「オンライン社員総会」ってどうやればいい? 約250名参加・満足度90%のノウハウ・舞台裏をリノべる社に聞く。
2020/7/15
新型コロナウイルス感染症の影響で多くの業務がリモート化されました。それに伴い、入社式を始め、さまざまな社内行事をリモートで行う会社が増えています。そんな中、マンションや戸建てのリノベーションをワンストップで手掛けるリノべる株式会社では、5月に約250名が参加する社員総会をリモートで行い、その満足度は90%を超えたそうです。「オンライン社員総会」はどのように実現したのか。同社ブランド戦略部 部長で、社員総会の企画、運営担当を務める木内 玲奈さんにお話を伺いました。
Contents
ざっくりまとめ
・緊急事態宣言に加え、会社として「オンラインでできること、オンラインの価値を最大化しよう」と言う考え方があり、オンライン総会の開催を決定
・ツールは、ブレイクアウトルーム機能やギャラリービュー表示機能が決め手となり、zoomを選択した
・運営準備で一番注力したのは、登壇者も巻き込んだ入念なリハーサル
・運営スタッフの役割分担は細かいところまで明確にした
・社員総会に限らず、オンラインとオフラインの双方の良さを活かし、より良い組織づくりを行うことが今後重要
リノべるの社員総会ってどんなもの?
年2回、上期と下期の始まりのタイミングで開催しており、先期の振り返りと今期の方針を全社員に共有するのが目的です。参加者は、正社員と一部の契約社員で合わせて250名ほどになります。
ーこれまではどんな場所で開催されていたのでしょうか?
下期の総会は会社の近くのホールを借りることが多いですが、上期は1年のスタートを切るタイミングなので、デザインホテルの貸しスペースを貸し切って実施していました。「住まい」という空間を提供する私たちだからこそ、こだわった空間で実施することで社員のモチベーションアップを狙っていました。
緊急事態宣言後にオンライン社員総会開催を決定
もともと社員総会を5月に開催予定だったのですが、4月8日の緊急事態宣言・外出自粛要請を踏まえ、「宣言が解除されても、されなくてもオンラインで開催しよう」と決定しました。
当時は、GW連休後には緊急事態宣言が明けるという見通しが強かったですが、万が一に備えて、オンライン開催を決断した形です。また、社内ではよく「オンラインでできること、オンラインの価値を最大化しよう」と言われていたので、いい機会と捉え、スムーズに社員総会のオンライン化は決定しましたね。
オンライン社員総会開催までの3つのステップ
期待よりも不安の方が大きかったです。社員がちゃんと興味を持ち、集中して話を聞いてくれるのか、オンラインでもリアルの場と同じように情報だけでなく熱量が伝わるのか、これまでと同じように意義のある会にできるかなど、懸念点がたくさんありました。
ーオンラインに切り替えたことによって、総会の目的や内容を変えたりはしなかったのでしょうか?
基本的には変えませんでした。これまで同様、全体や部門ごとの振り返りがあり、全社共有すべきトピックスをお伝えし、その後は全社表彰などを行いました。また、新入社員の紹介や昇進の発表など、それぞれの人に挨拶をしてもらうコーナーも、これまでと同様に行うことにしました。ただ、これまでの社員総会は懇親会を含め丸1日かけており、情報量を保ちながら飽きずに視聴してもらうための工夫をしながら、休憩3回を含めて約4時間半に短縮しました。
Step.1 やりたいことに合わせてツールを選ぶ
zoomです。当初、セキュリティ面が心配だったので迷いましたが調べるうちに対策が講じれそうなことがわかったことと、他のツールと比較検討する中で、参加者をグループ分けできるブレイクアウトルーム機能や、参加者の顔が一覧できるギャラリービュー表示ができることが決め手となりました。
ーブレイクアウトルーム機能は何に使ったのでしょうか?
