企業向けにオーダーメイドAIサービスを提供「株式会社Laboro.AI」〜IPOから読み解く、デジタルシフト #12〜

AI

多くの企業が目標の一つとして掲げ、憧れ、夢を見る言葉、「上場」。これを達成した企業は資金調達の規模が大きくなり、さらなる挑戦ができるとともに、社会的に認められたという箔が付く。何百万社とある日本企業のなかで、上場企業は約3,800社。非常に狭き門を突破した、選ばれし企業たちだ。
本記事では、デジタルシフトを実現しながら新規上場を果たした企業に焦点を当てていく。今回は、企業向けにオーダーメイドのAIサービスを開発・提供する「株式会社Laboro.AI」を取り上げる。同社は、2023年7月31日に東証グロース市場に上場した。初値は1195円で公開価格の580円を上回った。

「株式会社Laboro.AI」とは

株式会社Laboro.AIは、2016年に設立され、オーダーメイド型AI「カスタムAI」の開発や、「カスタムAI」導入のコンサルティングを行っている。

「カスタムAI」とは、顧客となる各社の成長戦略や事業課題、産業の特徴に合わせ、AIを活用した事業変革のコンサルティングと実際のAI開発を通じて、顧客企業のAIによるイノベーションを共創する仕組みだ。例えば、小売・製造業に向けたAIカメラや、人材業界向けの「人と職業の最適なマッチング」を行うAIなどを開発しており、こうしたAIソリューションを顧客企業のニーズに合わせてさらにカスタマイズし提供している。各社に合わせたAIをオーダーメイドで開発することで、画一的なパッケージAI商品では対応できない課題も解決している。企画・構想からAIソリューションの要件定義、開発、PoC、導入、継続的な再学習・チューニングまでを一気通貫で手がけている。

Laboro.AIは、2022年9月期の売上高が約7億3,300万円で、営業損失は約5,500万円だった。2023年9月期は第2四半期累計で売上高が約6億3700万円、営業利益が約1億100万円となっている。

顧客の課題を解決し、ビジネスの成果につながるAI開発

Laboro.AIでは、開発部分だけを引き受けるのではなく、顧客へのヒアリングを通して、必要なAIソリューションの設計や、実際の運用方法などを提案するコンサルティングも行っている。ここで活躍しているのが、AIとビジネス、その両方の知見を持つ専門人材「ソリューションデザイナ」だ。技術に関する知見はもちろんのこと、ビジネス視点を持つ人材が入ることで、クオリティの高いAIを開発するだけでなく、顧客の課題を解決しビジネスの成果につながるAIを開発することができるという。ソリューションデザイナが、AIの設計とビジネス視点からの提案を行うことで、技術面とビジネス面の両方で価値を発揮するサービスを提供しているのだ。

新しいビジネスの展開を目指す「バリューアップ市場」を狙う

Laboro.AIは、同社が狙う市場を「バリューアップ型AIテーマ市場」としている。これは、AI開発の中でも、現行のビジネスの維持や運営ではなく、新規製品・サービスの創出やビジネスモデルの変革など、新しいビジネス施策の展開によって企業成長を図るものだと同社は定義し、市場規模は2025年度で2,800億円を見込んでいる。このような「バリューアップ型」は、企業のIT予算の中で、現行のビジネスを維持する予算に対して、割合が少ないという。同社によると、DX関連も「バリューアップ型」に該当するが、この領域もアメリカと比べると日本はまだまだ進んでいない状況とのことだ。Laboro.AIは、これを潜在的な成長可能性と捉え、開拓すべき市場と設定している。具体的には、製造業等における研究開発を通じた革新的な製品・サービスの創出を目指す「研究開発型産業」と、消費者・生活者に直接製品・サービスを提供したり社会インフラを担ったりする「社会基盤・生活者産業」の2分野に注力するとしている。実際に、化学・素材メーカーや、食品メーカーですでに取組実績が生まれているとのことだ。今後、日本企業が今までにない新たな領域でDXを目指す姿勢を見せるかが、同社の事業にも直結するかもしれない。

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