DX戦略

日本駐車場開発×メディカルシステムネットワーク×オプトデジタル「産業のデジタル化とは?その現場・リアルを大公開。」駐車場&医療、デジタル化が遅れる巨大マーケットのデジタルシフト事例を徹底解剖! 

「Society5.0」の実現に向け、「企業は、働き方は、暮らしは、どう変わるのか?」をテーマに、デジタルホールディングスが開催したビジネスカンファレンス「Digital Shift Summit」。最終日となる4日目のTalk Sessionのテーマは、「産業のデジタル化とは? その現場・リアルを大公開。」デジタルホールディングス グループ執行役員 石原靖士氏がモデレーターを務め、現在進行形でデジタルシフトのプロジェクトを進めている2つの企業のリアルな事例を紐解きながら、セッションが進められました。巨大マーケットのデジタルシフトはどのように進められているのか?Talk Sessionの様子をレポートします。

なぜ駐車場にデジタルシフトが必要なのか、抱えていた課題とは

石原:まず私の方から、本日のパネリストのご紹介をさせて頂きます。日本駐車場開発株式会社 常務取締役 管理本部長 渥美謙介様、株式会社メディカルシステムネットワーク 取締役執行役員 経営戦略本部長 多湖健太郎様、株式会社メディカルシステムネットワーク 執行役員 吉田孝仁様、そして株式会社オプトデジタル 取締役 執行役員COO 松原正和、株式会社オプトデジタル 東勇佑です。このセッションでは、今まさに現在進行形で進めている駐車場および薬局のデジタルシフト事例をもとに、お話を進めてまいります。では、まず駐車場に関する事例について、日本駐車場開発の渥美様よりお話頂きます。

渥美:日本駐車場開発の渥美と申します。私自身、デジタルは専門外で知見を持っているわけではありませんが、弊社の中で組織のデジタル化を達成するというミッションを持っています。まずは、弊社が現在、オプトデジタル様とともにどのような取り組みをしているかをご紹介します。日本駐車場開発は、駐車場管理・運営を中心とする会社です。一般的に駐車場というと、コインパーキングを想像される方が多いようですが、弊社はビルに付随する駐車場の管理や仲介がメインです。ニッチなビジネスなので、利益率は約20%と比較的高いです。上場時は年1.5倍~2倍程度の成長率がありましたが、近年成長率が鈍化しており、そこに現在の課題を感じています。
渥美:弊社の大きな特徴は、バックオフィス業務を極力抑え、営業を中心に活動していることです。一方、今の流れでいうと、駐車場を探す人は基本的にWebをきっかけにサービスを利用してくださる方が多いです。そのためグループ企業の駐車場仲介サイトでは、不動産サイトの駐車場版のイメージで情報を提供しています。本来ならWebとマーケティングは親会社からの支援が必須ですが、企業文化から支援ができず、もどかしい状況でした。
渥美:そんな中で、デジタルホールディングス様から提案を頂いた「鬼に金棒プラン」が、我々にとって最も取り組みやすいものでした。営業が強い部分を「鬼」、デジタルマーケティングツールを「金棒」と呼び、グループ本体のオペレーションや営業の強みを毀損することなく、追加でデジタルシフトを身に付けるという案でした。実際の取り組みは、オプトデジタルの東様よりご説明頂きます。

オプトデジタルが提案する「営業利益を拡大する5カ年計画」の4階建て構想

東:オプトデジタルの東です。日本駐車場開発でダイレクトマーケティング本部の責任者を兼務しています。日本駐車場開発は直営の駐車場数が業界最多ですが、月極駐車場ポータルに関しては業界5番手。周辺の仲介物件や、管理会社が持つ物件情報を、集めきれていない状況でした。

逆に強みは、営業の情報収集能力にありました。ビルオーナーから駐車場を借り上げる前に、地域ごとの駐車場や、ビルごとの法人と車両数などをローラー営業でヒアリングし、その情報をもとに営業の手で顧客マッチングが行われ、高い稼働率で運営を行うことに成功していました。

その強みとともに、データ化や属人化の部分で、デジタル化による事業レバーをかけられると感じました。そこで、昨年から売上や原価販管費の推移、Webサイトや広告の状況などの情報をみて、日本駐車場開発さんの「営業利益を拡大する5カ年計画」に、4階建てでデジタル施策を積み上げる、いわゆる「4階建て構想」のアプローチを加えさせて頂きました。
東:まず2階部分でオプトの知見をフル活用し、デジタル集客を実施します。3階では社内データを整理統合して活用し、生産性の改善や営業支援につなげます。4階部分では日本駐車場開発グループ全体にデジタルシフト支援を行います。本施策で営業利益を数十倍に拡大する計画です。

