人・組織・リーダーシップ

渋沢栄一が、激変する今の日本社会に伝えるメッセージとは。シブサワ・アンド・カンパニー 代表取締役 渋澤健氏×立教大学ビジネススクール田中道昭教授対談【後編】

近代日本経済の父と称される渋沢栄一。2021年の大河ドラマ『青天を衝け』の主役としてクローズアップされ、あらためてその功績に注目が集まっています。『論語と算盤』をはじめ、彼の著作には現代にも通じる数々のメッセージが遺されています。渋沢栄一の5代目子孫にして、シブサワ・アンド・カンパニー株式会社代表取締役である渋澤健氏と立教大学ビジネススクール田中道昭教授が2022年の今、渋沢栄一について語り尽くします。

後編は、渋沢が目指した機会平等の社会と合本主義、「と」の力の意味、令和の新しい日本を作るこれからの世代と企業に必要なことについての対談です。

渋沢栄一が目指したのは、機会が平等なインクルーシブな社会

田中:渋澤さんは今では岸田首相とも接点がおありで、首相自ら議長となって設置した「新しい資本主義実現会議」のメンバーでもいらっしゃいます。今回重要なタイミングで天命を受けたということでしょうか?

渋澤:そういう意味ではおもしろい展開ですね。政治家にマーケットの資料を送る中で、『論語と算盤』の話をし始めたのはいつだったか……。

田中:渋澤さんからいただくメールの中に『論語と算盤』が登場したのは、10年ほど前からではないでしょうか。

渋澤:私が渋沢栄一の『論語と算盤』で紹介を始めたのが2004年の夏でしたが、同じぐらいのタイミングだったかもしれませんね。シブサワ・レターを送りはじめた1998年にはまだ『論語と算盤』を読んでいませんでした。読まなければと思っていましたが、当時の私の日本語力では理解できなかった。しかし、とある方から中国古典に精通している守屋淳さんをご紹介いただき、それから『論語と算盤』の読書会を始めました。これが2004年でした。さらにリーマンショックの起こる少し前に、当時ローソンの社長であり、経済同友会でご一緒していた新浪剛史さんにお声がけいただいて、若手経営者との勉強会を始めたのです。読書会・勉強会というと渋沢栄一が考えていたことを学ぶ場になりがちですが、新浪さんクラスの経営者となると『論語と算盤』に啓発されて自分の意見がどんどん出てくることに気づきました。

田中:内容が経済、経営そのものですからね。

渋澤:はい。それが今の「論語と算盤」経営塾のゼロ期ですね。『論語と算盤』を題材に、さまざまな人たちと対話を重ねることができることに気づきました。「論語と算盤」経営塾は2008年に開始し、今年で14期ですが、毎回自分にも学びがあります。

田中:『論語と算盤』の中で、14年前と比べて読み方や解釈が変わったところはありますか?

渋澤:前編でも出てきた「大丈夫の試金石」という言葉については、最初はあまりピンと来ませんでしたが、何度も読み返すうちにとても重要なことを言っていると気がつきました。

田中:読むたびに新たな気づきを得ることが多い一冊ですよね。

渋澤:最近で言うと、「新しい資本主義実現会議」が始まったとき「成長と分配の好循環」という言葉のなかで、分配という言葉だけがひとり歩きしてしまったことがありました。これは栄一的に意味合いが違うのではないかと思い『論語と算盤』を再度調べてみたら、「算盤と権利」という章の中の「ただ王道あるのみ」という部分で「富の平均分配は空想だ」と言い切っているのです。要は、結果平等はおかしいのではないかと言っているわけです。

いろいろな立場の方がいて、能力も才能も違う、努力した量も違うのに、なぜ結果が同じなのか。渋沢栄一は約500社の会社を作っただけではなく、約600の教育機関や医療機関、社会福祉施設の支援も行ってきました。社会のどんな身分、立場であっても、弱者であっても、自分の能力と才能をフルに活かして参画できる社会は機会が平等です。栄一は、結果は平等ではないかもしれませんが、機会は平等なインクルーシブな社会を作ろうとしていました。栄一は新しい時代を作るための資本主義に対し、そういった考えを持っていたと思います。

