本基盤を活用する第1弾の取り組みとして、日立建機グループは、2022年度より「営業支援アプリ」の運用を国内で開始予定だ。販売・サービス・レンタル・中古車のそれぞれの営業担当者が、顧客の保有機械の稼働状況、取引履歴・メンテナンス計画などの情報を、タブレットなどのアプリ上で瞬時に把握できるようになる。さらに、顧客の今後の機械運用についてビッグデータやAIを活用し、自動で複数パターンをアプリに表示することで、営業担当者はそのパターンを参考に顧客に最適な提案をすることが可能になる。日立は、今後、本基盤の監視から運用、問い合わせのサポートまで、マネージドサービスとして一括提供することで、日立建機のDX推進を支援するとのことだ。
建設機械業界では、機械の稼働状況や修理履歴などの情報を活用し、適切なタイミングでの点検・保守につなげるよう、他業界に先駆けてDXの取り組みが進んできたという。日立建機でも、世界中で販売・レンタルする建設機械に装着したセンサーよりデータを収集して、稼働状況の把握・遠隔監視を行う「Global e-Service」や、そのデータを活用して機械の効率的な保守・運用をサポートするソリューション「ConSite」の提供を開始するなど、顧客のライフサイクルコスト低減を支援してきた。上記の各種ソリューションや社内外のシステムが拡充するなか、それぞれで収集したデータをより有効的に活用するために、日立建機のITインフラ面を支援する日立と協創して本基盤を構築することにしたとのことだ。
本基盤は、生産・販売・在庫といった業務情報や建設機械の稼働情報など、複数のシステムやアプリケーションに分散するデータを集めて一元管理し、「ConSite」などの各種ソリューションと連携する。画像などの膨大なデータを効率的に管理する機能、高度な分析を行うための機械学習、AIを用いた分析ツールを備えており、複数のデータや条件を掛け合わせたデータ分析を迅速に行うことが可能になる。本基盤の環境構築にあたっては、パブリッククラウドを活用したITインフラ構築・運用に関する日立のノウハウで安全性を担保すると共に、「Infrastructure as Code(IaC)」と呼ばれるITインフラ構築をコード化する手法を採用することで、運用までを見据えた環境構築を迅速に実現。今後、経営方針や世の中の動向に合わせて新たなアプリケーションが必要になった場合にも、本基盤の開発環境と本番環境を連携させることで、アプリケーションの開発から運用まで柔軟に対応する。このように、OTとITのデータを活用したアプリケーションのPDCAサイクルを継続的かつ効率的に回すことで、DX実現に向けた取り組みを加速させるとのことだ。
2022年度より、日立建機の連結子会社で、国内の建設機械の販売や部品・サービス事業などを担っている日立建機日本株式会社は、自社の販売・サービス・レンタル・中古車の各担当者(全国243拠点、約1,000名)を対象に、「営業支援アプリ」の運用を開始予定だ。これまで別々のシステムで管理されていた、顧客の保有機械の稼働率や稼働時間、購入・レンタル・修理などの取引情報やメンテナンス計画、新車・中古車・レンタル車の在庫情報などが、本基盤の活用によって、「営業支援アプリ」でまとめて閲覧できるようになる。また、それらのビッグデータをもとに、AIによって判断された複数パターンの提案内容を瞬時に表示することが可能だ。具体的には、AIの分析をもとに、「この機械は長期間使っているから更新時期が近いと思われる」、「稼働率が高い機械の現場に対し、購入またはレンタルによる増車の提案ができる」、「使用頻度が少ない機械は、買い取りを提案できる」など、顧客の保有機械の状況に応じた提案を、アプリを活用するすべての担当者が行えるようになる。これにより、顧客は中古車やレンタル車の並行した運用や、保有機械の中古車下取りなど、これまで以上に効率的な機械の運用方法を検討することができるとのことだ。