三井化学は主要経営課題の1つに安全の確保を掲げ、化学物質を扱う作業現場の安心安全な労働環境づくりを目指しており、デジタル・トランスフォーメーションを活用しながら、さらなる社員の安全向上と企業価値の向上を目指す。なお、「労働災害危険源抽出AI」は、IBM Watsonを活用したSaaSシステム。
三井化学の化学物質を扱う製造現場には、過去の労災情報やヒヤリハット情報など多くの有益な情報がある。但し、これらの多くは紙ベースで蓄積されており、それらをデータベース化し、AIを活用して容易かつ的確に検索できるシステムが求められていたとのことだ。
本年4月より三井化学はIBM Watsonを活用した「労働災害危険源抽出AI」を大阪工場の社員を対象に導入した。「労働災害危険源抽出AI」は、自然言語を含む大規模データを多角的に分析する「IBM Watson Explore」やIBM Cloud上で稼働する検索効率化に向けたテキストデータ分類が可能な「IBM Watson Natural Language Classifier」を搭載した、SaaSシステム。これまで紙ベースで蓄積された過去の労働災害情報やヒヤリハット情報、トラブル報告書をデータベース化し、社員の安全活動レベルを向上させることを目指して、日本IBMのデータサイエンティストやコンサルタントにより構築された。
三井化学の社員は、工場内に設置されたパソコン端末に、これから行う「作業の場所」や「作業内容」、火傷や転倒といった「労働災害の種類」などのキーワードを入力することで、過去のデータベースからリスク相関性の高い事例の照会、類似事例を迅速に抽出できる。本システムを利用することで、属人性の解消、スキルやノウハウの伝承、原因究明の早期化などが図れるとのことだ。