SDGsとは何なのか?定義から具体例までわかりやすく解説!

SDGsという言葉を聞いた事があるでしょうか?企業や地方公共団体が取り組むSDGsなど、様々な形でSDGsが社会に浸透しています。この記事では今さら人に聞けないSDGsの意味、企業がSDGsを意識するメリットをご紹介していきます。

SDGsとは

SDGsとは、持続可能な開発目標ということであり、簡単に言うと、より良い世界を目指そうということです。2001年に策定されたMDGs(ミレニアム開発目標)の後継として、2015年の国連サミットで採択されました。SDGsは、17の目標を掲げ、地球上の誰一人として不幸にさせないことを目的としております。以下で、SDGsが掲げる17の目標について詳しく紹介します。

わかりやすい17の目標

SDGsの17の目標は、以下の通りです。

目標1:あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる
目標2:飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する
目標3:あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する
目標4:すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する
目標5:ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う
目標6:すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する
目標7:すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する
目標8:包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセントワーク)を促進する
目標9:強靭(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る
目標10:各国内及び各国間の不平等を是正する
目標11:包摂的で安全かつ強靭(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する
目標12:持続可能な生産消費形態を確保する
目標13:気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる
目標14:持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する
目標15:陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の防止・回復及び生物多様性の損失を阻止する
目標16:持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する
目標17:持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する

参考:unicef(持続可能な開発目標)

SDGsは環境問題にのみフォーカスを与えているという誤解を得る場合も少なくありませんが、そのような事はありません。むしろ、現在、世界の人々が生活していく中で抱えている課題全般に取り組む姿勢を見せています。中でも持続可能性という面が最重要な側面となっており、いかなる課題も持続可能性を考えたアプローチで健康や教育、経済や環境、全てのことをより豊かにしていくという目標を掲げております。

わかりやすいSDGsのターゲット

上記で紹介したSDGsの17の目標の中には、それぞれ具体的なターゲットがいくつか設定されております。例えば、目標1のあらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせるでは、以下の具体的なターゲットが決められております。

目標1:あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる

1.1 2003年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。

1.2 2030年までに、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、すべての年齢の男性、女性、子供の割合を半減させる。

1.3 各国において最低限の基準を含み適切な社会保護制度及び対策を実施し、2030年までに貧困及び脆弱層に対し十分な保護を達成する。

1.4 2030年までに、貧困層及び脆弱層をはじめ、すべての男性及び女性が、基礎的サービスへのアクセス、土地及びその他の形態の財産に対する所有権と管理権限、相続財産、天然資源、適切な新技術、マイクロファイナンスを含む金融サービスに加え、経済的資源についても行どうな権利を持つことが出来るように確保する。

1.5 2030年までに、貧困層や脆弱な状況にある人々の強靭性を構築し、気候変動に関連する極端な気象現象やその他の経済、社会、環境的ショックや災害に暴露や脆弱性を軽減する。

1.a あらゆる次元での貧困を終わらせるための計画や制作を実施するべく、後発開発展途上国をはじめとする開発途上国に対して適切かつ予測可能な手段を講じるため、開発協力の強化などを通じて、様々な供給源からの相当量の資源の動員を確保する。

1.b 貧困撲滅のための行動への投資拡大を支援するため、国、地域及び国際レベルで、貧困層やジェンダーに配慮した開発戦略に基づいた適正な政策的枠組みを構築する。

参考:unicef(持続可能な開発目標)

上記の例は、ほんの一例ですあり、17の目標一つ一つにこのような具体的なターゲットが決められているのです。ターゲットの達成度合いを考える際にはさらに指標というものが使用され、達成度合いが数値化されて比較対象になります。

SDGsとESGsの違い

SDGsとESGsの違いをより分かりやすくするために、SDGsとESGsの違いをおさらいしましょう。

・SDGsは、17の目標と169のターゲットを達成する目標
・ESGsは、環境や社会性、企業統治の3つから分析し投資を行うかを判断する方法

つまり、SDGsは目標であり、ESGsは目標達成のためのプロセスといえます。企業側がSDGsの目標を達成するためには、膨大な資金が必要となります。当然、企業のみでその資金を抽出するのは難しく、どこかから資金調達を行わなければなりません。その資金調達方法として、今注目を集めているのがESGsです。世界では、すでにESGsでの資金調達が主流となっているため、日本でも近い将来主流になっていくと考えられます。

SDGsの世界の流れ

SDGsの達成状況は、以下の通りです。
順位 国名 達成度
1位 デンマーク 85.2%
2位 スウェーデン 85.0%
3位 フィンランド 82.8%
4位 フランス 81.5%
5位 オーストリア 81.1%
6位 ドイツ 81.1%
7位 チェコ 80.7%
8位 ノルウェー 80.7%
9位 オランダ 80.4%
10位 エストニア 80.2%
参考:SUSTAINABLE DEVELOPMENT REPORT