渋沢栄一が追求し続けた「合本主義」とは何か

田中:平等もすごく重要な価値観ですよね。次に伺いたいのは資本主義ではなく合本主義についてです。渋澤健さんも合本主義について、サステナビリティやSDGsなどの観点を指摘されていらっしゃいます。渋沢栄一が資本主義ではなく、合本主義を主張していた点こそ非常に重要ですし、今こそまさに合本主義のエッセンスを学び直すべきだと思いますが、この「合本主義」について渋澤さんはどう捉えていますか?

渋澤:渋沢栄一は日本資本主義の父と言われていますが、本人は資本主義という言葉は使わずに「合本主義」と言っています。合本とは価値を作る要素である「本(もと)」を合わせることで、価値が生じていくという考えです。栄一が今から150年ほど前、1873年に立ち上げた第一国立銀行は、一滴一滴のしずくが合わさり大河になれば、それはかなりの大きな力であるというイメージです。

今の時代は、ステークホルダー資本主義が大事とされています。株主だけではなく、株主も含む顧客、従業員、取引先、社会、環境などさまざまなステークホルダーが存在します。ステークホルダーとは企業価値を作る「本(もと)」です。それぞれの「本(もと)」がそれぞれの役割を果たすことで企業価値が生じていることを考えると、今の時代の新しい流れになっているステークホルダー資本主義とは、150年ほど前に資本主義の原点とも言われる合本主義と同じことを言っているのではないかと思います。

田中:そうですよね。あらためて合本主義の定義を紹介しますと、「公益を追求するという使命や目的を達成するのに最も適した人材と資本を集め、事業を推進させるという考え方」とあります。公益を追求することが重要であり、キーとなるものに「人材」と「資本」を挙げています。

渋澤:公益を今の言葉で表現すると「パーパス」に近いと思います。なぜ新しい資本主義が必要なのかを考えると、今までの資本主義には課題があったからです。今までの資本主義は悪いことではありませんが、金銭的資本を向上させることにしか注目していないと社会や環境にさまざまな課題が生じます。

新しい資本主義が目指すべきところは、金銭的資本の向上と同時に一人ひとりの「思い」や「行い」などの人的資本を向上させることです。岸田首相も「人への投資」「人的資本」という言葉を使用しているので、基本的に同じようなお考えだと思います。

関係がなさそうな要素を結び、新しい価値を創造する「と」の力

田中:『論語と算盤』もそうですが、渋澤さんはかねてから「と」の力についてのお話をされています。「成長と分配」も「と」でつながっています。成長と分配の両方が重要ということでしょうか?

渋澤:「成長か分配」ではなく「成長と分配」でないと好循環は起こりません。「か」の力と、「と」の力と表現していますが、「か」の力は0か1か、白か黒か、勝ちか負けか、なので効率は高まります。生産性を高めることは企業運営には不可欠です。けれども「か」の力とは、存在している状態を見比べて進めているだけなので、新しいクリエーションを創造していないと思うのです。

一方、「と」の力は、『論語と算盤』のように関係なさそうなものを合わせる力です。そうすると思考が止まる方も少なくはないですが、「と」の力は一見関係なさそうなもの、あるいは、できていない飛躍と現実をつなげる力です。これによって新しいクリエーションが生じるのだと思います。『論語と算盤』に書いてある内容を一言で表すと、「と」の力だと思います。

渋沢栄一が生まれた1840年は江戸時代でした。当時は第二次産業革命の新しい技術によって世の中が激変していた時代です。その中で明治維新というグレートリセットが起きて、明治・大正・昭和というニューノーマルな時代のなかで、渋沢栄一はたくさんの功績を残してきました。現在も世の中は激変しています。資本主義も民主主義も、インターネットなどの新しい技術によって激変しています。そのときにどういう心がまえで変化に立ち向かうべきかのヒントが、渋沢栄一の人生や考えにあり、そして『論語と算盤』における「と」の力なのではないかと思います。常に新しいクリエーションがないと時代の変化に取り残されてしまうのではないかと。

