スマートフォンの位置情報データの分析により得られる「人流データ」は、コロナ禍における都市や施設の人出の変化をいち早く把握する方法として利用されるようになったが、この「実世界の人の動きの見える化」が可能な「人流データ」の活用は幅広い分野で広がっているという。不動産ファンドの事業においても投資対象となるホテル、商業施設、オフィスビルなどの対象物件および周辺環境の人流を把握することは対象物件の利用度合いや将来の利用を予測する方法として有効であり、物件の不動産価値を測る基礎的なデータとなる。この「人流データ」を投資判断のために利用することは「オルタナティブデータ」としてREIT(不動産投資信託)をはじめ、株式投資、ファンド運営などの金融・投資の事業分野で活発化しており、オルタナティブデータの利用が先行する米国では2,000億以上の市場へ急成長しているとのことだ。
クロスロケーションズの開発した「位置情報ビッグデータ解析エンジン Location Engine」と分析・視覚化プラットフォームであるLAPは、100メートル単位での大雑把な範囲ではなく、個別物件単位(ビルや施設単位)での「人流データ」を推計・把握できることから、不動産投資運用において有用となる投資先物件単位での人流を把握することが可能となっている。
今回の共同開発は、アクティブリテック社の持っている不動産ファンド業界における知見や不動産業界向けサービスのノウハウとクロスロケーションズのシステム、技術を組み合わせることによって、不動産ファンドのニーズに合致したデータの分析サービスを提供するものだ。本サービスは本年4月よりアクティブリテック社経由で日本の不動産ファンドをメインターゲットとしたセールス活動を開始し、物件取得検討時のデューデリジェンスおよび保有物件でのモニタリング等での利用を想定し、2022年度で年間50物件の利用を目標としているとのことだ。
本サービスは、対象となる建物・敷地単位での人流や周辺環境の人流およびその属性情報を統計分析し、レポート形式で報告するサービスとなっている。コロナ禍以前からの時系列推移、来館者の詳細分析(年代・男女比率、曜日・時間帯別比率、推定居住地マップなど)、競合物件や周辺ランドマーク施設・最寄り駅等の周辺との増減傾向の比較分析等を行う。