52％の従業員が生成AIを日常的に使用、前年から大幅増～BCG調査

ボストン発、2024年6月26日　――　経営コンサルティングファームのボストン コンサルティング グループは、職場におけるAI活用に関する意識調査「_AI at Work 2024： Friend and Foe_」を発表した。調査は日本を含む世界15の国・地域において、経営幹部から従業員までを含む1万3,000人以上を対象に行われた。BCGのデジタル領域に特化した専門家集団BCG Xが実施し、昨年に続き2回目となる。

「AIが仕事に与える影響」について働き手の意識［注1］を調査したところ、「（効用を）確信している」と回答した人の割合は42％と、昨年の26％から増加している（図表1）。一方、「不安を感じている」の割合も昨年から5％ポイント増加した。また、AIや生成AIを日常的に使用している人［注2］のうち49％が、AIや生成AIの進化によって今後10年で自分の仕事がなくなるかもしれないと考えている一方、全く使用していない人ではこの割合は24％だった。

今回の調査は、企業が生成AIの試験運用を終えて組織基盤に統合しはじめる“過渡期”に行われた。働き手が生成AIにふれる機会も昨年に比べ増えており、特に従業員の生成AI活用については顕著な変化が見られた。「生成AIツールを日常的に使用している」と回答した従業員の割合は52％で、昨年の2倍以上、うち43％は業務にも使用していることがわかった（図表2）

レポートの共著者でありBCG Xのグローバルリーダー、Sylvain Durantonは次のようにコメントしている。「生成AIは革命的なテクノロジーであり、人々が相反した感情を抱くのも不思議ではない。経営リーダーは、人間が生成AIを理解し、対話する道のりの複雑さを認識することで、人間と機械という双方の働き手の強みと価値を最大化する形で、組織を再構築できる」

調査結果を地理的な観点で見ると、ブラジル、インド、ナイジェリア、南アフリカ、中東諸国といったグローバルサウスの国々の回答者が、生成AI活用の効果をより確信していることが明らかになった（図表3）。日本は「確信している」の割合が調査対象国中最も低く、「不安を感じている」の割合は最も高い。

業務での使用率についても同様の傾向が見られ、グローバルサウスの国々では、経営層から従業員に至るまで、生成AIを日常的に使用する人の割合がグローバルノース［注3］の国々より高いという結果になった。日本ではこの割合が経営層で76％と概ね高いものの、管理職で31％、従業員で16％と調査対象国中最低だった。

生成AIを業務に使用している回答者の58％が、生成AIツールを使うことで週に少なくとも5時間を節約できていると回答している。節約した分の時間は、「より多くの業務をこなす」（41％）、「新規の仕事に着手する」（39％）、「生成AIの利用法を探る実験をする」（38％）、「戦略的な仕事に取り組む」（28％）といったことに充てられている。

レポートの共著者であるBCGパリ・オフィスのマネージング・ディレクター＆パートナー、Vinciane Beaucheneは次のようにコメントしている。「私たちは生成AIの新時代に突入している。楽観や好奇のまなざしを向ける段階から、生成AIが仕事に与える前向きな効果を信じ、価値を実現していく段階に来たということだ。職場への生成AI導入が進み、働き手一人ひとりがその便益を実感しはじめている。企業も、投資の価値を引き出すためには生産性を超えた視点で考え、生成AIツールを使用することで節約された時間を価値とやりがいのある活動に振り向ける包括的かつ能動的なアプローチをとることが重要だと感じ始めている。加えて、従業員がそのように行動できるようリスキルし、組織やオペレーションモデルを再構築する必要性も実感しつつあるようだ」
［注1］回答者は「AIが仕事に与える影響」に対する意識を7つの選択肢（関心、楽観的、懸念、確信、無関心、不安、拒絶）から選んだ
［注2］少なくとも週に1回使用する場合を「日常的に使用」と定義
［注3］調査対象の国々には英国、米国、フランス、ドイツ、ベルギー、オランダ、イタリア、スペイン、オーストラリア、日本が含まれる

｢AI at Work 2024： Friend and Foe」