多摩美術大学、AIやサーキュラーなど5つの最先端のテーマを研究するプラットフォームをスタート

東京ミッドタウン・デザインハブ内の多摩美術大学 TUBにて開催。

学校法人多摩美術大学が東京ミッドタウン・デザインハブ内の多摩美術大学 TUBを拠点として2021年に立ち上げたヴァーチャル大学「Tama Design University」。その枠組みを展開させ、2024年度は、先端領域を扱うプラットフォームを立ち上げる。「AIとデザイン」「サーキュラーデザイン」「ストラテジックデザイン」「デザイン人類学」「遊びのデザイン」を5つのテーマとして掲げ、これからの社会を共に考える様々なプログラムを実施予定だ。

■背景

大量消費やエネルギー依存から生じる気候変動や環境破壊、またAIをはじめとした技術の急速な進化に伴う問題など様々な課題に向き合う現代。
課題解決の一つの視点としてデザインが急速に社会に浸透しあらゆる人々へ向け開かれていく中で、美術大学としてデザイン&アートの先端領域の視点から、これからの社会に改めて向き合い、共に考えていく。

■概要

第一歩として、5つのテーマを挙げそれぞれに多摩美術大学で教鞭を執り第一線で活躍を続ける研究者や実務家をリーダーとして迎えた「Division(部門)」を立ち上げる。

この5つのDivisionを中心として、各界で活躍する多彩なゲストとともに、シンポジウムや講義などはもちろん企業と連携した企画、参加型のワークショップなど、より幅広い層に向け、長期的に様々なプログラムの発信を行っていく。
活動内容図

活動内容図

出典元:プレスリリース

■Division Leaderコメント

<Division of AI & Design> -AIとデザイン-
Leader 久保田 晃弘(多摩美術大学 情報デザイン学科教授)
大規模言語モデルや生成AI技術が、創作の現場でもさまざまな議論や憶測を生み出している昨今ですが、ここは一度ゆっくり深呼吸して、デザイン過程における知能、環境やモノとの相互作用の中にある知能、さらには非人間の知能について、手を動かしながらじっくり考える場をつくっていきたいと思います。AIを擬人化せず、人間と比較競争することも、代替拡張することもなく、家政的な補綴文化に根差した、今の時代の人間のためのデザインを思索します。

<Division of Circular Design> -サーキュラーデザイン-
Leader 濱田 芳治(多摩美術大学 生産デザイン学科プロダクトデザイン専攻教授)
生産・消費・廃棄が一方通行で並ぶ現在のリネアな社会構造から、循環するサーキュラーな社会構造へと移行させていくための研究を行っていきます。この先に目指す社会が資源やエネルギーを循環させ、地球温暖化を抑止するだけでなく、サスティナブルに皆が持続させたい魅力を持つ社会であるために、デザインの持つ、繋がりをつくる力や先の社会を思い描く力を活かし、コミュニティの醸成、人と自然との近接で多様な繋がり方についても探究していきます。

<Division of Strategic Design> -戦略的デザイン-
Leader 佐々木 千穂(多摩美術大学 統合デザイン学科教授)
デザインの役割は個別の解決策を生み出すことから、社会の変革のデザインへとシフトしつつあります。そのために、従来のデザインへのアプローチ方法を再定義し、より社会的にインパクトのある解決策を導きだすことのできるデザイナー育成が重要です。今期は国内外の研究者や実務家の方々と協力しながら、「食」をテーマとした戦略デザインに取り組みたいと考えています。

<Division of Design Anthropology> -デザイン人類学-
Leader 中村 寛(多摩美術大学リベラルアーツセンター教授)
デザインのもつ創造力と人類学のもつ批判的想像力。デザインの抱える介入主義と人類学の抱える記述主義。両者の強みと弱みを踏まえたうえで、互いを掛け合わせることで生まれる批判的かつ創造的諸実践を、「デザイン人類学」という名で捉えてみたい。それは、応用人人類学の一形態かもしれないし、応答の人類学に連なるものかもしれないが、不可避的に超領域的な実践になるだろう。今期はデザイン人類学やその関連領域で活動する人たちとの対話を通じ、21世紀の地球社会の諸問題に関連する問いを深化させ、解決方法を模索したい。

<Division of Play Design> -遊びのデザイン-
Leader 野村 辰寿(多摩美術大学 グラフィックデザイン学科教授)
今期は「AROUND the ANIMATION〜アニメーション その周辺と先にあるもの」をコンセプトとして、映像という枠にとらわれないアニメーション的要素の拡大解釈から、「遊び」の本質を探求していきたいと思っています。デジタルの先にあるアナログへの回帰〜双方のハイブリッド、対面コミュニケーションやインタラクションの有効性を、ゲーム制作や特殊技法のアニメーション制作などを題材としたワークショップを通して捉えていきます。
あわせて、メイン会場であるTUBを各Divisionの最新の動きや関連資料などを見ることができるスペースとして開放予定です。
今後の情報は随時こちらでお知らせいたします。(https://tub.tamabi.ac.jp/

■内藤 廣(建築家・多摩美術大学学長)
わたしたちは高度情報化社会に生きています。 近年のAIの登場は、それをさらに加速しているように見えます。当然、アートもデザインも、このうねりの最前線にいます。本学の拠点のひとつであるTUBから派生したTama Design Universityは、このうねりの波濤に立つ学びの場だと思っています。Divisionのリーダーは、波濤の先に「近未来の手触り」を感じ取ろうと戦っているすぐれた感性の持ち主ばかりです。わが国の近未来に希望を託す多くの方が集い、切磋琢磨し、先端の知識と新しい感性を獲得し、ここから次の時代を拓く端緒を見つけ出していただくことを願っています。

■永井 一史(多摩美術大学 統合デザイン学科 教授、TUBディレクター)
気候変動、技術の進展、地域的課題など、デザインの視点から取り組むべき多くの問題が存在しています。このような問題に対処する中で、我々は人の豊かさとは何か?どのような未来を築くべきかという根本的な問いに直面しています。それにはデザインとアートに内在する知識と実践を融合させ、異なる分野との協働を通じて、多様な人々を巻き込み、議論し深めていくことが重要です。従来ではなかなか難しかったことが今回のあらたな枠組みを通じて実現できればと考えています。

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