超スマート社会の具体例は?実現による社会的変化と課題解決

「必要なもの・サービスを、必要な人に、必要な時に、必要なだけ提供し、社会の様々なニーズにきめ細かに対応でき、あらゆる人が質の高いサービスを受けられ、年齢、性別、地域、言語といった様々な違いを乗り越え、活き活きと快適に暮らすことのできる社会」この文章は超スマート社会を説明する内閣府の言葉です。(引用:科学技術基本計画より)少し難解なため、本記事ではわかりやすい具体例を説明していきます。

超スマート社会とは

Society5.0とも呼ばれる超スマート社会は、仮想空間と現実空間を高度に融合し、人々が活き活きと活動できる社会のことです。

この超スマート社会の実現は、政府によって掲げられた目標であり、AIやロボット、IoTなどの技術を取り入れて社会的課題を解決することを目指しています。

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政府が進める「科学技術基本計画」とは

超スマート社会の実現は日本政府は科学技術基本計画の第5期基本計画の中で閣議決定したという背景から生まれた構想です。ここで科学技術基本計画とは、1995年11月に公布・施行された科学技術基本法に基づいて科学技術の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な計画です。

要するに「科学技術基本計画」とは、科学技術を駆使してわれわれの生活をより豊かにするために、国をあげて取り組む計画です。

この計画を元に1996年から具体的に進めてきた計画が2016年度~2020年度の第5期に突入し、この5年間で26兆円を投入し、研究開発を進めています。

超スマート社会で私たちの暮らしはどう変わるのか

超スマート社会の実現により私たちの暮らしは生産や流通、販売、教育などあらゆる分野で変化がもたらされます。

AIやロボットの活用で、人的リソースを離れてさまざまな活動がよりスムーズかつ正確に行われるようになり必要なものが必要な人に必要なときに必要なだけ提供が可能になり、多様な生活や幸せを追求できる創造社会になります。

これまでの日本はものづくりに力を入れており、その技術は世界中で評価されてきたのも事実です。しかし、この超スマート社会では、ものづくりの分野にとどまらずあらゆる分野で連携的に取り組みを進めることで、現在日本が抱える課題の解決と経済発展を叶えていきます。

超スマート社会実現のために必要なこと

では、超スマート社会の実現には具体的にどのようなことが必要なのか問題ごとに解説していきます。

少子高齢化による問題の解決

2060年人は日本の総人口は8600万人台になり、そのうち65歳異常の高齢者が占める割合は40%に迫ると言われています。

少子高齢の進行により医療と介護の需要が高まり医療従事者の高齢化、人手不足による地域格差などの心配も出てくきています。その中で少子高齢化による医療・介護現場でのひっ迫を回避するための策としてオンライン診療や介護ロボットの導入を進める必要があります。

地域格差の問題を解決

日本では地方の人口減少し、それに伴う地域の財政力や所得の低下で地域間の格差が生じているのも大きな問題の一つです。

人口の低下によって地域の財政力が下がれば、公共サービスの質も低下してしまい、過疎化が促進されるという悪循環が引き起こされてしまいます。

そこで、自動運転の技術を導入してバスを就航させたり、薬の宅配サービスを実施することで地域住民の快適な暮らしを実現する取り組みを進めて問題解決を達成を計画していく必要があります。

貧富の差の問題を解決

貧富の差は必要な情報や知識が平等に配分されないことで起こりやすくなる問題です。その貧富の差の解決を期待されているのがIoTと呼ばれる全ての人とモノをインターネットを経由して繋がり、その情報に基づいて最適な制御を実現する仕組みです。

そして、そのIoTとAIによって、さまざまな知識・情報が共有され、必要なときに必要な情報を提供することで貧富の差の課題の克服を目指しています。

超スマート社会の具体例

では、ここからは具体的にどのような方法で超スマート社会を実現していくのか解説していきます。

ポケトークのAIリアルタイム翻訳|コミュニケーション・情報収集の円滑化

外国人観光客や労働者の人数も少なくない日本にとって、言語の壁は大きな課題とも言えるでしょう。そこでAIを搭載した自動翻訳でよりグローバルなコミュニケーションや円滑な情報収集が期待されています。ポケトーク株式会社が提供するポケトークは相手の話す外国語を音声と字幕でリアルタイムに相互表示できるAI通訳サービスで、超スマート社会におけるコミュニケーション円滑化の代表的な例といえます。

外国語でのコミュニケーションの技術が今よりも発達することで、言語能力を問わない競争力を得ることができるでしょう。

ネコ型配膳ロボット「BellaBot(ベラボット)」| AIやロボットによる自動化

AIやロボットの導入によってあらゆる分野で自動化が進みます。自動運転の技術が発達すれば、公共の乗り物や物流の人手不足の解消やコスト削減、人的ミスによる事故率の低下も期待できます。

産業ロボットをすでに導入している企業も増えており、製造現場では今後どんどんコスト削減が実現されていくでしょう。製造現場でのロボット導入により生産性も安全性も向上します。ガストやバーミヤンで働いているネコ型配膳ロボット「BellaBot(ベラボット)もその一例。独自の回避センサーや商品検出機能を持つので多少の凹凸は避けることができ、商品の出し間違いもしない優秀なスタッフで、月30日、12時間働いたときの時給は約161円なので大幅なコスト減につながります。