提案のポイントは、オプトデジタルの出向費はなしで、利益の増加分によって按分させて頂くこと。また事業責任者として、事業計画に必要な体制の構築や管轄部門メンバーの評価、投資の権限を任せて頂いています。私自身は現在、日本駐車場開発のネット営業部門と営業企画室を担当しています。前者はポータルからの問い合わせ時に、コールセンターで直営物件の申し込みや契約、仲介物件の提案などを行います。後者はネット営業部門や営業部門の企画支援が中心です。

「三方良しの利便性」をデジタル起点で再定義し、新たなプロダクトを開発中

東:次に、この半年間の取り組みと成果をご説明します。2階部分の計画である、SEO対策やリスティング広告の改善で、同じ予算のままアクセス数や問い合わせが増え、成約数も昨年同月比200%に成長しました。特に注力した点は、ネット仲介ポータルの掲載物件数を増やし、写真や情報を整備したことです。
東:同時にネット営業部門の生産性向上も進めました。蓄積データや業務プロセスを細かく分解・分析し、改善ポイントを洗い出しました。問い合わせを受けてから提案まで、スタッフが何のデータを確認し、どう提案したのか。優秀なスタッフやベテランの手法を見える化したり、スコアリングで優先案件に対応するなど、細かいルールを決め、若手でも提案精度が上がるように工夫しました。

まだ書類やFAXでやりとりする業務も残っているため、オンライン化のシステム構築も進めています。こういった細かい取り組みが功を奏し、ネット営業の生産性も昨対比160%、前年同月対比120%以上(3月の繁忙期)に改善しています。
東:3階部分ではデータ活用の改善も行いました。数年前から営業の貴重なマーケット情報をSalesforceで一元管理しようと動いていましたが、なかなか情報が正しく蓄積されないという状況がありました。なるべくデータを入力しやすくして、データ蓄積のメリットを共有しながら整備を進めています。営業とポータルのデータが統合されると、例えば、現在ご利用いただいているお客様同士の駐車場を入れ替えることで、互いの拠点から距離が近くなる、なども提案できるようになり、ミスマッチの解消にもなります。
東:取り組みを開始して半年ではありますが、ありがたいことに成果は着実に出ています。しかしまだ業界全体で多くの課題があります。月極駐車場はWeb検索でのお客様が増えているのに、多くの会社が看板を中心に集客し、ネットには約3割程度の情報しか集まっていません。そのため業界全体での情報整備や業務プロセスのデジタルシフトが必須です。そこで弊社は「三方良しの利便性」をデジタル起点で再定義し、新たなプロダクトを準備中です。

オプトデジタルと合弁会社を設立し、医薬業界プラットフォームづくりを目指す!

石原:次に医薬業界のプラットフォームとの取り組みについて、メディカルシステムネットワークの多湖様にご説明頂きます。多湖様、よろしくお願いいたします。
多湖:メディカルシステムネットワークの多湖と申します。我々は、調剤薬局「なの花薬局」を全国で展開中です。実は調剤薬局はコンビニより多く、全国に約6万店もあります。弊社は、そのうち約1割、417の直営調剤薬局と5,912店舗の薬局経営を支援しており、全体で社員約4,000名、売上高1,000億円ほどの企業です。グループの理念は「まちのあかり」「良質な医療インフラ」というキーワードに集約されます。「まちのあかり」は、直営薬局を地域の心の拠り所にという想いを込めたものです。
多湖:もう1つ、医薬品ネットワークで薬局経営を支援するサービスも行っています。この事業は、たとえ競合の薬局でも地域医療としては同じ志を持つ仲間として応援しようという考え方で始まりました。弊社の経営ノウハウを開放し、医薬品の仕入れ交渉や、薬剤師の教育支援などをサービスとしてご利用頂いている、珍しい形態の事業です。薬局業界全体として、「良質な医療インフラ」になっていくことを目指しています。

そんな我々がオプトデジタル様と合弁事業を開始するにあたり、4つのポイントに着目しました。1つ目は個社最適でなく、業界のあるべき姿を描く構想力です。医療業界は本当に広く、薬局業界全体から変える必要があります。オプトデジタル様も最初から業界全体に注目し、高い視座で具体的な構想を示してくださいました。