田中:『論語と算盤』とはすごい比喩、メタファーですよね。今の日本には、中国古典だけではなく、広く道徳や教養が不足している気がしますし、同時に算盤、つまり経済、経営ももっと高めていかなければいけない。本当にさまざまな要素が込められている素晴らしいメタファーだと思います。

渋澤:素晴らしいですよね。私は若い頃、渋沢栄一にそれほど関心がありませんでした。その理由の1つは、「資本主義は正しいことをしなければ駄目」と、お説教を受けている感じがしたからです。ですが、時代の文脈や変化を考えると、なぜ正しいことや倫理を経済活動と一致させなければいけないのかについて、明らかな答えを出しています。それは「幸福の継続」「富の永続」というキーワードです。つまりサステナビリティ。そう考えると確かにそうだなと思うのです。人をだませば目先は儲かるけれども、長続きはしない。長続きをさせるにはwin-winの関係がなければいけません。それは信頼関係を作るということともつながると思います。

田中:日本資本主義の父と言われる渋沢栄一ですが、実際は資本主義ではなく合本主義を主張していました。その中核である公益を追求するということについて、今こそ私たちは見直す必要がありますよね。

渋澤:なぜ合本できるかというと、例えば強制的に合わせた場合はその力がなくなるとまたバラバラになってしまいます。しかし、強制の力がなくても共通の目標、行きたいところがあれば一緒になれる。同時にそこには信頼が必要です。商人は今も昔も、信用・信頼されたいという思いがあります。「信」があれば散らばった存在が集まってきますし、そこで新しい価値を作りだすことができる。そんな想いがあったのでしょう。

晩年まで情熱を失わなかった渋沢栄一が、現代に問うもの

田中:合本主義に関連してもう1つご紹介したいのが、『渋沢百訓』という本の「企業家の心得」という章にある、「企業要領」についてです。ここでは、事業を起こすときの4つのポイントが挙げられています。1番目が「その事業は果たして、成立すべきものか否かを探究すること」、2番目が「個人に利益を与えるとともに、国家社会にも利益を与える事業であるかどうかを知ること」、3番目が「その企業を行う好機かどうかを判断すること」、4番目が「事業が成立した後、その経営者に適当な人物がいるかどうかを考えること」。

この4つが凄いと思ったのは、資本主義では資本が最も重要ですが、渋沢栄一はすでにこの中で事業のパーパスが重要であると述べていることです。2番目の「個人に利益を与えるとともに、国家社会にも利益を与える事業であるかどうかを知ること」という言葉は、要するに事業とはパーパス、公益がなければいけないということです。そして、経営者が重要だとも言っています。当時から、人そしてパーパスが重要だと述べている、この4つのポイントはすごいなと改めて思いますがいかがでしょうか?

渋澤:その通りですね。『論語と算盤』の「算盤と権利」の章の「合理的な経営」の部分では、駄目な経営者の3つのタイプについても述べています。駄目なパターンの1番目は「経営者というポストが欲しい人」。これはもちろん駄目な例ではありますが、そこまで大きな害はありません。2番目が「いい人だけれども算盤勘定ができない人」。これはポストが欲しいだけの人よりも害が大きい。いい人が経営者になる方が悪い、というのがおもしろいポイントです。最も駄目なのが「自分のためだけに経営者になる」パターンです。日本では3番目の例はあまり見ない気がしますが、1番目と2番目のパターンはけっこうあるのではないでしょうか。

田中:2番目のパターンは先程の4つのポイントの中の1番目にも通じますね。当たり前で見落としがちなこともきちんと記されていて感銘を受けます。

渋澤:渋沢栄一の時代はある意味、プロの経営者がいた時代です。今の日本のように、組織の中でリスクを取らずに最後まで残った人が経営者になるパターンはあまりなくて、やはり成果を出す人が経営者になっています。成果を出す人はさまざまな企業に必要ということで、ヘッドハントのようなこともたくさん行われていた時代です。最近は日本社会でも考えが変わってきたと思いますが、今までの「日本経営」のあり方は戦後に生まれたものです。明治維新から戦前にかけての30〜40年間はある意味生々しい資本主義でしたよね。

