した他、同時にコスメブランド等の顧問やアパレルブランドのCEO、ブランディングカンパニーのCSO(最高戦略責任者)を務め、それらを同時平行させるパラレルワーキングを実践している。

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