IHI、富士通、ブロックチェーン技術を活用した新たな環境価値流通プラットフォームの実現に向けた共同事業プロジェクトを開始

株式会社IHIと富士通株式会社は、カーボンニュートラルの実現に向けた貢献と、新たな環境価値取引エコシステムの市場活性化を目指した共同事業プロジェクトを2022年4月1日より開始したと発表した。

本共同事業プロジェクトは、現在世界規模で取り組みが進められている、企業や国を超えた効率的なCO2削減量などの環境価値取引市場に対して、両社の持つブロックチェーン技術やカーボンニュートラル関連技術に基づくビジネス知見を活用した環境価値流通プラットフォームの市場適用と活性化に向けて取り組むものだ。

具体的には、IHIのIoT基盤「ILIPS」(アイリップス/IHI group Lifecycle Partner System)を通じて収集されたデータから算出したCO2削減量を環境価値としてトークン化し、異なるブロックチェーン同士を安全に相互接続する富士通の「ConnectionChain」を活用して環境価値取引市場に流通させるプラットフォームを立ち上げ、効率的な環境価値の流通を目指す。

■背景

カーボンニュートラルの実現に向けて各国・企業がCO2排出量削減目標への取り組みを進める中、近年、社会全体でのコスト効率が高い削減手法として、また自国・自社の削減の補完として、カーボン・クレジットなどを活用した環境価値取引への需要が高まっている。

一方、環境価値取引の活性化にはカーボン・クレジットの市場流通量の拡大が喫緊の課題となっているという。これに対し、自主的なカーボン・クレジット市場拡大を目的に設立されたTSVCMなどの国際イニシアチブは、取引規模の拡大に向けた提言や取引制度の標準化活動を推進しており、同じく国内においては官民が連携しカーボン・クレジット活用のための環境整備の検討などを進めている。また、温室効果ガスの排出削減量や吸収量をクレジットとして国が認証する制度である「J-クレジット制度」においては、個人や中小企業の環境価値創出機会の掘り起こし、クレジット創出・活用プロセスのデジタル化推進、取引市場の創設など、供給・需要の拡大や制度環境整備に向けた施策も検討されているとのことだ。

■両社のこれまでの取り組み

IHIは、カーボンニュートラルに向けた取り組みの一環として、IHIのIoT基盤「ILIPS」を通じて取得した装置や設備の稼働データからCO2排出/削減量を算出し、ブロックチェーン技術を用いて可視化・環境価値化するデジタルプラットフォームの構築を行い2022年2月から実装を開始している。

富士通は、環境価値取引の基盤としての適用が期待されている、ブロックチェーンなどにより構成された複数の異なるエコシステムを相互接続するブロックチェーン技術「ConnectionChain」を有している。「ConnectionChain」は、富士通が2020年のプロジェクト創設以来から貢献してきた、複数のブロックチェーンプロジェクト間における安全で信頼性の高い統合を実現するためのオープンソースソフトウェア(OSS)活動「Hyperledger Cactus」を利用している。こうした取り組みにより、普及が進む暗号資産やSTOなどに加え、環境価値などの各種デジタル資産を対象としたシームレスかつ効率的な商取引をブロックチェーン技術で実現するプラットフォームビジネスの立ち上げを進めている。

■共同事業プロジェクトの概要

本共同事業プロジェクトでは、IHIのIoT基盤「ILIPS」で算出されたCO2削減量を、ブロックチェーン技術により信頼性の高いデジタルアセットであるトークンとし、富士通の「ConnectionChain」を介して環境価値取引市場に流通させる仕組みを構築する。

両社はこれに先駆け、2022年3月末に、「ILIPS」と「ConnectionChain」を連携させて環境価値取引市場へトークンを流通させる実証実験を実施・完了しており、この結果をふまえ共同事業プロジェクトとして本取り組みを本格的に開始する。

本共同事業プロジェクトを通じて、グローバルに効率的な環境価値の流通を実現する新たなプラットフォームを立ち上げるとともに、環境価値取引市場への展開に向けて取り組む。併せて、環境価値トークンの創出・管理・取引の一連のプロセスにおけるデジタル技術の適用促進を図り、環境意識の高い消費者が利用するエネルギーのグリーン化やCO2排出量削減などの環境貢献に取り組む企業に資金が確実に届く、持続可能な価値連鎖モデルを目指すとのことだ。
出典元:プレスリリース

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