プラットフォーマー研究

【実態調査】首都圏では約5人に1人が「脱現金層」。コロナ禍で加速

海外に比べると遅れていると言われてきた日本のキャッシュレス決済。しかし新型コロナウイルスの感染防止を目的とした接触機会の減少を背景に、キャッシュレス決済利用者は増加してきているように感じます。さらに従来から利用されてきたクレジットカードに加え、スマートフォンにアプリをダウンロードして使うQRコード決済など、一言で「キャッシュレス決済」といってもその種類は多様化してきています。
果たしてキャッシュレス決済は、どんな層に最も浸透していて、よく使われているサービスは何なのか。年齢や地域によって、利用状況に違いはあるのかどうか。デジタルシフトタイムズでは、全国408名を対象に、インターネットアンケート調査を行いました。今回はその結果を元に、日本のキャッシュレス事情の実態に迫ります。

ざっくりまとめ

- コロナ禍を追い風に、約2.5人に1人がスマホでのキャッシュレス決済を利用開始。
- 約9割以上がスマホでのキャッシュレス決済を月1回以上利用。
- 利用率が高いのはクレジットカード、PayPay、交通系電子マネーの順。
- 「脱現金層」は15%、首都圏では約19.8%(約5人に1人)。
- 年代によって利用サービスが変わり、そのセレクトはライフスタイルに関係すると推測される。
- 一都三県では交通系電子マネーの人気が高く、コロナ禍以降の利用頻度も他のエリアより高い。
*本記事では、「スマホでのキャッシュレス決済」の定義をPayPay、LINE Pay、楽天ペイなどのQRコード決済、およびモバイルSuicaなどスマートフォン内に入っている交通系キャッシュレス決済としています。
<調査概要>
●調査名:キャッシュレス決済に関する調査
●回答者数:408名
●調査期間:2021/08/24~2021/08/25
●調査対象者
 性別:指定なし 年齢:15~69歳 地域:全国

コロナ禍以降、約2.5人に1人がスマホ決済を利用開始

スマホでのキャッシュレス決済をここ2年以内に開始した人は41.4%。このデータを踏まえると、約2.5人に1人はコロナ禍以降にスマホでのキャッシュレス決済の利用を始めています。政府が消費税増税をきっかけにキャッシュレス決済のポイント還元制度を実施したのは、2019年10月〜2020年6月。この制度によるキャッシュレス決済普及の影響もあると考えられますが、新型コロナウイルス感染拡大をきっかけに現金決済を避ける動きが見られ、クレジットカードを使わない小口決済にもスマホでのキャッシュレス決済を利用する層がさらに増加したと推測されます。
さらに、年代別にスマホでのキャッシュレス決済の利用開始時期を見ると、10~20代の男女と40代女性で「2年未満で開始」した傾向が強く見られました。

利用率が高いのはクレジットカード、PayPay、交通系電子マネーの順

スマホでのキャッシュレス決済が普及したとはいえ、今でも利用率が最も高いのはクレジットカード。男女とも年代が高くなるほど利用者が増え、60代以上では7割を超える人が利用しています。

クレジットカードに次いで人気なのがPayPay、交通系電子マネーです。PayPayは男女とも40代の利用率が高く、交通系電子マネーは男性では年齢が上がるにつれて利用者が増える一方、女性は20代をピークに40代・50代の利用割合がグッと下がっています。
年代別の利用差は他のサービスでも見られ、交通系以外の電子マネー(WAON、nanaco、楽天Edyなど)は男女とも40代以上の人に愛用者が多く、楽天ペイは男性、特に20代の利用率が高いようです。さらにメルペイは10~20代の女性の利用率が高く、普段利用している通信会社や店舗・オンラインサービスに合わせたサービスを選択している人が多いのではないかと思われます。

国内での「脱現金」層は約15%

コロナ禍でスマホでのキャッシュレス決済を使う頻度の変化を性別・年齢層別に見ると、頻度が高くなった人は女性のほうが多く、10~30代と60代以上では半数以上の人が「頻度が高くなった」と回答しています。
また、コロナ禍以降、スマホでのキャッシュレス決済を月1回以上、継続利用している人は9割以上を占め、今では「現金をほとんど使わない」人も14.8%いることが分かりました。
この割合は「スマホでのキャッシュレス決済をほとんど使わない」と回答した人よりも5ポイント以上高く、さらに週1回以上の利用頻度では、スマホでのキャッシュレス決済のほうが現金をすべて上回っていることから、日常生活の「脱現金化」が浸透しつつあることがうかがえます。

10代男性は「脱現金」が当たり前!?

スマホでのキャッシュレス決済が浸透しつつあるものの、その利用頻度は年齢や性別によって差が見られました。
男女を通じて利用率が最も高いのは30代であり、いずれも1割以上の人が毎日スマホでのキャッシュレス決済を利用していると回答。また、週に2~3回以上利用しているのは男性のほうが多く、特に10代では65%もの人が週2~3回以上利用していることが分かりました。若年男性においてはキャッシュレスが生活の当たり前になりつつあるようです。
一方、女性は利用頻度が男性よりも低い傾向にあり、なかでも40代の女性はコロナ禍でスマホでのキャッシュレス決済を利用し始めた人が半数以上いるにも関わらず、「現在はほとんど使わない」と2割以上が回答しました。
これらの結果から、「荷物をなるべく少なく、できれば手ぶらで出かけたい男性を中心にキャッシュレスが浸透」し、「個人商店をはじめとするキャッシュレス非対応のお店や、対応する決済サービスがさまざまであるお店を使い分けなければいけない子育て世代の女性は、完全なキャッシュレスに移行しにくい」とも考えられ、性差や年代による行動習慣・ニーズは、決済方法の変化に大きな影響を与えるのではないかと推測されます。

首都圏在住者の約5人に1人は「脱現金」層

居住地別にスマホでのキャッシュレス決済の利用状況を見ると、実は首都圏のほうが利用していない割合が高く、約1/4の人が利用開始していないという結果になりました。
ただし、首都圏の在住者は約2割(19.8%)の人が現金をほとんど使っておらず、さらにスマホでのキャッシュレス決済の利用頻度もその他のエリアよりも高いという状況にあります。首都圏のほうが、キャッシュレス対応店舗が多いなどの理由から、一度使い始めれば定着しやすいのではないかと思われます。
この状況を裏付けるかのように、首都圏のほうが「コロナ禍以降は決済頻度が高くなった」と回答した人が多く、58.6%にものぼっています。
なお、利用する決済サービスにもエリア差は見られ、首都圏では交通系電子マネーの人気が非常に高く、クレジットカードを上回る6割以上の人が利用しています。その他のエリアでの利用率は24.3%と大きな差があることから、交通網の発達具合や、日常的に利用する交通手段もキャッシュレス化に影響を与えると考えられます。

そのほか、首都圏で利用率が高いサービスはクレジットカード・PayPay・LINE Payで、逆に地方での利用率が高いのは楽天ペイ・d払いという傾向も見られました。

最近では、税・公共料金の支払いにも利用できたり、また地方自治体が独自に「地域Pay」を発行したりするなど、支払い方法もその種類も多用化しているスマホでのキャッシュレス決済。2024年に新紙幣が発行されますが、その頃には「脱現金化」が一層進んでいるかもしれません。

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