キャッシュレス決済のメリットは新規顧客へのアプローチと業務効率化!事業者や消費者それぞれの視点で徹底解説

キャッシュレス決済の普及が進んでいますが、手数料や手間を考えて二の足を踏んでいる事業者の方も多いのでは。しかし、QR決済はクレカ決済よりも手数料が安いことも多く、QRコードが書かれた紙を置くだけでいいので考えていたほど導入は難しくないかもしれません。

ここでは、キャッシュレス決済について、事業者、消費者それぞれのメリット、デメリットをご紹介します。

Contents

キャッシュレス決済はクレカやQR決済、電子マネーを用いた決済方法

キャッシュレス決済は、PayPayやQUICPayなどのQRコード決済、電子マネーだけでなく、クレジットカードやプリペイドカードの決済も含み、「支払いをする際に現金をつかうことなく決済をすること」をいいます。

2018年〜2019年にかけて、QRコードで決済できるPayPayやLINE Pay、D払いなど「○○ペイ」系サービスが登場し、大きな注目を集めて以前よりもさらに便利に決済できるようになりました。

キャッシュレス決済を利用する店舗・事業者側のメリット5つ

キャッシュレス決済を利用する店舗・事業者側のメリットを取り上げます。

メリット1.業務効率化につながる

キャッシュレス決済の普及は、消費者へ与えるメリットが大きいと思われがちですが、店舗側にもさまざまなメリットを与えます。
キャッシュレス決済で現金の受け渡しをする手間を抑えられれば、レジ待ちを解消して効率的に業務ができるようになります。支払いがスピーディになり、レジ待ちが解消されれば、顧客に与えるストレスを抑えやすくなるため、顧客満足度アップにもつながります。従業員の負担も抑えやすくなるので、安心して働ける職場を維持できるでしょう。

メリット2.顧客の新規開拓に期待できる

2022年にリクルートが実施した調査によると、9,731件のアンケートで71.5%の消費者が飲食店での支払いはキャッシュレス派だと回答しています。あなたの店舗が現金しか取り扱っていなかった場合、キャッシュレス派の消費者も来店するようになり、顧客の新規開拓が期待できるでしょう。

メリット3.売上管理や顧客管理が容易になる

店舗がキャッシュレス決済を導入すると、顧客の購入履歴を集計したり、紙幣や硬貨を数える必要がなくなり、売上を管理しやすくなります。

また店舗の売上に貢献している商品やサービスのランキング表示、顧客の平均購入単価を正確に把握すれば、力を入れて販売すべき商品や改善すべき商品を効率的に分析することも可能になります。分析したデータをマーケティングに活用すれば、より効果的に顧客を集められるとともに売上アップにもつなげられるでしょう。

メリット4.インバウンド需要に対応しやすくなる

訪日外国人が増えたり、外国人労働者の受け入れが推進されたりするなかで、インバウンド需要に対応した決済方法を導入する必要性が増しています。キャッシュレス決済を導入すれば、国が違っても同じ方法で決済できるようにもなるため、日本での決済するハードルを下げることにつながるでしょう。

また、人によっては、キャッシュレス決済を導入している店舗に絞ってアクセスすることも考えられます。多種多様なキャッシュレス決済に対応していれば、より効果的な集客が可能になるでしょう。

メリット5.現金の盗難を防げる

大量の現金を保管・管理せずにデータで扱うことになるので、盗難や紛失を防ぐことが期待できます。

キャッシュレス決済を導入する店舗・事業者側のデメリット3つ

キャッシュレス決済を利用する店舗や事業者側のデメリットを取り上げます。

デメリット1.導入費用が発生する

店舗側がキャッシュレス決済を導入する場合、システムや機器を用意するための導入費用がかかります。必要に応じてレジの端末ごと入れ替えなければならないケースもあるため、導入するキャッシュレス決済によっては大きな費用負担が生じるでしょう。

また、無事にキャッシュレス決済を導入できても、キャッシュレス決済で売上が出ると、キャッシュレス決済事業者に所定の決済手数料を支払わなければなりません。場合によっては、キャッシュレス決済導入による支出の増加を予測して、商品価格やサービス価格の再設定が必要になります。

デメリット2.決済手数料が発生する

現金で購入された場合そのまま売上になりますが、キャッシュレス決済の場合決済サービス事業者に手数料を支払う必要があります。クレジットカードや電子マネー決済は3~5%、QR決済は0~3%が相場です。

