リモートワークでは通勤が不要になるため、毎朝の支度にかかっていた時間が削減でき、さらに朝夕の通勤時間もゼロになります。したがって、ワークライフバランスの取れた生活を送ることができるようになるというメリットがある一方で、残業代もなくなることなり、その分の収入を副業でカバーしたいという声が聞かれるようになってきました。こうした社会状況から副業を認める企業も増えています。そこでリモートワークでも行える副業の種類や、見つけ方について解説します。また、同時に副業をはじめる際の注意点もレクチャーします。
リモートワークでできる副業
勤務している会社がリモートワークになったことで、時間にゆとりができ、副業でもはじめてみようと考えている人もいるでしょう。なかには、毎月、残業を重ねていたため、その分の収入源を副業でカバーしたいという人もいるかもしれません。ただ、どんな副業をすれば良いのか、わからない人も多いと思います。そこで、リモートワークでできる副業の職種や種類について紹介します。
プログラミングなどのエンジニア職
エンジニア職は、PCがあれば作業が行えるため、リモートワークでの副業との相性が非常に良いと言えます。また持っている知識やスキルを生かせるため、新たな勉強や資格も不要で、すぐにスタートできるメリットがあります。たとえば、アプリ制作やウェブサイト制作にまつわるプログラミングはしばしばアウトソーシングされています。そのためスキルや実績があれば、比較的簡単に案件を探すことができるはずです。また、Excelのマクロ作成といったVBAプログラマーの依頼も見られます。そのほか、初心者や子どもたちにプログラミングを教えるオンラインスクールも増えているため、講師として登録し、空き時間を見つけて副業する道もあります。
記事作成や編集などライティング職
ブランドイメージの向上を目的に、自社で制作した記事を定期的に配信するオウンドメディアに参入する企業も増えています。また、検索で上位に表示されると、ウェブサイトへの訪問者数が大幅に増えることから、検索キーワードを含んだウェブページを制作する企業が増えています。こうした記事で原稿を執筆することをSEOライティングと呼びますが、オリジナルで制作した記事を多く抱えることが、検索上位に表示させるひとつのポイントになっているため、ライターの需要が高まっています。こうしたSEOライティング職は取材などが不要なケースも大半なため、PCがあれば、参入できる副業のひとつです。ある程度、継続して依頼を受けるためには、記事を書くスピードや、自然な文章を構築するスキルが求められます。また、どんなページを作成すれば、より読みやすくなるのか、記事を読む訪問者が増えるのか、構成から考える編集スキルがあると、さらに依頼が増えると言われています。
簡単な設問に答えて報酬を得るアンケート
簡単な設問に答えるだけで現金やポイントなどの報酬がもらえる副業もあります。アンケート会社が条件を設定して募集をおこなっているものもあれば、新製品のモニターとして使用した商品やサービスの感想を送るようなものもあります。自宅にいながらできるため、休日や空いた時間を見つけてできる気軽さが人気な一方で、単価が安いため、大きな収入は見込めません。ちょっとしたお小遣い程度に考えておく必要があります。
アフィリエイト収入で稼ぐブログ
依頼を受けて副業を行う、プログラミングやライティングとは異なり、自分ではじめられるのが、ブログです。ブログを開設して、そこにアフィリエイトを設置することで、読者がブログの広告をクリックし、商品やサービスを申し込むによって、報酬を得ることができる仕組みになっています。獲得する読者の数に応じて、報酬があがっていくため、アクセスの多いブログ記事を書くノウハウや文章力が必要になります。また、アフィリエイトで収入が発生するまでには、ある程度、時間がかかるため、根気よく続けることが大切です。
安く仕入れて高く売るせどり(転売)