身近な人に改めて感謝の気持ちを伝えるワークショップで使いました。今年は会社が10周年目を迎える節目だったということもあり、このワークショップ自体はオンライン開催を決定する前から企画していました。
弊社のValue(行動指針)の中に「集合天才」と言う言葉が出てくるのですが、それは、大きな共通の目的に向かって一人一人がそれぞれの役割を果たす一つのチームになろうというような意味合いで、今回の総会でこだわった一体感にも通じます。集合天才の第一歩は「個々が持つ力」を理解すること。感謝のアウトプットには、相手に想いを馳せることが不可欠ですので、集合天才につながると考えました。また、感謝の言葉は誰でも言われたら嬉しいもの。「こんなところ見ていてくれたんだ、こんな風に思ってくれてたんだ」という発見が相互理解やモチベーションにつながりますし、よい雰囲気がつくれるかなと、アイスブレイク的な意味も込めてこのワークショップを企画しました。
Step.2 リハーサルは入念に
一番時間をかけたのは、リハーサルです。手探りで準備していたため、段取り確認も兼ねて何度か行いました。当日使用するパワーポイントを使いながら「ここで○○さん登場」「パワーポイントを画面共有して」と、細かい段取りを一つ一つ確認し、準備の精度をあげていきました。
また、登壇予定の方にも協力いただき、タイミングよくミュートを解除し、話す、という細かい段取りの確認も行いました。参加者にとってはちょっとでも会が止まると、携帯を見たりと集中力が切れてしまうと思いましたので。またZoom初心者向けに総会数日前のランチタイムを活用して「接続確認会」などを行い、接続トラブルを防ぎました。当日開始30分前にはzoomを有効にして、全員に対し「ツール利用説明」を行うことで、会の最中も社員自身が能動的にアクションをできるように促しました。
Step.3 細かい役割まで明確に分担
社内スタッフ9名と、社外スタッフ2名の合計11名体制でした。
また、万が一Wi-Fiが切れて、退出してしまった人をサポートするための係もつけました。
司会は私ともう一名とで交代で行いました。一人がずっと続けるよりも、複数人でやった方がリズムが出ると思ったので、プログラムごとに入れ替わりながら進行しました。片方が司会をやっている時には、もう一人は補助となることで安心して進行できました。
最初はもっと外部の方に手伝っていただく予定でしたが、内容を詰めていくと社員の名前や顔、所属などがわかる方が運営に多くいるべきということが分かり、社内メンバーがメインの運営体制になりました。これにより、たくさんの方に登壇者いただきましたがミスなく進行でき、表彰なども非常にスムーズに進みました。
一体感が生まれたコメントスクリーン機能
不安が大きかっただけに、思ったよりもスムーズにできたなというのが正直な感想です。何度もリハーサルを行った成果だと思っています。
また、参加者が打ち込んだコメントやアイコンが画面上に流れる「Comment Screen(コメントスクリーン)」というツールを導入したのですが、これがすごく良かったです。オンラインでは社員の熱量や現場の空気感を伝えるのは難しいと思っていましたが、例えば全社表彰などの際には「がんばって!」などの応援メッセージも流れ、発表者も勇気をもらっているようでした。いろんな人がいろんなリアクションをすることで、熱量や空気感も伝わる会になったと思います。
社員からの声を踏まえ、より良い仕組みを作る
会の終了後に全社員にアンケートを取ったのですが、なかには「長かった」とか「流れてくるコメントが不快だった」のような声もありました。また、部門ごとの振り返りでは、スピーカーが早口で聞き取りにくくなったり、数字の話がメインなので他の部門の人たちにとっては分かりにくいなどの問題もありました。
もし次回もオンライン総会を開催する機会があれば、反省を活かして、より良い仕組みを作っていければと思います。
オンラインとオフライン、それぞれの良いところを活かしたい
半年後に開催される次の社員総会をどういった形式で行うかはまだ検討中です。
ただ、社員総会とは別で、四半期ごとに開催している全体会議はオンラインでの開催を予定しています。全体会議は社員総会と比べ、比較的小規模なイベントで、振り返りがメインになります。
今回実際やってみて、各部門からの振り返りや方針発表はオンラインでもできるかなと思いました。一方で、表彰や、懇親会に関しては、実際に集まった方が良いのかなと感じました。今後の社会情勢次第ではありますが、オンラインとオフラインを組み合わせて開催することも検討しています。
オフラインの代替ではなく、オンラインでしかできないことを
弊社では全社的に、オンライン化を推進していますが、オフラインの代替手段としてオンラインに切り替えるのではなく、オンラインだからこその価値を考えていこう、そんなことを常々話しています。
例えば、4月から弊社代表が月1回、社員にメッセージを送る「マンスリー・メッセージムービー」をはじめました。オンラインなら、社長の生の声をスマートホン一つで届けられ、スマートホン一つで視聴できます。 4~6月は、リモートワークになり会社とのコミュニケーションが少なくなっているなか、世の中の悪いニュースばかりが入ってきて、これから会社はどうなっていくのかと不安を抱える方が多かった時期だと思います。
そんななか、代表が「今、会社はこんな状況です」「今後はこうなると考えています」と具体的なメッセージを発信することで安心する社員も多かったようです。
さらに、ゲストを招き「今の状況で何をするのか」などディスカッションを入れることで、代表が何を考えているのかが社員に伝わるよう工夫しました。社員からは、「安心しました」「理解を深められました」といったコメントを多くもらいました。アンケートでは毎回たくさんの声を社員からもらい、毎月楽しみにしている方が多いと感じています。
動画は空気感も含め伝えられるのでうまくいったのかなと思っています。また、社員がオンラインに慣れたことも大きいですね。動画は、テキストやチャットに比べて、よりメッセージが伝わりやすいなと感じていますので、今後も積極的に活用してきたいです。
今後もオンラインとオフライン、それぞれの良いところを分析し、いろんなことに挑戦し、新しいやり方を確立していければと思います。
木内 玲奈
リノベる株式会社 ピープル&カルチャー本部 ブランド戦略部 部長
コーポラティブ住宅のコーディネーター、UDS、リビタ、リノベーション住宅推進協議会の広報等を経て、2019年リノベる入社。「これからの住宅取得の当たり前をつくり、豊かな未来づくりに貢献していく」を個人ミッションに、リノベる株式会社および一般社団法人 LIVING TECH協会の広報、アウター/インナーブランディング全般をブランド戦略部部長として率いる。