デメリット3.現金の振り込みに時間がかかる場合がある

キャッシュレス決済では売り上げがあっても、レジの現金が増えるわけではありません。後日、キャッシュレス決済の事業者から代金が振り込まれる形になります。多くの場合、入金日が決まっているため、その都度、入金されません。したがって、決済から口座に入金されるまでにタイムラグが生じます。
したがって、現金が必要なタイミングで手元にお金がないといったことも起きる可能性があります。仕入れなどで現金が必要になるなら、あらかじめ資金を準備しておくことも大切です。

キャッシュレス決済を利用する消費者側のメリット4つ

次に、キャッシュレス決済を利用する消費者側のメリットを取り上げます。

メリット1.現金をつかうためのコストが省ける

現金での取引きをスムーズにするためには、定期的に紙幣や硬貨を製造したり輸送したりしなければなりません。また、ATMや現金の出し入れに対応したレジを導入するなど、さまざまなコストもかかってしまいます。

キャッシュレス決済が普及すれば、それだけ製造や流通させる現金の量を少なくすることが可能。ATMや現金で対応したレジを導入する必要性も低くなるので、それだけ社会的なコストを省くことにつながります。

メリット2.個人間で手軽に送金できるようになる

キャッシュレス決済を導入すると、銀行を介さずに個人間でお金を送金できます。対面で現金を受け渡しする必要性がなくなるので、飲食店での会計を割り勘したり、複数の人たちから集金をするなどの手間を大幅に削減できるでしょう。また、個人間送金を利用すると、週末や夜間でも銀行の手数料や営業時間を気にすることなく送金できるのも良いところ。プライバシーも守りやすくなるので、安全に金銭管理することも可能です。

ただし、個人間送金を利用するためには、お互いが同じアプリを利用していなければならなかったり、アプリによっては現金を引き出せなかったりする場合があるので注意が必要です。利用目的に適したサービスを選べるよう、サービスごとの特徴をよく理解しておくことが大切です。

メリット3.ポイントが貯まる

現金決済でも、ポイントカードでポイントを貯められますが、特定の店舗でしか利用できないケースが多く、活用頻度が限定されがちです。

一方、クレジットカードやQRコード決済などのキャッシュレス決済は、利用金額に応じたポイントを獲得することが可能です。ひとつの店に限定されるようなことはなく、その決済方法がつかえるほとんどの場合でポイントを貯められます。

貯まったポイントは、特典と交換できたり決済時に現金の代わりとしてつかえたりするため、支出を抑えて商品やサービスを利用できます。うまくポイントを利用すれば、現金よりも家計の負担を抑えられるでしょう。

メリット4.収支の管理がしやすくなる

キャッシュレス決済を利用すれば、収支の管理もしやすくなります。現金で決済の場合はレシートがもらえますが、レシートをつかっての管理には入力の手間がかかってしまいます。

キャッシュレス決済の方法によっては、支払い状況をWEBサイトやスマートフォンアプリからリアルタイムで確認できます。自動的に収支を反映してくれるものもあるため、レシートをつかって管理するより手間がかかりません。収支のバランスを意識しながら日常生活を送れるので、つかいすぎを予防して計画的にお金をつかいやすくなるでしょう。

キャッシュレス決済に関わる消費者側のデメリット5つ

キャッシュレス決済を利用する消費者側のデメリットを取り上げます。

デメリット1.人によってはうまく利用できない

QRコード決済など、スマートフォンアプリを利用してキャッシュレス決済を導入する方法では、インターネット上からアプリをダウンロードして利用登録するなど、ある程度のITリテラシーが必要になります。そのため、デジタル端末の操作が苦手な人の場合、うまくサービスを活用できないかもしれません。

デメリット2.店舗によってはキャッシュレス決済がつかえない

キャッシュレス決済を導入しても、すべての店舗やサービスでキャッシュレス決済がつかえるわけではありません。

場合によっては現金での決済にしか対応していないところも…。もしキャッシュレス決済を利用したいのであれば、事前に店舗がキャッシュレス決済に対応しているかを確認しておく必要があります。また、キャッシュレス決済が利用できなくて困ってしまわないよう、ある程度の現金を持ち歩いておくことも大切です。