仕入れた商品を、その仕入れ額よりも高い値段で販売することによって、差額を利益にするビジネスが、いわゆる「せどり(転売)」です。中古品を扱う場合には、古物商許可証が必要で、また目利き力も必要になりますが、新品を取り扱う場合には、スキルや資格がなくても参入しやすいのが、メリットです。そのため、副業未経験者でも始めやすいと言えます。商品の仕入れ自体は、空いた時間にインターネットを使って、できるため、副業として最適です。また扱う商品も、家電やホビー商品、化粧品、生活雑貨など多岐に渡ります。売却できれば利益になるため、すぐに利益を得られる点も魅力です。
イラストなどをはじめとするデザイナー職
エンジニア職と同様にデザイナー職もPCがあればできる副業のひとつです。とくにイラストは依頼も多く見られるため、要望に応じた絵柄を作成するスキルや、依頼したくなるタッチのイラストを描くことができれば、十分、副業として成り立ちます。また、業務が終わったあとの時間を使って、作業がしやすい点も魅力です。一方で何度も描き直しを要求されたり、イラストを無断で使用されるトラブルも発生しているため、慎重に依頼内容や取引相手を見極める必要もあります。そのほかウェブサイトのデザインやロゴ制作といった依頼も比較的よく目にします。
難易度は高いが高収入が見込める投資
知識や経験が必要となり、損をするリスクもあるため、難易度が高いですが、その分、高い収入が見込める副業が投資です。株式やFX、不動産、最近では仮想通貨も投資の対象になります。初期投資としてある程度の資金が必要になる点も、初心者には手が出しにくいですが、空いた時間にできる副業だと言えます。必ずしもプラスになるのではなく、相場によっては、収支がマイナスになる点が他の副業との大きな違いです。
ユーチューバーとして動画投稿で稼ぐ
スマホの性能が向上し、高画質の動画を手軽に撮影できるようになったため、ユーチューバーとして、動画を投稿し、広告収入を得る人もいます。一部のユーチューバーが高額の報酬を得ていることから、参入する人も増えていますが、投稿する動画のテーマやアイディア次第では、十分、副業になる可能性もあります。一方で撮影した動画をそのまま投稿できるわけではなく、編集を行う必要があります。そのため、動画を完成させ、投稿するまでには時間がかかるというデメリットがあります。なお、YouTubeに動画を投稿すれば、誰でも報酬がもらえるというわけではなく、チャンネルの登録者が1000人を超え、直近の12ヶ月間で動画を視聴された時間が4000時間に達すると、収益化の申請ができるようになります。申請が終われば動画の再生数やチャンネル登録者数に応じて、報酬を得ることができ、報酬の目安は1再生あたり0.1円だと言われています。
動画編集も副業の1つ
YouTubeにチャンネルを開設して動画を投稿する人や、InstagramやTikTokでPRを行う企業も増えています。こうした動画は撮影してそのまま配信できるわけではなく、テロップを入れたり、見やすいように構成を変更したり、いわゆる動画編集を行う必要があります。投稿者が自ら編集をしているケースも多いのですが、動画を頻繁に投稿しようとすると、編集には時間がかかるため、作業が追いつきません。そこで動画編集を外部に依頼するケースが増えています。以前と比べ、動画の編集ソフトや高性能パソコンも手頃な値段になっているため、参入しやすく、動画編集のスキルがあれば、副業として稼ぐことも夢ではありません。
音楽系が得意なら作曲や編曲
最近は手軽に扱える音楽作成ソフトも登場しており、パソコンを使って作曲や編曲ができるようになっています。DTM(デスクトップミュージック)と呼ばれるものですが、副業として、これらを使った作曲や編曲に挑戦する人もいます。YouTubeでも動画に既存の音楽を使用することができないため、作曲や編曲をアウトソーシングするケースが見られます。こうした案件に参加し、作曲や編曲の腕が認められれば、十分な報酬を得ることができるようになります。
映画や論文、コーポレートサイトなどの翻訳
もし外国語が堪能なら、翻訳の副業も考えられます。Webサイトを日本語だけではなく、英語や中国語など、外国語に翻訳して、世界中の人たちが閲覧できるようにしている会社もあります。また、論文を発表する研究者も海外に研究成果を発信するため、翻訳を依頼するケースもあります。こうした翻訳はフリーランスの翻訳者や専門業者に発注している場合がほとんどで、翻訳のスキルがあれば、翻訳会社に登録することで仕事の依頼が舞い込む可能性があります。実績を積み、スキルが認められれば、専門職で単価も高いため、大きな収入が得られる可能性もあります。とくに英語や中国語、フランス語など主要言語以外は人材が不足しがちで、もし翻訳できるスキルがあれば、重宝されるはずです。