田中:あの時代に『論語と算盤』を主張していなかったら、論語の要素がない商業だけが行われていた可能性は高いですね。だからこそ日本資本主義の父と呼ばれていたのでしょうね。

渋澤:『論語と算盤』が出版された時代背景も大切です。第一国立銀行を作った明治維新前後の時期はまだ、栄一は『論語と算盤』という表現はしていませんでした。『論語と算盤』の出版は、1916年・大正5年です。渋沢栄一が生きていた時代は封建国家だった時代を経て明治維新があり、40年ほどで当時の先進国に追いついた。ものすごい成功ではありますが、大河ドラマでは「こんな日本になってしまって……」という渋沢栄一の嘆きが表現されていました。

「成金」という言葉も第一次世界大戦の好況で儲けた人を指す言葉で、それに対して警鐘を鳴らしていました。商人としてきちんとした道理で商売しないと、せっかく築いた豊かな社会が破壊されてしまうと危惧していたと思います。そして、その危惧が第二次世界大戦という現実となったわけです。豊かさをどう継続させるか。それが、先ほどの『論語と算盤』の信頼や道理につながっていると思います。ただ単に「いいことをしなければ駄目」というお説教よりもよりリアルな考え方です。

田中:大河ドラマ『青天を衝け』の終盤は、渋沢栄一の若いときのエピソードに比べると、今の時代の私たちに対するメッセージ性が非常に強かったと思います。驚いたのは、実業の第一線を退いてからも民間外交でアメリカに行くなど、戦争を起こしてはいけないという熱意に満ち溢れていたことです。70歳を超えてからも変わらず、熱さを持ち続けていたことはすごいですよね。多くの会社を立ち上げたときよりも、終盤の渋沢栄一のメッセージの方が私はすごく重みを感じました。

渋澤:晩年までしっかりと描いてくれたことはありがたかったですね。若い頃に銀行をつくり、岩崎弥太郎と対立したあたりで終わりかと思っていましたが、しっかり最後まで描いてくれたことはとてもよかったです。

良い日本を創るための、3つのNGワード

田中:終盤は中盤と比べると派手さはないけれども、重みがありました。最後にお伺いしたいのは、渋沢栄一が大蔵省から民間の社会起業家に転じた33歳という年齢とタイミングについてです。渋澤さんはこの、33歳というタイミングも非常に重要であると分析されていますよね?

渋澤:今の33歳はミレニアル世代にあたります。日本では人口がミレニアルからZ世代までずっとしぼんでいて、これからの日本は駄目だと言われるのが一般的です。しかし、33歳とは社会に出て10年ほどの経験を積み、自分が何をやりたいのか、何ができて、何ができないのかが見えてくる年齢です。そこで自分のやりたいことにアクセルを踏むことが大事です。

渋沢栄一はもともと商人で、たまたま政府に入りましたが、政府の仕事をやりたかったわけではありません。それに33歳くらいの頃に気づいて、やはり自分は民間の人間だと銀行を立ち上げ、さまざまな功績を残しました。令和の主役は昭和のおじさんではありません。これからは新しい時代の新しい価値観、新しい成功体験を作らなければいけません。それは過去の成功体験を持っていると、なかなかできないのです。

戦後のイケイケドンドンの時代を経験した私たちからすると、社会はあるのが当たり前で、そこでいかに稼ぐかが重要でした。環境に関しても、公害問題があったとしても、成長の代償だと見えないふりをしていました。今の時代はテクノロジーによってさまざまな環境的、社会的課題が見えてしまう。以前は見えなかったことが見える時代です。世界がこのままでは持続可能性は乏しい。一方で、30代の起業家になぜ起業したのかを聞くと「社会を変えたいから」という言葉が普通に出てきます。それでいいと思います。けれども40代以上になると「起業して儲けたいから」と語る人が出てきます。