デメリット3.金銭感覚が薄れる危険性がある

特に、クレジットカードのように「後払い方式」のキャッシュレス決済の場合、支払い能力以上の利用をしないよう注意しなければなりません。

支払いが遅延すると信用情報を傷つけてしまったり、返済負担が増えてしまったりするリスクがあるため、支出の状況をこまめに確認するとともに、計画的な支払いを心がけておきましょう。

デメリット4.災害時に利用できなくなる危険性がある

キャッシュレス決済は、電力やインターネット通信を利用しなければならない性質上、災害などで起こりうる停電や通信障害に弱いという欠点があります。また、災害が起こっていなくても、スマートフォンの充電切れや端末の故障でキャッシュレス決済ができなくなるなどの事態も考えられます。

これらの事態に備えるためには、現金で決済できるようにしておいたり、モバイルバッテリーを持ち運んで充電切れを予防したりすることが大切になります。また、キャッシュレス決済を導入する事業者は、故障時の対処方法を考えておくことも重要です。

デメリット5.セキュリティトラブルが生じるリスクがある

キャッシュレス決済では、現金ではなくインターネット通信や決済端末を利用することから、スキミングや不正利用などのトラブルに注意しておかなければなりません。

具体的な対策として、クレジットカード自体にカード番号を表示させないようにしたり、一定時間空いたらQRコードを無効にしたりする方法が挙げられます。キャッシュレス決済の種類ごとに取るべき対策が異なるため、決済方法ごとに適切なセキュリティ対策を設けておくことが重要です。

キャッシュレス決済の現状

経済産業省のレポートによると、日本のキャッシュレス決済比率は36.0%で、93.6%を誇る韓国や、63.9%のイギリスなどと比べると低い利用率にとどまっています。主要各国ではキャッシュレス決済比率がおよそ40〜60%であるため、日本の現金払い信仰が際立っている状況です。この現状を変えるため、同レポートでは、キャッシュレス決済の比率を2025年までに4割程度、将来的には世界最高水準となる80%を目指すとしています。
※参考:経済産業省『キャッシュレス将来像の検討会』(2023年3月)

日本のキャッシュレス化が他国より遅れている原因

日本のキャッシュレス化が遅れている原因として、事業者側と消費者側それぞれの原因が考えられます。

事業者側の原因

事業者側の要因としては、キャッシュレス決済を利用した際に、発生する手数料がネックになっているという意見があります。クレジットカードやスマホ決済など、キャッシュレス決済を店舗に導入する際には、カードを読み込んだり、カードやスマホをタッチするための専用の端末を借りたりする必要があります。また加盟店になり、キャッシュレス決済を利用するたびに、サービス事業者に手数料を支払うことになります。キャッシュレス決済の利用者が少ない場合、この手数料を負担だと考える事業者もおり、支払いでのキャッシュレスの導入に消極的になるというわけです。

消費者側の原因

キャッシュレス決済の普及が遅れている理由として消費者側の理由もあります。まずは現金払いに慣れ親しんでおり、とくに不便を感じていないという点があげられます。また、ほぼ全てのお店で利用できる現金とは異なり、キャッシュレス決済に対応していないお店もあります。加えて、セキュリティ性への不安感があると言われています。クレジットカードではスキミングと呼ばれるカードの支払いデータを特別な端末を使って、盗み出すことで、不正な利用が可能になると言われています。またネットショッピングで利用したクレジットカード番号が何らかの理由で漏洩し、第三者に不正利用されてしまうリスクもあります。こうしたセキュリティへの信用の低さもキャッシュレス決済が日本であまり普及しない理由になっています。

キャッシュレス決済の5つの種類と選び方

キャッシュレス決済にもさまざまな種類があります。中でも消費者や事業者の利便性や感染予防などの視点から近年推奨されている決済方法として、次の5つがあります。

①電子マネー
②クレジットカード決済
③デビットカード決済
④QRコード決済
⑤プリペイドカード決済

これらの決済方法ごとの特徴を知っておくことで、今後利用するキャッシュレス決済を決めやすくなるでしょう。以下では、キャッシュレス決済の種類ごとの特徴を詳しく説明します。

①電子マネー

電子マネーは、決済をおこなう端末にカードをかざすことで決済をおこなう方法です。Suicaのように、電車やバスなどの交通機関の利用料金を支払う際につかうものや、WAONやnanacoのように、商品やサービスを購入する際につかうものなどがあります。

