三井住友信託銀行、生産性向上を目指しAI-OCRシステムを開発・導入

三井住友信託銀行株式会社は、2020年策定の中期経営計画において、専業信託銀行ならではの多彩な事業ポートフォリオの強化や業務品質の高度化に取り組んでおり、その一環として、今般、業務プロセス自動化を推進する AI-OCR システムを開発・導入したと発表した。

同社は、銀行業務、信託業務、不動産業務やグループ関係会社の機能を融合したソリューションなど、顧客の多様かつ高度なニーズに対し、真に必要なソリューションを提供しており、それぞれが高度な専門性を有し、それぞれに異なる種類のオペレーション業務が付随する、「少量多品種」の事務の集合体という特徴がある。こうした事業・業務の特性に応じて、かねてよりRPA(Robotic Process Automation)を活用した事務自動化に積極的に取り組んできたが、コロナ禍での柔軟な働き方やペーパーレスなどニューノーマルに対応したビジネス変革が求められるなか、抜本的業務効率化を推進するため、AI-OCRを開発・導入したとのことだ。

これまでも複数の業務でOCR(Optical Character Reader)を開発・利用してきたが、少量多品種ゆえの種類の異なる多数の帳票から必要な情報を取得する業務について、個々にOCRを開発することは費用対効果の観点から難しく、紙の帳票や人手による入力作業などが多く残っていることが課題だったという。また、2017年にRPAを導入し業務プロセスの自動化に取り組んでいるが、紙の帳票を起点とする業務プロセスにRPAを活用することは難しく、また、顧客から預かる帳票に含まれる手書き文字への対応なども課題だったとのことだ。

こうした課題に対応するため、①複数の業務で共同利用でき、②活字だけでなく手書き文字にも対応し、③種類の異なる多数の帳票から必要な情報を抽出しデータ化できる汎用性の高いAIOCRシステムを開発し、2020年9月から利用開始した。このシステムは、OCR基盤として日本アイ・ビー・エム株式会社のIBM Datacapを採用し、OCR エンジンとしてIBM Datacap内蔵のOCRエンジンと、AI inside 株式会社の“高精度文字認識 AI”を搭載したAI-OCR「DX Suite」を組み合わせて利用している。IBM Datacapは形状の異なる帳票の自動構造解析や読み取り文字の特性に応じて新しいOCRエンジンを追加搭載できる柔軟性を備えているため、今回構築したOCR基盤は今後の技術革新にも柔軟に対応できる仕組みとなっている。

AI-OCRとRPAを組み合わせて活用することによって業務プロセス自動化の対象範囲拡大が可能となり、生産性向上と業務効率化を一層加速させることが出来るようになったという。例えば、遺言信託業務において、従来は年間6万枚以上の紙の帳票を手作業で処理していたが、AIOCRとRPAを活用して、100種類以上の異なる帳票を自動的に仕分けて、帳票毎に異なる必要情報をデータ化することによって、約45%の効率化(処理時間の短縮)を実現したとのことだ。

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