生成AIブームの火付け役「ChatGPT」を生み出した「OpenAI」 〜海外ユニコーンウォッチ #13〜

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「ユニコーン企業」ーー企業価値の評価額が10億ドル以上で、設立10年以内の非上場企業を伝説の一角獣になぞらえてそう呼ぶ。該当する企業は、ユニコーンほど珍しいという意味だ。かつては、FacebookやX(旧、Twitter)もそう称されていた。本連載では、そんな海外のユニコーン企業の動向をお届けする。なお、昨今の市場環境を鑑み、本記事は特別に「設立10年以内」という制限を外してユニコーン企業として選出する。

今回は、生成AIサービス「ChatGPT」を運営する「OpenAI」を取り上げる。最近では、提供する生成AIサービスについてはもちろんのこと、同社の共同創業者でもある、実業家のイーロン・マスク氏がOpenAIに対し訴訟を起こしたことでも話題となった。

世界中から注目を浴びる「OpenAI」

OpenAIは、2015年に非営利団体として設立され、生成AIサービスの開発・運営などを手掛けている。現在に繋がる「生成AIブーム」の先駆けとして登場したChatGPTが注目されるとともに、その名は世界にとどろき、2023年にはマイクロソフトが約100億ドル(約1兆5000億円)の出資を発表した。複数の報道によると、今ではOpenAIの企業価値は800億ドル(約12兆円)以上になっているという。

OpenAIが開発する生成AIは、ChatGPTだけではない。2023年9月、同社は画像生成AI「DALL·E 3」を公開した。ChatGPT上で利用でき、生成される画像の質が高いことから人気を博している。さらに、2024年2月には、テキストから最長1分の動画を生成するAI「Sora」を発表した。AIによる動画の生成は技術的に難しいとされていたが、Soraによる動画のクオリティの高さに、世界はまた衝撃を受けた。

最近では、OpenAIの資金調達の動きも話題となっている。AI開発を進めるため、半導体の製造にも関わるとして、何百兆円もの資金を調達するというのだ。資金調達自体はまだ未定で、実際にどれほどの金額を調達し、何をするかはまだわからないが、この金額の話題が出ること自体がOpenAIの将来性を物語っていると言えるだろう。

機能の拡張を続ける「ChatGPT」

OpenAIの主力サービスである「ChatGPT」は生成AIの一種で、大規模言語モデルで構築されたソフトウェアだ。「プロンプト」と呼ばれる指示文を入力することで、その内容に沿った回答をAIが出力してくれる。元々はテキストを中心に利用されていたが、今では画像やグラフにも対応するなど、活用の幅が広がっている。AIモデルも「GPT-4」や「GPT-4 Turbo」などが登場し、その性能はさらに向上している。APIを公開したほか、他サービスと連携できる機能「ChatGPTプラグイン」もリリースした。2023年11月には、ChatGPTをカスタマイズできる「GPTs」をリリース。そして2024年1月、カスタマイズしたChatGPTを共有できるプラットフォーム「GPT Store」を公開した。このように、世界中から注目されるChatGPTは、リリース後から短期間で大きく進化している。

生成AI開発は「オープン」か「クローズド」か

生成AIは利便性が高いがゆえに、その危険性も指摘されている。この点に関して、生成AIの開発者たちの意見は二つに分かれている。技術を公開するべきだという「オープン派」と、技術を明かさない「クローズド派」だ。「オープン派」は、危険性があることから透明性の高さが必要だと訴える。一方、「クローズド派」は、危険性があるからこそ、技術をオープンにすれば悪用される可能性があると主張する。OpenAIは「クローズド派」であり、その技術の中身はベールに包まれている。今後、今以上に社会の隅々にまでAIが浸透していくと考えられ、世界各国で規制の必要性が叫ばれるなか、OpenAIを含めた生成AI開発には、技術の高さはもちろんのこと、開発への姿勢や責任についても注視される。

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