電子マネーには、事前にチャージしておいた金額分がつかえる「前払い方式」や、クレジットカードのように後で支払いが発生する「後払い方式」の2タイプがあります。前払い方式では、チャージ額の範囲内で支払いができるためつかいすぎを予防しやすいですが、チャージ額を超えて料金を支払えないので、場合によっては現金が必要になる場合があります。後払い方式では、チャージ額が少なくなってもすぐにクレジットカードを利用してチャージできますが、お金をつかいすぎてしまう危険性があるので注意が必要です。

②クレジットカード決済

クレジットカード決済は、キャッシュレス決済の中でも多くの人が利用している決済方法です。個人の信用情報を担保として商品やサービスを購入できるので、決済時に現金を支払う必要がなくなります。

ただし、口座振替をする際に、残高が不足しないよう注意が必要です。適切に引き落としができないと信用情報を傷つけてしまう危険性があるので注意が必要です。また、収入や勤務先など、クレジットカードをつくる人の背景によっては、審査を通過できずクレジットカードを発行してもらえないケースもあります。

③デビットカード決済

デビットカード決済は、カード決済をすると同時に銀行口座から代金が引き落とされる決済方法です。銀行口座の残高が決済できる金額の限度になるので、つかいすぎを防ぎやすくなるとともに、引き落としができず信用情報を傷つけてしまうなどのトラブルを避けられるのがメリットです。

また、デビットカードには、キャッシュカードと支払い機能が一緒になったものや、支払い機能のみ設けたカードがあるのも特徴。カード会社ごとの特徴を比較したうえで、使用用途にあわせて適切なカードを選ぶのがポイントです。

④QRコード決済

QRコード決済は、スマートフォンにインストールした決済アプリでQRコードを表示させ、店舗側の端末でコードを読み込むことによって支払いをする方法です。サービスによっては、店舗側が提示するQRコードをスマートフォンで読み込むタイプのものもあります。

また、QRコードのほかに、バーコードを表示させたり読み込んだりすることで決済するタイプもあります。どちらもコードを利用して決済することから、両者をまとめて「コード決済」と呼ぶこともあります。

⑤プリペイドカード決済

プリペイドカード決済は、「プリペイドカード」という決済用のカードにお金を事前にチャージしておき、その金額分使用できる決済方法です。

電子マネーと似ていますが、プリペイドカードはクレジットカードと連携できないので後払いができないこと、再チャージができないものがあるなどの特徴があります。

キャッシュレス決済をうまく活用するポイント

キャッシュレス決済は工夫次第でとても便利に活用できる支払い法です。賢く活用するためのポイントを取り上げます。

利用頻度の高い店舗の決済方法を確認しておく

生活圏にある利用頻度の高いお店がキャッシュレス決済に対応しているのか、把握しておくと、利便性が高まります。またキャッシュレス決済では利用するたびに金額に応じたポイントが還元される仕組みを取っている事業者が多くあります。したがって、利用頻度の高いお店でキャッシュレス決済を使えば使うほど、ポイントが貯まり、お得に買い物ができるようになります。

クレジットカードが利用できる店舗でも、対応しているブランドとそうではないブランドがあるため、自身が持っているブランドは対応しているのか、確認しておくことが大切です。

ポータブル充電器を持ち歩く

スマホ決済や電子マネーアプリを利用する場合、スマホのバッテリー残量が気になります。もし、外出したあと、充電が切れてしまうと、アプリを立ち上げることができず、支払いに使えないといったトラブルが起こり得ます。そのため、頻繁にスマホを使用する人は、ポータブル充電器を持ち歩くと安心です。

現金も忘れずに持参する

日本はまだキャッシュレスが浸透していないため、いくらか現金も持っていると安心できるでしょう。現金しか使えないお店もまだまだあります。また、突然の通信障害によって、キャッシュレス決済サービスが利用できなくなることも、稀に起こっています。

メリットやデメリットを理解したうえでキャッシュレス決済を活用しよう

消費者や事業者の利便性だけでなく、感染防止拡大の観点からも、キャッシュレス決済は今後さらに普及していくと考えられます。ここで説明した内容を参考にして、キャッシュレス決済に関する正しい知識を持ったうえで適切な決済方法を選べるようにしておきましょう。

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