トークンとは?仮想通貨との違いや具体的な活用事例をわかりやすく解説

仮想通貨に似た単語としてよく耳にする「トークン」について、主な特徴や仮想通貨との違い、具体的にどのような場面で活用されているかについて解説します。またトークンへ投資をするメリットや注意点などもあわせて紹介します。

トークンという言葉を聞いたことはあっても、実際にどのような意味で、仮想通貨とどのような違いがあるのかわからない方も多いのではないでしょうか。

この記事ではトークンと仮想通貨との違いを説明し、トークンの基礎知識からどのように利用されているのかまで解説します。

トークンとは

トークンはさまざまな文脈で使われるため、明確な定義があるわけではありません。

一般的には仮想通貨プラットフォームを間借りする形で発行された、仮想通貨を指します。

また、ビットコイン・イーサリアム以外の仮想通貨を指す言葉として使われることもあります。

トークンの特徴や仮想通貨との違い

トークンには発行者・管理者が存在している

基本的に、仮想通貨には発行者や管理者にあたる組織が存在しません。

ビットコインの最大発行枚数は2,100万枚となっていますが、イーサリアムを含む一部の仮想通貨では最大発行枚数が設定されていません。

一方、トークンは企業や個人が既存のチェーンを利用して発行しています。

発行者は開発チームや企業のケースが多く、トークンの分配や比率などは発行者に依存することが多いのが現状です。

また、トークンには発行枚数の上限がないことも多いですが、管理者や発行者がトークンの価値保全のため、焼却(バーン)という方法で供給量を調整する場合があります。

トークンの発行方法

仮想通貨を発行するには2つの方法があります。

1つ目は、独自のブロックチェーンを最初から構築する方法です。

この方法なら、自由にカスタマイズしながらブロックチェーンを構築することができます。ただし、時間と費用が大きくかかることがデメリットとして挙げられます。

また、ブロックチェーンの知識を学んでいく必要があり、開発以外の部分でも多大なるコストがかかることから、最初から構築するのは非現実的な選択肢となるでしょう。

2つ目の方法は既存のブロックチェーンを利用して発行する方法です。

現在でもビットコインやイーサリアムなど、既存のブロックチェーンではオープンソースと呼ばれるプログラムを自由に閲覧し、学んだり利用したりすることができます。

時間や労力をかけなくても、トークンを発行することができるため、プロジェクトトークンや、企業が発行しているトークンで利用されていることが多いです。

トークンを発行するためのプラットフォームを利用することで、誰でも簡単にトークンを発行できます。

トークンには付加的に価値がつけられることがある

トークンと一口に言っても、それぞれ異なる性質があります。

トークンが発行される場合は何かしらの目的を持っており、課題解決のためにどのようにトークンを利用するかを決めて発行されることが一般的です。

そのため通貨の売買だけではなく、プロジェクトで何かを決める場合の議決権を、トークンの保有量に応じて付与するという使い方もされます。

トークンにはさまざまな付加価値がつくことがあり、その付加価値をどのように利用し、利用者の拡大に繋げるかというのがトークンエコノミーを考える上で大事なポイントです。

トークンの種類

トークンは活用方法に応じて、さまざまな種類に分かれます。
それぞれの特徴について解説します。

セキュリティトークン

セキュリティトークンは「トークン化されたデジタル有価証券」です。

トークン化するためにはブロックチェーンの技術を利用するため、イメージとしては有価証券の性質を有しているトークンと理解するといいでしょう。

セキュリティトークンは一部の金融機関でも利用されており、実際に野村総研がデジタル債やデジタルアセット債を発行しています。

セキュリティトークンを利用するメリットは、コストの問題で社債発行ができなかった企業が社債を発行しやすくなったり、STO(セキュリティトークンオファリング)という
方法で、資金調達が容易になったりすることです。

さらに、スマートコントラクトを利用して決済を自動化でき、取引コストが低下することで小口証券化が行いやすくなります。そのため、個人投資家に機関投資家と同様の金融商品が提供できるというメリットもあります。

ユーティリティトークン

ユーティリティトークンとは、ゲーム内や特定のサービス・コミュニティに対して利用できるトークンです。

たとえば、ゲーム内のアイテムを購入する、コミュニティの利用者に対してインセンティブを付与する、コミュニティ内で投票を行うための権利を付与するなど、さまざまな場面で利用されることが多いです。

また、保有期間や保有量によって報酬が付与されるユーティリティトークンもあります。

ガバナンストークン

ガバナンストークンは、あるコミュニティや組織内で行使することができる一定の権利を有したトークンです。

たとえば、管理者がいない非中央集権型のDAOでは、ガバナンストークンを保有している投資家が議決権を持ったり、運営を行ったりしています。

また、議決権の他にも「取引手数料が一部還元される」といった機能を持たせることができるのもガバナンストークンの特徴です。

NFT

NFTとは「Non Fungible Token」の略で、代替不可能なトークンを指しています。

これまで、デジタルデータやデジタルアート作品に関しては、複製が容易にできることから価値を持たせることが難しいとされてきました。

しかし、NFTにデジタルデータを紐付けてトークンを発行することによって、デジタルデータが本物かどうかを判別することができるようになったのです。

ステーブルコイン

ステーブルコインは、安定した価格を実現するために作られたトークンです。

仮想通貨の値動きが激しいことから、資産価値を安定させるため、仮想通貨市場における現金のような資産性のあるトークンが必要でした。そこで発行されたのがステーブルコインです。

