住信SBIネット銀行、kintoneで顧客対応に伴う社内確認工数を半減

kintoneと生成AIを連携させ、顧客電話用対話型AIのシナリオ作成にも着手

サイボウズ株式会社は、住信SBIネット銀行株式会社の「kintone(キントーン)」活用事例を発表した。住信SBIネット銀行は、ビジネスの規模拡大に伴って課題となっていたカスタマーセンターから他部署へのエスカレーションを、表計算ソフトとメールでの作業からkintoneに移行することで、工数を半減させることができた。また、M-SOLUTIONS株式会社が提供する、kintone内でChatGPTなどの生成AIが使用できる「Smart at AI for kintone Powered by GPT(以下Smart at AI)」との連携によって、顧客電話用対話型AIのシナリオ作成にも着手している。

■kintoneの導入背景とカスタマーセンターでの業務効率化の成果

住信SBIネット銀行は、インターネット専業銀行として2007年に開業した。デジタルバンク事業をはじめ、パートナー企業にフルバンキング機能を提供するBaaS(Banking as a Service)事業や、カーボンクレジット・第一次産業のDXなどに取り組むTHEMIX事業など、銀行を超えたテクノロジー企業として対応領域を拡大している。

同社のカスタマーセンターでは、オペレーターが顧客からの問合せ内容を所管部に確認する際の手段として、表計算ソフトとメールを利用しエスカレーションを行っていた。しかし、ビジネス規模が拡大するにつれ、大量なデータによるファイル破損対策や、大人数でのファイル共有によるデータ更新時やメール送受信時のオペレーションリスク防止策など、考慮すべき課題が発生していた。これらの課題を解決するため、kintoneを情報共有基盤として採択するに至った。採択の決め手は、kintoneがISO認証、FISC安全対策基準など、金融機関に求められるセキュリティ要件を満たしている点や、監査ログを残せる点に加え、誰でも簡単に使え、スモールスタートできるため初期投資が少なく済む一方で拡張性に優れ、外部連携もしやすいなどの点が挙げられた。

kintoneを導入し、業務フローの再構築を行ったことで、複数人月程度におよぶ工数を要していたエスカレーション業務の工数が半減するなど、業務の効率化が推進され、データの信頼性・堅牢性を高めることによる業務の高度化にも成功した。

現在は、問合せをエスカレーションする先の部署の担当者もkintoneを利用しているため、カスタマーセンター以外の複数の部門にもkintone導入が拡大している。当初20ユーザーで契約したkintoneアカウントは、導入から2年経った現在では、550ユーザーにまで増強されている。実験的に開発したものも含めると、200を超えるアプリが作成されている。

■kintone+生成AIで、顧客電話用対話型AIのシナリオを作成

住信SBIネット銀行は、今後もさらにkintoneを活用した業務改善を行うため、kintoneと生成AIを活用した新たな試みにも取り組んでいる。

顧客の電話に自動応答を行う対話型AIの活用に向け、kintoneとM-SOLUTIONSが提供する「Smart at AI」のプラグインを利用して、受け入れテスト(UAT)のシナリオを作成している。作成した質問文は、UATで対話型AIがどう回答するかのテストに使用されている。一問一答形式で処理を行うチャットベースの生成AIに対し、kintone+Smart at AIでは、APIコールの連続実行によって繰り返し処理を行えることから、時間と手間の大幅な削減が可能となっている。また、AIの活用により、業務担当者がシナリオを作成する際に起こり得るバイアスや偏りを防ぐことが見込まれ、受け入れテストの精度の向上が期待されている。
出典元:プレスリリース

■今後の展望

住信SBIネット銀行は、今後、各種システムと利用者をつなぐためのフロントエンドUIとしてkintoneを活用していく予定である。また、AWS上に展開している基幹システムとのAPI連携を進めていくことで、セキュリティ要件を満たしながらクラウド内で業務が完結できるような環境を目指している。

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