マーケティングが得意ならWebマーケター
少し特殊な専門職ですが、スキルがあると仕事が舞い込む可能性が高いのが、WebマーケターやSNSマーケターです。Webマーケターの場合には、Googleの検索エンジンで上位に表示されることがWebサイトの訪問者数に大きく影響を与えるため、キーワードの設定の仕方や、コンテンツ内容をアドバイスする職業が人気となっています。また、SNSでもどのような投稿をすればPRにつながるのか、ノウハウが必要で、アドバイスできる実績やスキルがあれば、SNSマーケターとして依頼が舞い込むはずです。
事務経験が活きるオンライン事務
リモートワークが広がったことによって、通勤せずに、自宅やシェアオフィスで仕事をする人も増えています。そんななかこれまでは社内で処理していた事務作業を外部に委託する動きもあります。たとえば、データの入力作業や、ホームページの定期更新、音声の文字起こしや、商品発送の代行などが代表的で、その他にも多岐にわたる事務作業があります。事務としてのプロ意識やスキルがあれば、副業として十分なりたつ可能性があります。
リモートワークの副業を見つける方法
では、リモートワークの副業を見つけるなら、どんな方法を取るのが、効果的なのでしょうか? 続いては副業の探し方について解説します。
求人サイトで探す
副業の需要が高まっていることを受けて、求人・求職サイトでも副業の募集を行うようになりました。そのほか企業などが個人に仕事を発注するクラウドソーシング専門の求人サイトも活況となっています。こうしたサイトに条件を登録しておくと、案件が発生するたびに告知が届くので、副業を探すのに便利です。事前に在宅で完結する仕事かどうか確認しておくことも、副業として行うなら大切です。
自身を企業に売り込んで受注する
企業に個人が売り込みをし、直接、仕事を受注することも、以前より簡単になっています。TwitterやInstagramなどSNSに作品を投稿することで、誰でもお金をかけずに、宣伝やPRができるようにもなっています。企業や制作会社の担当者の目に止まれば、直接、依頼が来ることもあります。またビジネスSNSの Wantedlyなど、フリーランスのクリエイターや求職者と、企業とのマッチングの機会を提供しているサイトもあります。これらを活用することによって、自分のスキルや作品を売り込むことで、案件を獲得することも可能です。
ブログやSNSを通して声をかけてもらう
ブログあるいは、TwitterやInstagramといったSNSを、知人との近況の報告に利用している人も多くいますが、そこに作品や仕事の実績を掲載することで、案件の依頼が舞い込むことがあります。これらのサービスには「いいね」などを押すことで、投稿をシェア・共有できる機能があるため、見ず知らずの誰かに作品や実績が届く可能性があります。そこから仕事を受注する方法もあるわけです。ただ、フォロワーが少なければ、拡散力が弱く、誰かの目にとまるまでに時間がかかることになります。
知り合いなど身近な人から受注する
知り合いなど身近な人から仕事を受注する方法は、古典的ではありますが、フリーランスや副業をはじめたばかりの人にとっては、重要な窓口になります。イラストを描いてもらいたい、デザインをしてほしい、文章を書いてほしいといった需要は常にあり、とくにWeb制作系の企業で働く知人がいれば、一度、声をかけてみると良いでしょう。
リモートワークで副業を始めるときの注意点
リモートワークで時間ができたからといって、すぐに副業をはじめるのはおすすめできません。まずは雇用契約で副業が禁止されていないかなど、勤務している会社との関係を調べることが大切です。そのほか、リモートワークで副業をはじめるときに確認しておきたい注意点について解説します。
注意点1|職場に副業可能かどうか確認する