2つ目が、事業にかける想いと確かな開発力です。オプトデジタル様が熱心に取り組んでくれることに驚き、本当に嬉しかったです。ただ熱い理想だけでなく、それを現実に変える実行力も必要です。その点でも本当に素晴らしいソリューションをご提供頂きました。

3つ目がワンチームでの事業開発です。オプトデジタル様は受注/発注の関係はダメだと強くこだわっていました。全員が当事者意識を持ち、共通ゴールに向かって走るという考えでした。そこで開発についてはオプトデジタル様を全面的に信頼し、我々は医療現場の情報をひたすらインプットし続けることに専念しました。

4つ目がスタートアップの文化を導入すること。デジタルシフトする新たな挑戦なので、最初から専属スタッフを社内公募で選抜しました。これにより、既存の慣習にとらわれず、患者にとっての価値や透明性を重視するマネジメントや、速い意思決定の文化が合弁会社で形成され、我々の頭も日々鍛えられています。

ダイレクトに患者が薬局や薬剤師とつながることが「かかりつけ薬局」の一丁目一番地

松原:私から、実際に展開しているプロジェクトについてご紹介させていただきます。調剤薬局の市場は約50年前に生まれ、「医薬分業」という言葉が登場し、30年~40年ぐらいかけて普及して、約7兆円の規模に育ちました。この流れに乗り、業界が急速拡大したのですが、一定の揺り戻しが起きたのが、この10年間の出来事です。

通院時は、病院に近い薬局に行く機会が多いのですが、物理的に離れた2つのクリニックに行くと、患者がどんな薬を飲んでいるのか、両方の薬局ではわかりません。情報が共有できないと、投薬をしすぎるという問題だけでなく、最悪の場合には副作用が起き、患者の健康を害することもあります。

それで最近は「かかりつけ薬局」が話題になり、各社が取り組みをはじめている状況です。かかりつけとして薬局が選ばれる一丁目一番地は、患者が薬局や薬剤師と直接つながることです。それをどう実現するのか、この11ヵ月ぐらい試行錯誤してきました。そこで採用したのが、圧倒的な普及率であるLINEでした。LINE公式アカウント上に薬剤師と薬局と患者が直接つながるサービスを開発しました。
松原:合弁会社にして良かったのは、直営店舗だけでなく、ネットワーク事業と加盟店事業があったので、それがサービス開発の役に立ったこと。いきなり我々のような門外漢を受け入れてもらえるような甘い世界ではありません。しかし直営薬局で試して成果が出たら、加盟店を通じて垂直展開できる座組みなので、サービスを開発しやすかったです。

開発したプロダクトに関しては、薬剤師の価値を再定義できたと強く思っています。実は私の母親は薬剤師で、幼少期から薬剤師の存在といえばシンプルに母親でした。ですから世の中の薬剤師は、患者と健康に寄り添う方々だと思っています。丁寧に薬を作り、素早く届けるだけが薬剤師の価値ではありません。尊い仕事をされる皆様が、もっと感謝されて欲しいと願ってサービスを作りました。

大事な点は現場を理解して勉強すること。それをサービスに即座に反映する以外にはありません。LINEは、あくまでインターフェイスとして採用し、個人情報の観点からトークルーム上での患者とやりとりは差し控えています。メニューのWebブラウザを起動し、完全に独立した弊社サービスで、情報のやりとりが行われます。
松原:まず直営10店舗で実証実験を行ったのですが、うれしいことに最初から約3分の1の薬局利用者がLINE公式アカウントで友達になってくれました。業界共通プラットフォームのユーザーは薬剤師と患者です。薬剤師のオススメで、患者もしっかり受け入れて頂きました。この成果をもとに、業界内で企業を跨いだ7社750店舗が集まり、「デジタル薬局コンソーシアム」を設立しました。年内までに2,000店舗、2023年に業界約20%の15,000店舗の加盟を目指しています。
松原:目指す姿は少し大きなスコープですが、たとえば在宅診療なども含めた医療バリューチェーンを、調剤薬局を起点に再定義したいと考えています。医療機関と薬局と患者が同じ情報を見て、ストレスなく滑らかな医療体験を享受する仕組みを作ることが最終ゴールであり、それに向けて頑張っていく所存です。

