がん患者サポートアプリ「ハカルテ」をリリース

株式会社DUMSCOが、京都大学医学部附属病院との共同研究により開発したがん患者サポートアプリ(臨床研究用)を一般ユーザー向けアプリに改修し、「ハカルテ」としてリリースした。

株式会社DUMSCOは、京都大学医学部附属病院(以下、京大病院)との共同研究により開発したがん患者サポートアプリ(臨床研究用)を一般ユーザー向けアプリに改修し、「ハカルテ」としてリリースした。

App Store:https://apps.apple.com/app/apple-store/id6470423741
GooglePlay:https://play.google.com/store/apps/details?id=com.hakarute.user.android
公式サイトURL:https://hakarute.com/
「ハカルテ」はスマホで簡単に体調を測定・記録でき、がん患者が医療者に心身の状態を伝える手助けをするアプリだ。
がん患者が自分の状態を知り、より主体的に治療やケアを受けられるようサポートすることで、がん患者の自己効力感を高め、QOL(生活の質)向上に寄与する。
DUMSCOが京大病院との共同研究により医学研究用アプリ「ハカルテリサーチ」を開発し、京大病院をはじめとする全国の医療機関において臨床試験を行ってまいりましたが、研究の場のみならず、より多くの方のがん治療に寄与していくことを目的に、この度一般ユーザー向けアプリへと改修し、「ハカルテ」としてリリースした。

■ 1. アプリで手軽に「測る」

体調が優れないときでも、簡単な操作で日々の症状や体調を測定・記録でき、自分の状態が分かる。
また、スマホのカメラで心拍変動を測定することで、治療中の心身の状態を可視化できる。
出典元:プレスリリース

■ 2. 適切な治療に「つなげる」

記録した内容をもとに分かりやすいグラフが自動で作成され、体調の変化を振り返ることができ、医療者への相談の際にも活用できる。
また、医療者への相談のしかたや受診のアドバイスを提供し、医療者とのスムーズなコミュニケーションを助ける。
さらに、気軽に医療者に相談できるチャット機能により、治療生活で困っていることをサポートする機能を後日追加予定だ。
※アドバイスおよびチャット機能は今後追加リリース予定
出典元:プレスリリース

■ 3. がんと闘う「背中を押す」

自分の心身の状態について、医療者にも伝わりやすい形式で記録することができ、医療者との円滑なコミュニケーションをサポートする。
主体的な治療生活をサポートすることで「治療が自分の手の中にある」と感じられるようになり、がん患者の自己効力感を高める。
出典元:プレスリリース

■ハカルテ開発の背景1:医療の進歩に伴うがん治療の変化

近年のがん治療は、長期の入院はせずに定期的(化学療法の場合は数週間に一度ほど、放射線療法の場合は連日のケースが多い)に通院し、外来で治療を行う形式が一般的だ。
しかし、治療期間のほとんどを自宅で生活しながら過ごす患者にとっては、体調の変化や治療の副作用について、すぐに医療者に相談できないという不安と隣り合わせでもある。
「ハカルテ」は、患者が自分のスマホで日々の体調やライフログ*1を記録し、診察前に体調記録やメモを確認することで、前回の治療以降の体調変化や質問事項を伝えやすくし、主体的な治療をサポートする。

■ハカルテ開発の背景2:がん治療における患者のQOL維持・向上の重要性

多くのがん患者は、がんと診断されることや治療の副作用などにより、心身ともに大きな負担を感じ、QOLが著しく低下することがわかっている。
また、QOLの低下が治療の中断につながることも少なくなく、治療を完遂するためにはQOLの管理が重要となっています。海外では、QOLを管理することにより治療成績が上がったという報告*2もある。

そういった背景もあり、近年はがんを治すことだけではなく、がん患者の不安を取り除き、QOLを維持・向上することの重要性が叫ばれている。

しかし、限られた診療時間の中で、医療者が十分に患者のQOLに配慮した対応をすることは難しく、がん治療における課題の一つとなっている。

「ハカルテ」は症状やライフログのデータによって心身の状態を可視化することで、がん患者のQOLを客観的に評価し、短い診療時間のなかでも医療者と患者が円滑にコミュニケーションを取れるようサポートする。

■ハカルテ開発の背景3:がん患者の体調記録の重要性

様々な研究で、医師は患者の訴えを過小評価していると報告されている。
特に、心理面や社会面についてその傾向が強く、症状では痛みやしびれ、だるさ、不眠等について、医師が患者の訴えを過小評価したり、実態を捉えにくかったりすると言われている。*3

患者がよりよい治療を受けるためにも、自分の症状とその程度について記録したものを主治医に見せて、心身の状態を正しく理解してもらうことが重要だ。
*1 ライフログ(lifelog):人間の活動(life)の記録(log)のことで、日本語訳すると生活記録と訳される。ハカルテで記録できるライフログは、心拍変動・歩数・睡眠・気分など。
*2 Basch E, Deal AM, Dueck AC, et al. Overall Survival Results of a Trial Assessing Patient-Reported Outcomes for Symptom Monitoring During Routine Cancer Treatment. JAMA. 2017;318(2):197-198.
*3 Basch E. The missing voice of patients in drug-safety reporting. N Engl J Med. 2010 Mar 11;362(10):865-9.

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