田中:今の20代、30代はデフォルトの価値観としてサステナビリティを持っていますよね。

渋澤:何故かというとサステナブルでないことが見えてしまうからです。

田中:サステナブルではないところで育ってきたからこそ、そうなってはいけないという価値観を持っていますよね。

渋澤:どの世代でも「仕方ない」と諦めモードに入る人もいれば、「これはまずい」と動く層もいます。その中で、動かなければいけないと思っている若い世代のインパクトは大きく、テクノロジーなどを用いて、自分の考えをすぐに広めることができます。少人数でも、世の中を変えられるツールを持っている。令和時代の新しい日本を作るのは明らかにミレニアル世代・Z世代だと思います。私たちのような世代の役割は、職場においても環境においても、次の世代のスイッチが入るような場と環境を提供していくことです。

田中:私たちの世代の役割を『論語と算盤』的に言うと、変わるものと変わらないものがある中で、何が変わらないのか、何が変わってはいけないのかを伝えていくことだと思います。

渋澤:変わっていけないものは、先ほどにもあった「信頼」のようなものだと思います。変わっていいのは会社のあり方。年功序列や終身雇用は変わってもかまわないでしょう。

田中:そうですね。渋澤健さんは、40歳のときに大きなスイッチが入って、それから使命感をもってさまざまな活動をされていらっしゃいます。今まさに岸田首相に対して直接助言をされる立場となり、今年はますます活躍が期待される1年だと思います。最後にもうひとつお伺いしたいのは、「と」の力についてです。渋澤さんにとって今年は何と何を「と」で合わせていくのでしょうか?

渋澤:私がなぜ、渋沢栄一に関心を持っているかというと、「過去と現在」を「と」でつないでいるからです。もともと私のキャリアはNGOではじまり、日本と海外の架け橋になれればいいと考えていました。「日本と海外」その後は、「ノンプロフィットとプロフィット」を「と」でつないでいます。

昭和の成功体験を持っている人たちと、これから成功体験を作らなければいけない世代を合わせることも必要です。何と何を合わせればいいのか。いろいろなものを合わせていけば、そこに新しいクリエーションが生まれると思っていますし、「できる」か「できないか」ではなく、やるためには何をどうあわせればいいのかを考えていく必要があると思っています。

田中:やりたければ、できるようにするということですね。

渋澤:最後に一言お伝えさせてください。これからの10年で日本の会社はすごく変わると思っています。人口動態と時代の変化を理解して変わっていく会社と、今のままどう逃げ切ればいいのかを考えている会社があるとすると、当然ながら前者の方が10年後には次のレベルに行き、後者は遅れをとっているでしょう。これからは3つの言葉をNGにして欲しいと思います。たった3つの言葉をNGにするだけで、日本の企業・社会はかなりよくなると思います。

田中:ぜひ、お聞かせください。

渋澤:まずは「前例がない」。そして「組織に通りません」。最後が「誰が責任を取るんだ」です。

まず「前例がない」とは、例えば10年を振り返ったときにこの会社は1つの前例も作れなかったということですよね。冗談みたいな話ですが、過去30年間、いろんな側面で聞いてきた言葉です。これからの30年間は聞きたくないと思います。

「組織に通らない」については、担当者としてこの案件はNGですというのは理解できますが、「私はいいと思うけれど、これは組織には通りません」というのは、仕事をしてないということにほかなりません。

「誰が責任を取るのか? 」については、当事者、上司、社長以外に誰が責任を取るのか、ということですよね? 答えは明確だと思います。

これらの言葉を発する組織に勤めているのであれば、有望な若者を求める別の会社に行ったほうがいいと思います。

田中:文京学院大学の島田理事長が『渋沢栄一 社会企業家の先駆者』という著書を出されています。そこでソーシャルアントレプレナーという言葉も使われていらっしゃいますが、まさにソーシャルアントレプレナーの第一号は渋沢栄一だったと思います。最後の3つのNGワードについてもアントレプレナー、スタートアップであればありえない言葉ですからね。スタートアップのカルチャーで企業を経営していく必要があるということでしょうか。本日はご多忙の中、本当にありがとうございました。

渋澤:ありがとうございました。

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