スマートメーターデータ|エネルギー問題の解決

日本のエネルギー自給率は世界的に見て低水準です。このエネルギー問題は天然資源の少ない日本にとっては重大な課題の一つとも取れます。

例えば石油やガスなどのエネルギー資源の輸入量が減少してしまった場合、受給のバランスが乱れるため国内全域に多大な影響をもたらすでしょう。

そこで、地域ごとにその天候や家庭の電気使用状況の情報を収集・解析し、それぞれの地域でエネルギーの地産地消し、安定供給を達成します。具体的には、通信機能のついたスマートメーターデータを活用し、各個人に合わせたエネルギー使用時間帯を分析し省エネプランに切り替えるといった、節電事業も超スマート社会実現のうちのひとつです。

キャッシュレス | 金融面の強化

日本は世界に比べてキャッシュレス対応で遅れをとっていることも重要な問題の一つです。

海外のキャッシュレス化の現状と比較しても国内のキャッシュレスの普及の度合いは低水準と言えます。

キャッシュレスの普及が遅れていることから起きる問題としては、海外からの旅行客の決済手段が減ってしまう点などがあげられます。

そこで、クレジットカードやID、交通系ICカードなど現金を使わないキャッシュレス決済のシステムやセキュリティの強化などの技術革新を行うことで競争力を高めようとしています。

サイバーセキュリティの確保

超スマート社会はインターネットと人とモノがより密接に関係する社会で、より信頼できる防御基盤が必要になります。
インターネットで全てを管理することになるので、サイバー攻撃を仕掛けられた時のリスクも高まります。

そこで、政府による対策はもちろん、企業、利用者としての個人情報の管理が必要となります。

企業は商品やサービスの開発の段階からそういったリスクを念頭に入れてシステムを構築した上で万が一問題が発生した時の被害の最小化を目指す必要があります。

超スマート社会のカギを握るスマートIoT

IoTはあらゆるモノをインターネット経由で繋いで相互に通信することにより、人の手を介さずして情報の処理や自動制御、遠隔計測等を可能にします。

そのような特徴を備えたIoTは超スマート社会の実現には欠かせない存在で、さまざまな分野で必要とされています。

ここからは、各分野でどのようにIoTが活用されているかの例をご紹介します。

保育士不足の解消を目指す「IoT保育園」

IoTを有効活用した例として保育士不足の解消をしたケースをご紹介します。

福岡市にあるきりん幼稚園ときりん保育園では2018年3月から2019年3月までの1年間IoT保育園の実証実験が行われました。

IoTを活用して園児がうつぶせで寝ていたり、呼吸が停止していることが検知されると保育士が着用している専用の衣類が振動し知らせる仕組みを作りました。

保育士の不足により、入園できない待機児童が増加傾向にありますが、保育の現場でもこのようなIoTの活用が進められれば、保育士の人手不足による悪影響の緩和が期待できます。

救急医療を効率化する「IoT救急車」

次に、神奈川県横須賀市は2014年、「ユビキタス救急医療支援システム」を実用化して救急医療を効率化した例をご紹介します。

このシステムは傷病者を救急車で搬送している最中に救急隊と医療機関が傷病者情報を共有を可能にします。救急車の中に取り付けたカメラで医師が傷病者の容態や状況をリアルタイムで正確に把握でき、受け入れ準備を効率的に行い治療への着手開始時間を短縮することが可能です。

さらに、ユビキタス救急医療支援システムを搭載したIoT救急車はシステム構成が至ってシンプルなので、導入費用も運用経費もかからないこともメリットとしてあげられています。救急隊員の作業負担の抑制という効果も得られています。

移動困難者を救う「IoTデマンド交通」

少子高齢化のあおりを受けて、特に地方の路線バスや公共交通期間は路線廃止が深刻で、多数の交通弱者・移動困難者が生まれています。

このような交通の問題を解決するために地方自治体が「デマンド交通」という交通サービスを導入する事例が増えています。

「デマンド交通」は利用者が必要な時に予約し、その予約が入ったときにだけ運行する交通サービスで、路線バスとタクシーの間のような存在の乗り物です。

このシステムは実際に2017年12月から3カ月間、岡山県玉野市で取り入れられ、GPS機能を有効とするIoTデバイスを掲載し乗り継ぎの問題を解決するべく実験を何度も重ね、利用者の不安の解消にも成功しました。

統一フォーマットを目指す「電子レシート」

レシートにもIoTを活用しているケースがあります。

2018年2月、東京都町田市で「電子レシート」の実証実験が行われました。

電子レシートは、個人の購買履歴データを利活用することを目的に作られたシステムです。

買い物客は電子レシートを使うことで異なる店舗での買い物であっても家計簿アプリや健康管理アプリにデータを一括転送し、手間を掛けることなく管理でき、家計管理や健康管理に役立てられます。対して店舗側は、購入者の許可を得たうえで匿名化された購買履歴をデータで管理し、消費者理解や新たな商品やサービスの企画に役立てることができます。

双方にメリットのある電子レシートの活用は、日本の経済活動を最適化し、さらなる経済成長をもたらすと期待されています。

まとめ

超スマート社会の実現が必要とされる背景やそれによって私たちの生活にもたらされる変化や、進められつつある計画や実験を解説しました。

超スマート社会の実現は、日本の社会の大きな変化がもたらされるとわかっていただけたでしょう。

すでに始まっている取り組みもたくさんある中で、この波に乗り遅れないために、IoTやAIなどの最新テクノロジー導入を検討するタイミングにさしかかっています。

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