新規事業のために組織を切り離し、背水の陣で臨んだ覚悟を吐露

石原:両社ともにゴールと未来を決め、自律的に熱量を込めて動いています。ここからは2つのテーマで討論したいと思います。1つ目のテーマは、スタート地点の立ち方です。ゴールを決めたり、熱量を出す状況をセットすることは非常に大事ですが、一筋縄ではいきません。どう社内を説得し、既存事業と棲み分けたか。まずメディカルシステムネットワークの吉田様からお願いします。
吉田:メディカルシステムネットワークの吉田と申します。私たちもいくつかの新規事業を行う上で、いいものでも失敗をするという経験もしてまいりました。オプトデジタル様に事業の話を頂き、この種火をどう大切に広げるかを真剣に考えて、4つのフェーズを考えました。1つは「やる」という意志を会社に伝え、承認を得ること。決裁権を持つ人、方針を決める人に対し、自分たちが感じたワクワク感をきちんと伝える点が大事でした。

そこで第1フェーズとして、上司に承認を得ることから始めました。次は実務力のある人を巻き込むこと。第2フェーズで想いを大切にするメンバーを集めました。社会への波及も考えていたので、人選は現場から加盟店に至るまでコントロールしました。

次の第3フェーズですが、想いだけでは形にならないため、具現化できるキーマンの多湖を引き込みました。ここが1つの山場でしたね。その後の第4フェーズで社内全体のムーブメントを作り、社長へのアプローチを多湖に務めてもらいました。

既存事業との棲み分けですが、社内に異文化を入れるため、組織を切り離しました。組織に内包されると、やはり既存のバイアスがかかり、前に進まない状況になります。事務所を分け、人も絶対に兼務させない状況にしました。もう1つは「背水の陣」で望むこと。後戻りできないと覚悟を決める気持ちがあったから、上手く行っていると感じています。

キーマンが意思決定の場で発言する仕組みと、成功イメージを組織間で共有

石原:キーマンの招へいは大きなポイントです。多湖さんからもコメントを頂けますか?

多湖:私がプロジェクトに参加したのは半年後からで、すでに目指す世界観が共有され、具体的なサービスのイメージも固まっていた時期でした。合弁事業ということで、会社対会社の契約交渉には難しい点もありましたが、結果的には非常に上手くいったと思います。そこでポイントになったことが3点あります。

1点目は意思決定機関である取締役会で、実際に議案を説明する本人が交渉にあたったことです。私のことですが、やはり当事者としてリアルな現場の人間が、意思決定の場で責任をもって発言できたことが重要でした。2点目は何ヵ月も前から事業の進捗を取締役会に逐次報告し、私自身が感じているワクワク感や社会的な意義を、時間をかけて浸透させてきたことです。

3点目は事業のシナジー部分と、実際に動く部分のバランスを考えたこと。シナジー効果は、数字で論理的に説明しましたが、いきなり現場に持ち込むと衝突も起きます。効果を説明したうえで、現場とは少し離れた場所で始める仕組みを作ったことが、結果的に社内の説得がスムーズにいった理由だと思います。

既存事業との棲み分けも、成功やゴールのイメージを多くの部門間で共有し、優先順位を揃えることが非常に重要でした。片思いでは決して実現しません。まだ事業は始まったばかり。頂上へと登り詰めるには急がば回れで、一旦8合目で合格ラインとし、少し時間をかけながら目線を揃え、みんなで頂上に立てたらよいと考えています。

人事の権限まで出向者に委譲し、無報酬・出来高制で社内に踏み込んだ本気度

石原:一方で日本駐車場開発様との取り組みは、我々から責任者となる人材を出向させ、プロジェクトに取り組む形で、従来とは違ったスキームの組み方でした。会社の方針も含めて、どうやってクリアしていったのでしょうか?

渥美:既存事業の成長が鈍化していたので、デジタル人材を社内で育成しようとしたのですが難しく、まずは外部から人材を取り込もうと考えました。しかし相談してもコンサルタントに徹するケースが多く、企業に深く踏み込んでいただけない会社さんばかりでした。

しかしオプトデジタル様は、上手くいかなければ報酬は一切不要、出来高制で、実績のある人材を送るとまで言われたので、我々も本気にならざるを得ませんでした。既存事業の棲み分けでも、東さんに権限を委譲し、広告費やシステム構築だけでなく、人事も含めて権限を持って頂きました。

東:そうですね。権限もセットで与えてもらえたことは本当にありがたかったですね。外から突然よそ者が入ってくると、社員と馴染まないこともありますが、新しいことを行う際にも前向きに耳を傾けて頂けました。

石原:本当に馴染んでますね(笑)、日本駐車場開発様の社長様が大切にされているのは「デジタル化がすべてではない、事業に繋がって利益を生み出せるか?」という考え方でした。その考え方をもとに、最初はどのようなアプローチをされたのでしょうか?