法定通貨担保型

「法定通貨担保型」は日本円や米ドルといった法定通貨との交換比率を1:1に調整しているステーブルコインです。

法定通貨担保型は、発行元が発行したい数量のステーブルコインと同量の法定通貨を保有することで信頼性を担保しています。

仮想通貨担保型

「仮想通貨担保型」は、他の仮想通貨を担保にステーブルコインを発行しています。

ステーブルコインの信用は他の仮想通貨の価値に左右されてしまうといった特徴があります。

無担保型

「無担保型」のステーブルコインは、ステーブルコインを担保する裏付け資産がなく、需給を調整して、法定通貨の価値の変動と同様にするステーブルコインです。

アセットトークン

アセットトークンとは、実物資産の価値に連動したトークンです。

コモディティや不動産、そしてステーブルコインも法定通貨の価値に連動したトークンであるため、アセットトークンの一つとなるでしょう。

セキュリティトークンも有価証券に連動したトークンであることから、アセットトークンの一つと言えます。

一例として、ベネズエラが発行した原油の価値を裏付け資産として発行したPetro(ペトロ)というトークンがあります。

また、ポイントカードも同様にアセットトークンであり、実物資産をトークンにしたものはすべてアセットトークンのくくりということになります。

トークンの具体的な活用事例

具体的にトークンが活用されている事例について、以下の2点を主なケースとしてご紹介します。

・メタバースプロジェクト
・ブロックチェーンゲーム

メタバースプロジェクト

メタバースプロジェクトの一例として「The Sandbox」というブロックチェーンゲームがあります。

The Sandboxはユーザーがメタバース上で構築されたワールドと呼ばれる世界で土地を購入し、建物を建築したり、土地を貸し出したり、アイテムやサービスを提供するゲームです。

販売されている土地を「LAND」と呼んでおり、The Sandboxの世界で利用できる通貨を「SAND」と呼びます。

LAND一つひとつにトークンが紐付けられているため、所有者がデジタル上でも判別できるような仕様となっています。

ダウンロード数は4,000万回で、2020年3月にはスクエアエニックスからの出資を受けるなど、既存のゲーム会社がメタバース上のゲームに興味を示す動きも見られています。

ブロックチェーンゲーム

ブロックチェーンを利用して構築されたゲームの代表例に「アクシーインフィニティ」があります。

アクシーインフィニティは「アクシー」というモンスターを育てて対戦させたり、レベルアップさせたりするゲームです。

アクシーは一体ずつNFT化されて販売されており、イーサリアムを利用して購入できます。

ゲーム内では「AXS」や「SLP」と呼ばれるトークンがインセンティブで付与されるため、遊んで稼げるゲームとして話題になりました。

アクシーを育成した後はゲーム内にあるNFTプラットフォームで売買が可能です。

東南アジアではこのアクシーインフィニティを仕事としている地域もあり、ゲーム内トークンの価値が大幅に上昇していたことから、大きな資産を築いた例もあります。

ソーシャルメディアサイト

「Brave」というWebブラウザで「BAT」と呼ばれるトークンが発行されています。

Braveは、メディアのようなWebの中で課題となっているプライバシーの侵害を解決するための手段の一つとして作られました。

Braveブラウザからの広告をユーザーが閲覧した場合、報酬としてBATを得ることができます。

Braveのアクティブユーザーは5,000万人以上となっており、利用するユーザーは拡大する動きが継続しています。

また、Braveブラウザで受け取った報酬のBATは、国内仮想通貨取引所である「bitflyer」で受け取りが可能です。

トークンへ投資するメリット

トークンへの投資でさまざまなメリットが得られます。

たとえば、トークンを購入するとそのプロジェクトのエコシステムを使用することができます。

最新のサービスに触れることができれば、今後伸びそうなジャンルやトークンも推測できるかもしれません。

また、さまざまなプロジェクトのガバナンス決定に参加できるのもメリットと言えるでしょう。

トークンのデメリットや注意点

トークンのデメリットや注意点としては、発行者・管理者など運営をする組織や個人の信頼性が低い場合に価値が低くなることがあります。

時価総額ランキング上位の銘柄は中身がしっかりしており、かつ運営も健全なプロジェクトが多く存在します。

数多くあるトークンの中でそのようなトークンを見つけられるかは重要なポイントの一つです。

また、投資をする際にはウォレットアドレスとネットワークが一致していない場合のトークン損失や、ウォレットのハッキングなど多くのリスクが潜んでいます。

このようなリスクや注意点を理解した上での投資を心がけましょう。

まとめ

トークンにはさまざまな意味があり、一概にトークンという言葉で全てを説明できるものではなく決まった定義というものはありません。

トークンは売買目的のためだけでなく、所有者限定のコミュニティに参加できたり、プロジェクトメンバーの一員として決議権が得られたりなど、さまざまな付加価値があります。

トークンを購入する際は資産価値だけでなく、どのような性質があり、どのように利用されているのかを調べてみるとよいでしょう。

Article Tags

Special Features

連載特集
See More