デザインの最初から最後まで全てを支援するデカコーン企業「Figma」〜海外ユニコーンウォッチ #4〜

「ユニコーン企業」企業価値の評価額が10億ドル以上で設立10年以内の非上場企業を、伝説の一角獣になぞらえてそう呼ぶ。該当する企業は、ユニコーンほどに珍しいという意味だ。かつてはFacebookやTwitterも、そう称されていた。この連載では、そんな海外のユニコーン企業の動向をお届けする。今回はデザインプラットフォームの「Figma(フィグマ)」を紹介する。

評価額100億ドルを超える「デカコーン」企業、Figmaとは

Figmaは、2015年に誕生したデザインプラットフォーム。Web上で、デザインやアプリの導線設計などができるサービスだ。2021年にはシリーズEラウンドとして評価額100億ドルで、2億ドルの資金調達を実施した。ユニコーン企業の中でも、評価額が100億ドルを超える企業は「デカコーン」と呼ばれる。今回の資金調達でFigmaもその仲間入りを果たした。

Figmaは「誰もがデザインにアクセスできる」ことを目指している。シリーズEラウンドの資金調達の際、共同創業者でCEOのディラン・フィールド氏は社内向けのメールで「我々のビジョンは誰もがデザインにアクセスできるということだ。私がFigmaに取り組んでほぼ9年が経つが、我々はそのビジョンの追求をまだ始めたばかりだと本気で思っている」と述べたという。専用のアプリケーションなどを必要とせず、Web上で利用できるという特徴も、アクセスのしやすさを表している。この誰にとっても使いやすい特徴が、コロナ禍で増えたリモートワークとの相性もよく、Figmaをデカコーン企業へと押し上げる一因となった。

Web上で「誰もがデザインにアクセスできる」ことがFigma最大のメリット

前述の通り、Figmaの大きな特徴はWeb上で利用できるということだ。従来は、デザイナーと別の担当者がデザインのやり取りをする際、使用しているサービスが異なるがゆえにうまくデータを共有できなかったり、修正指示や修正データを何度も送りあったりと手間がかかっていた。しかし、FigmaはWeb上でデザインをつくることも見ることもできるため、簡単にデザインデータを共有することができる。まさに「誰もがデザインにアクセスできる」ことの利点だ。また、Web上でデータの編集や確認ができるため、つくったデザインのデータをメールなどで送る手間を省くこともできる。同じデータを複数人で同時に編集することも可能なので、データを見ながら修正指示を出したり相談したりすることもできるのだ。そのため、複数のデザイナーやさまざまな部署の担当者が入っているチームでも、スムーズにやり取りをしながら業務を進められることが、Figmaを利用する大きなメリットだといえる。
さらにFigmaには、デザインをつくるだけではなく、実際にデザインをサイトに実装したときにどう表示されるかについて、画面の遷移などのアクションも含めて確認できる機能もある。簡単な「プロトタイプ」として、Figma上で画面を遷移させながらデザインを確認することができるのだ。この機能もWeb上で利用できるため、実装したときのイメージを誰にでも共有でき、確認する側も簡単に見ることができるところも魅力の一つだ。デザインの作成からプロトタイプとしての実物イメージの確認まで、Web上の一つのサービスで完結できることこそ、Figmaが支持されている理由だ。

デザイン作成の「前」を狙う新サービス「FigJam」

Figmaは2021年4月に、新しいサービスとしてホワイトボードスペース「FigJam」を発表した。これは、Web上で使用できるホワイトボードで、アイデア出しなどのシーンで使われる手法「ブレインストーミング」を快適にするために作成された。Figma同様、複数人で同時に使用することができ、付箋や描画ツールなどブレインストーミングを行う際に便利な機能を組み込んでいる。また、オーディオ機能も存在し、FigJam上で話すことも可能だ。Figmaが、デザイン案が決まったあとの作成段階を支援するサービスであるのに対して、FigJamは、その前の段階である「アイデア出し」を支援する。そして、FigmaとFigJamがシームレスに連携することで、アイデア出しからデザイン完成までの全てを網羅する狙いだ。すでにNetflixやSalesforceといった有名企業がFigJamを使用し、ブレインストーミングに活用しているという。「誰もがデザインにアクセスできる」ことを軸に、デザインにまつわる全ての作業をFigmaサービスで完結できるように展開しているのだ。
ユニコーン企業は、評価額100億ドルを超える「デカコーン」がさらに大きくなり、評価額が1,000億ドルを超えると「ヘクトコーン」と呼ばれる。Figmaはヘクトコーン企業になるまで成長するのか。今後にも注目だ。

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