グリーンモンスター株式会社は、2013年に設立された、投資学習支援事業を展開している企業だ。「おかねに対する意識と行動を変える」をミッションに掲げ、投資初心者に向けて金融リテラシーを向上させるサービスを提供している。主力サービスは、リアルタイムの為替データを活用したFX投資シミュレーションアプリ「FXなび」、日米の7,000以上の銘柄に対応した株式投資シミュレーションアプリ「株たす」、NISAやiDeCoにおいて、毎月の投資額と期間から運用益を導き出す資産運用シミュレーションアプリ「トウシカ」だ。同社が提供するアプリの累計ダウンロード数は780万を超えている。
このような「体験型投資学習アプリ」事業に加え、2023年1月にはM&Aにより、個人・法人向けの金融教育サービス事業にも参入した。既に、三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社に対して、従業員専用の投資学習アプリを提供している。2023年6月期の売上高に占める割合は「体験型投資学習アプリ」事業が98%だが、今後は金融教育サービス事業にも力を入れていくとのことだ。
同社は、2023年6月期の売上高が約17億1,100万円で、営業利益は約1億6,400万円だった。2024年6月期は、第3四半期累計で売上高が約15億4,100万円、営業利益が約2億5,000万円となっている。
同社の主力サービスである三つのアプリの共通点は「体験型」であることだ。FX・株式投資・資産運用と、内容は異なるが、どれもリアルタイムデータなどを活用し、リアルなシミュレーションを体験できる点で一致している。同社は、投資初心者や投資未経験者をターゲットとしており、実際にユーザーの約8割が投資未経験者だという。そのような「投資に関心はあるけれど不安もある」という層に対して、従来のような座学や金融商品の提案ではなく、「実際にやってみる」という体験型のサービスを提供することで、独自のポジショニングを構築している。同社の体験型アプリを経て投資を始めるユーザーは、月に約5,000名(2023年6月期の平均)も存在するとのことだ。そして、このように投資を始めるユーザーが、口座開設などをする際に金融機関へと送客することによって発生する成功報酬がグリーンモンスターの収益となっている。
2024年1月、投資による利益が非課税となる「NISA(少額投資非課税制度)」が、内容を一新し「新NISA」としてスタートした。新NISAでは、非課税期間が無期限となり、非課税となる限度額が引き上げられるなど、非課税枠が増加しており、国を挙げて「貯蓄から投資へ」を推進している。グリーンモンスターも、この流れに合わせて、野村ホールディングス株式会社との共同開発アプリ「つみたて投資学習アプリPowered by トウシカ」において、NISAに特化した「おすすめ商品診断機能」を追加、また、一般社団法人全国銀行協会との共同開発アプリ「体験型投資学習アプリ『まねらん』」では「NISA(つみたて投資枠)デモ取引機能」をリリースするなど、新NISAに合わせたサービスを提供している。さらに、2024年1月以降、「株たす」や「トウシカ」の投資デビュー支援数や平均報酬単価も上昇しているという。新NISAの開始に合わせて、新たな投資家の増加に沸く投資業界だが、今後は、この流れが一過性のものではなく、継続的に続くかどうかが焦点となる。