評価額100億ドルのデカコーン企業、コラボレーションソフトウェア「Notion」〜海外ユニコーンウォッチ #11〜
2022/10/13
「ユニコーン企業」ーー企業価値の評価額が10億ドル以上で設立10年以内の非上場企業を、伝説の一角獣になぞらえてそう呼ぶ。該当する企業は、ユニコーンほどに珍しいという意味だ。かつてはFacebookやTwitterも、そう称されていた。この連載では、そんな海外のユニコーン企業の動向をお届けする。今回はコラボレーションソフトウェア「Notion(ノーション)」を取り上げる。
ピクサーやサントリーも利用。コラボレーションソフトウェア「Notion」とは
2016年にNotion 1.0がリリースされ、2019年に100万人だったユーザー数は、2020年4月に400万人、2021年10月には2,000万人を超えている。そのうち、約80%がアメリカ以外のユーザーでありグローバルで利用されるサービスとなった。このような急成長を背景に、2021年10月には2億7,500万ドルの資金調達を発表。評価額は100億ドルに達し、「デカコーン企業」となっている。
日本でもスタートアップを中心にNotionのユーザーは増加している。2021年8月、日本のDAUが前年同月比で約4倍になり、1,000社以上のスタートアップが利用しているという。2021年10月には、日本語に対応した「日本語ベータ版」をリリースした。Notionと日本との間には少なからぬ縁がある。創業者でCEOのアイバン・ザオ氏は、Notionの開発に明け暮れていた2015年を京都で過ごし、その際に受けたインスピレーションがNotionに活かされているというのだ。「なぜ日本を選んだのか」という質問に対して、ザオ氏は「日本には職人の技巧を大切にする文化があり、Notionが目指したい姿が体現されていたから」と答えたとのことだ。
コンピューターの可能性を追求した、Notionの設計思想
「越境」する競合サービス
このように、今までは複数のツールが必要だった作業を一つのツールで完結できるよう、各サービスが機能を広げるという動きが出ている。一つのツールに複数の機能を搭載するというのは、まさにNotionのお家芸だが、最初からあらゆる機能を包括しているNotionには、「機能が複雑で使いこなせない」という声もある。各サービスが領域を広げ、扱う機能が重なり合うなかで、ユーザー獲得の争いはさらに熾烈を極めることになりそうだ。