副業人材を募集するなど、柔軟な働き方を取り入れることで、優秀な人材を確保しようとする企業も増えています。その一方で副業をまったく認めていない企業も存在します。こうした会社に勤務する人がリモートワークで時間にゆとりができたからといって、勝手に副業をはじめると、最悪の場合、会社からクビを宣告される可能性もあります。雇用契約で副業の禁止が明記されているケースもあるため、自分が働く会社が副業を認めているか確認してから探すのがおすすめです。
注意点2|体調面などで本業に影響の出ないようにする
本業があっての副業です。副業に頑張りすぎて体調を崩したり、寝不足で日中に集中力が途切れてしまうようなことになれば、本業での評価が下がってしまう危険があります。自覚がなくても、新しい仕事にチャレンジすると、ストレスや疲労がたまることも想像できます。どれくらいの時間・頻度で副業を行うのか、様子を見ながら行う方が良いでしょう。
注意点3|税金などの支払に注意する
会社員の場合、主な税金の支払いはすべて会社がやってくれるでしょう。副業によって、別の収入源を得るようになると、確定申告を行う必要が出てきます。もし、確定申告を怠れば、追徴課税などの罰則が与えられる可能性もあります。副業によって、どれくらい収入が増えるのか? 所得税はもちろん、住民税などの金額にも影響が出るため、税金の支払いのことについてはあらかじめ確認しておく必要があります。
注意点4|チャットなどの連絡はこまめに返す
副業に限らないことですが、新しい取引先と信頼関係を構築することが、継続的な発注を得るためには重要になります。そのため、メールやチャットなど、発注元から届く連絡にはこまめに返信をするよう注意しましょう。ときには本業を行っている最中にも連絡が入る可能性があるため、業務の空き時間を見つけて、メッセージが届いていないか確認する癖をつけておくと良いでしょう。
リモートワークで副業を始めるときに用意しておきたいツール
リモートワークを契機に副業をはじめる場合、自宅できる仕事を中心に探す人も多いと思います。したがって、PCがあればできるものが中心になると思います。ただ、受注する相手によって、使用するツールが異なる場合が多いため、新しいツールやサービスのインストールも必要になるでしょう。ここでは最低限リモートワークでの副業で必要となるものを紹介しておきます。
Web会議ツール
まずはリモート打ち合わせに必要なWeb会議ツールです。使用するツールも企業によって異なるため、事前に確認しておきましょう。一般的にはZoomやGoogle meetの使用を求められることが多いのですが、クライアントが小規模な会社の場合には、時間無制限で使用できるWherebyと呼ばれるツールを使うこともあります。スムーズに打ち合わせができるよう、あらかじめソフトをインストールし、アカウントを開設しておくと良いでしょう。
チャットツール
電話やメールでやりとりをするクライアントもありますが、近年はレスポンスの速さからビジネス現場でもチャットツールが利用されつつあります。なかでもSlackやChatWorkといったツールは、広く普及しており、もし利用したことがないなら、日頃の業務でも使ってみると、使い方や機能を把握することができ、スムーズに対応できます。
タスク管理ツール
多くの人が関わるプロジェクトや、工程が多岐にわたる業務では、やるべき作業が抜けてしまうことがあります。またスケジュールを守るために、進捗を把握しながら、作業を進める必要があります。そのため、タスク管理ツールを使って、業務を把握する企業が増えています。たとえば、Asanaといったツールは、プロジェクトをチームで進捗管理するために広く用いられているため、事前に用意しておきたいところです。
自分にできそうなリモートワークの副業から挑戦してみよう
リモートワークによって、ゆとりを持って、仕事と向き合うことができるようになりましたが、一方で残業代が減るなど、収入が減少する人も増えています。また、空いた時間を使って、副業をして自分の可能性を試したいという人もいるでしょう。企業も能力ある人材を確保するため、スキルを持った人材を副業募集という形で、集めようとしています。副業に精を出しすぎて本業に支障が出ない範囲で、挑戦してみてはいかがでしょうか?