渥美:社長がデジタルに懐疑的だった理由は、中途半端な導入で、営業が現場に行かなくても儲かると勘違いをして、既存の強みが失われるリスクを危惧したからです。だから本当にやるなら10倍の効果が得られるプランを出してくれと。そんな中で、テスト段階からそれ以上の成果が出せた点が大きかったですね。やはりオプトデジタル様の強みを理解した上で、一緒に取り組んだ座組みが良かったと思います。

駐車場を動線に、オーナー・法人・顧客に提案できるソリューションを増やす

石原:続いて、今後どんなゴールを目指すのか、まずは渥美様からお願いします。

渥美:我々は営業主体の企業なので、お客様へのサービス向上、お客様の獲得、継続的な利益確保など、極めてリアルに取り組んでいます。しかし、実際に業界を変えたり、どんなサービスが求められるのかという絵図を描くことが苦手なので、今回パートナーシップ契約を結びました。

東:今後は業界情報の整備と、業務プロセスのデジタル化を手掛けて、お客様ごとに駐車場の最適なマッチングを目指していきます。ただ単なるマッチングで終わらず、都心部で抱えるビル付帯駐車場の課題も解決したいですね。ビルオーナーが義務的に駐車場を作ってもコンパクトカーの駐車場ばかり増え、SUVやミニバンを停める場所が不足しています。

そうなると大型車のお客様は不便ですし、ビルの空室問題も改善しません。現在はそういうニーズも気づきにくいので、情報整理の先にビルオーナーにどんな駐車場を建てるべきかをアドバイスしたり、お客様のご案内までしていきたいです。駐車場を動線にビルオーナーや法人、ユーザーに提案できるソリューションを増やすことが、我々が考える未来です。

石原:こういった話は、いつも幹部の役員会で議論するのですか?

渥美:はい。東さんが来てから、議論の内容もかなり変わった印象です。グループ会社の取締役会にもオブザーブしていただき、新サービスやデータ活用などの議論がすごく増えました。具体的に実装できるように変わったことは大きなポイントだと感じています。

長時間待たされる、薬局と病院で同じことを聞かれる・・・、「医療だから仕方ない」という我慢を強いられない医療インフラづくり

石原:メディカルシステムネットワーク様にも、どんな未来を目指しているのかをお伺いしたいです。

吉田:薬局に患者が来られると、薬剤師の方から「今日はどうしましたか?」と聞かれます。これは個人情報保護のため、医療機関や薬局ごとにデータをバラバラに持ち、患者がどんな病歴で、どんな症状なのか、薬局が把握できないためです。これは大きな不利益なので、1つのデータベースで統一したいです。

国もマイナンバーで管理を進めていますが、浸透するのに時間がかかりそうです。しかし、すでにLINEは皆様の手元にあるので、これを国民の医療インフラにしたいですね。個人情報の問題も、悪用だけを恐れて思考停止せず、メリットとデメリットを考えて進めることが大事です。試行錯誤しながら、医療情報を扱うベストな道を皆様と一緒に歩みたいです。

多湖:病院の予約が取れない、長時間待たされる、薬局で病院と同じことを聞かれるなど、「医療だから仕方ない」と当然のごとく我慢していることがたくさんあります。しかし、これらはとても不自然です。医療で強いられる我慢を、とにかく解消したい。そのために薬局ができることは本当に多いのです。

その1つが患者からお金を頂かない、患者が中心のサービスです。我々は薬局だけでなく、他の医療関係者や家族が、患者を見守るためのつながりを作りたいです。まだ情報管理面で多くの挑戦もありますが、そこを乗り越えるのがデジタルシフトの力だと思います。

石原:「不便が当然」という点が象徴的ですが、実はそうではないと。今回の「すべての産業を現代に再定義する」という話では、デジタル化が目的でなく、世の中のあらゆる技術や動きのなかで、消費者ファーストの世界をどう作れるかということを、現場とリアルの観点から議論ができました。本日はありがとうございました。

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