上位10か国は、すべて欧州の国となっております。ちなみ日本は、15位で達成率が78.9%となります。なぜ欧州の国が上位を占めているのかというと、欧州企業の理解度が高いからです。例えば、デンマークのおもちゃブランドLEGOでは、サステナブル素材というエコ素材を使用しツリーハウスの販売を開始しております。また、ブロック商品をすべてサステナブル素材にするという目標を掲げており、高い意識をもってSDGsの目標に取り組んでいることがわかります。しかし、全17の目標のうち達成しているものといないものがあり、特に飢餓をゼロにすることや海の豊かさの保護などでは、まだまだ目標が達成していない状況といえます。ランキング上位の国々でも、まだまだ改善しなければならないとことはたくさんあるのです。

わかりやすい日本のSDGs

2015年の国連サミットでSDGsが採択された後、日本ではまず基盤づくりから対策を行いました。翌年2016年には、総理大臣を本部長、官房長官、外務大臣を副本部長とし、SDGs推進本部を設置しました。さらに、その配下では、行政や企業など幅広いステークホルダーによって構成されるSDGs推進円卓会議にて、今後の取り組み指針となるSDGs実施指針を決定しました。このように、日本では、国、企業一体で取り組んでいくという姿勢を表しているのです。

日本のビジネスにかかるSDGs

日本では、SDGsの目標を達成するために様々な対策を行っていますが、その中の一つとしてsociety5.0というものがあります。society5.0とは、仮想空間と現実空間を融合させ、経済の発展と社会問題の両方を解決する人間中心の社会を表したものです。超スマート社会とも呼ばれております。societyには、以下の種類があります。

・society1.0(狩猟社会)
・society2.0(農耕社会)
・society3.0(工業社会)
・society4.0(情報社会)
・society5.0(創造社会)

society5.0(創造社会)では、すべての作業をロボットやAIに任せます。だからと言って、ロボットやAI中心になるのではなく、あくまでも人間中心の社会を目的としております。弱い立場の老人や障害者の方なども、ロボットやAIが自動でやってくれるため、健常者と同じようなことができるようになります。society5.0(創造社会)が本格的に導入されれば、誰一人として残さずみな平等という目標を達成することが可能です。

地方創生にかかるSDGs

日本政府は、SDGsを活用しながら地方創生を行おうと考えております。地方創生とは、東京に集まる人口を少しでも地方へ流し、地方をより活性化させるためのものです。SDGsが地方創生の何に役立つのかというと、まずは地域の活性化があげられます。例えば、若者はお金を稼ぐためにどうしても東京へといってしまいます。しかし、SDGsの目標でもある地域で稼げるような環境を作れば、若者の東京への流失を少しでも防ぐことが可能です。このように、日本政府はSDGsを活用しながら地方創生を考えているのです。

次世代、女性のエンパワーメントのSDGs

日本では、先進国でありながら実は女性の社会進出という点では、世界よりも遅れをとっているのが現状です。そこでSDGsの17の目標の一つ「ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う」を達成するために、日本政府は様々な試みを行っております。例えば、男性が育児を積極的に行う「イクメンプロジェクト」や社会に積極的に参加できるよう「女性応援ポータルサイト」の設立など、女性が社会進出できるような対策などです。少しずつですが、政府がこうした対策を行うことにより、女性の社会進出も少しづつ増えていっているのが現状です。

企業のSDGsの取り組み

ここでは、企業が実際に行っているSDGsへの取り組みについて紹介します。まず、世界規模でみるとスポーツブランドとして有名な「アディダス」は、2015年より取り組みを行っております。海洋環境保護団体と連携し、ゴミを再利用したランニングシューズの開発を行っております。その後も活動を続け、2019年にはプラスチックを再利用したランニングシューズを作ったとして、話題となります。では、続いて日本の企業が実際に行っているSDGsへの取り組みについて紹介します。まず、トヨタ自動車(製造業)では、CO2ゼロチャレンジやライフサイクルCO2チャレンジなどを行っており、2030年までに電動車の販売を550万台以上を目指すと発表しております。次に、日本航空(運輸業)では、地球の温暖化現象を解明するために、航空機による大気観測プロジェクトを行っております。その他にも、流通業や建設業など、様々な業界でSDGsへの取り組みを行っております。

企業がSDGsに取り組むメリット

企業がSDGsに取り組むことにより、目標達成につながる製品やサービスを開発することにより、新たなビジネスチャンスが生まれます。また、近年ではESGs投資も主流となっているため、投資家からの評価も高くなるだけではなく、顧客にも良いイメージを与えることが可能です。さらに、評判が良いという企業で働いているということから、働いている従業員のモチベーションの向上にもつながります。企業がSDGsに取り組みことにより、多くのメリットが得られることでしょう。

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