Waymo(ウェイモ)は、2016年に設立された、自動運転技術を開発し、自動運転車の配車サービスを提供する企業だ。Googleを擁するアルファベットの傘下で、元々は2009年にGoogleの自動運転車プロジェクトとして、トヨタのプリウスで自動運転をする挑戦から始まった。2015年、公道での完全自動運転を実施。2018年には、世界初となる自動運転車を配車する商用サービス「Waymo One」をアメリカ アリゾナ州フェニックスで開始した。当初は、万が一に備えてドライバーが同乗していたが、2020年にはドライバーを排し「完全無人」のサービスとなった。その後、アメリカ カリフォルニア州のサンフランシスコ・ロサンゼルス、テキサス州オースティンなどへとサービス提供を拡大している。まだ限られた地域での提供だが、その範囲は確実に拡大している。
Waymo(ウェイモ)は人を運ぶだけでなく、物流業界にも自動運転を導入しようとしている。ダイムラー・トラックと提携し、自動運転トラックを開発したり、貨物輸送大手のUPSと提携し自動運転トラックの試験運転を実施するなど、物流への関与を積極的に進めてきた。しかし、2023年7月、トラック輸送に関する事業化や技術開発を延期し、配車サービスに注力することを発表した。ダイムラー・トラックとの協業は継続するとしているが、直近では配車サービスの事業を軌道に乗せることを優先するとのことだ。
アルファベットの傘下であるWaymo(ウェイモ)だが、外部からの資金調達も実施している。2020年に、約32億ドル(約4,800億円)の資金調達を実施。翌年、2021年にも約25億ドル(約3,750億円)の資金調達を実施した。
Waymo(ウェイモ)は、公道での何百万マイルの走行記録と、何十億マイル分のシミュレーションにより、大量のデータを蓄積しながら、AIや機械学習を導入し、自動運転技術を開発しているという。外部データだけを頼るのではなく、車体のセンサーからリアルタイムに収集したデータを活用して作成した詳細なマップによって、道路情報を正確に把握し、最適な運転を実現している。また、配車サービスである「Waymo One」の利用方法もシンプルだ。タクシー配車サービスやライドシェアサービスのように、アプリから目的地を設定すると、自動運転車が配車される。アプリでドアの鍵を開けて乗車すれば、目的地まで運んでくれる。車内では、設置されているモニターから音楽やポッドキャストを流したり、温度の調節をすることもできる。ドライバーのいない空間であることから、移動中をよりプライベートな時間として利用することも可能だ。
Waymo(ウェイモ)に限らず、自動運転の普及の課題として頻繁にあげられるのは危険性の問題だ。冒頭でも触れたように、2024年2月、Waymo(ウェイモ)は自主的なリコールを行ったと発表した。その直前に発生していた2件の事故などについて社内で検討した結果、リコールに至ったという。現在は、全ての車両のソフトウェアが更新済みであるとのことだ。2023年12月、Waymo(ウェイモ)は同社の700万マイル以上の走行記録を分析し、人間の事故率と比較した調査結果を発表した。その結果、けがを伴う事故率はWaymo(ウェイモ)の方が85%低かったという。もちろん、このデータだけでは一概には言えないが、自動運転の方が安全とされる社会に近づいているのかもしれない。このようなデータも活用しながら、自動運転への信頼を獲得できるかどうかが、Waymo(ウェイモ)を含めた自動運転業界の命運を握るだろう。