広告ブロックだけじゃない! 暗号資産も活用する次世代ウェブブラウザ「Brave」とは 〜Web3サービス徹底解説 #1〜

「Web3(Web3.0)」とは、ブロックチェーン技術を活用した新しいインターネットを指す概念だ。管理者を必要としないことから「分散型インターネット」とも言われている。中央集権型の「Web2.0」とは大きく異なり、インターネットに革命をもたらすと期待され、近年、注目を浴びている。この連載では、そんなWeb3に関連するサービスを紹介していく。今回は、Web3時代のウェブブラウザともいわれる「Brave(ブレイブ)」を取り上げる。

Web3時代の次世代ブラウザ、「Brave」とは

Braveは、オープンソースで開発されているウェブブラウザだ。特にプライバシーの保護に力を入れている。Braveを運営するBrave Software社は、プログラミング言語「JavaScript」を開発したことで知られるブレンダン・アイク氏によって2015年に設立された。アイク氏は現在もCEOを務めている。2016年にiOSブラウザ・Androidブラウザをリリースし、2019年に正式版となる「Brave1.0」をリリースした。Braveは、公式サイトからダウンロードすることですぐに使用でき、WindowsやMac、Linuxなどに対応している。2022年1月の発表によると、月間アクティブユーザー数は5,000万人を突破し、5年連続で2倍増を達成したとのことだ。

また、同社は検索エンジン「Brave Search」も提供している。ウェブブラウザ同様、プライバシー保護に重きを置いており、検索内容やクリック履歴などのデータを収集しない仕様となっている。

仮想通貨BATが貯まる、Braveの特徴

Braveは、ユーザーのプライバシー保護を重視し、広告やトラッカーなどウェブ上でユーザーのデータを追跡しようとするツールをブロックしている。これにより、ユーザーは自分のオンラインアクティビティが追跡されたり、個人情報が収集されたりすることを心配する必要がなくなり、安心してウェブサイトを閲覧することができる。また、広告やトラッカーをブロックすることで、扱うデータ量が少なくなるという効果もある。データ量が少なくなることで、ページの読み込みが速くなり、無駄な待ち時間を減らしバッテリーも節約することができる。Braveは「Chromeより3倍速い」と謳っており、この点も強みとして打ち出している。

Braveは外部の広告やトラッカーをブロックする一方、Brave上で表示する広告のネットワークを自社で持っている。さらに、広告を見たユーザーに報酬を用意していることが大きな特徴だ。ユーザーへの報酬には暗号資産「BAT(Basic Attention Token)」を使用している。ユーザーはBraveが提供する広告を見るかどうか選択でき、広告を閲覧した際には報酬としてBATを得られる仕組みだ。暗号資産取引所の「bitFlyer」とアカウントを連携すると、BATをbitFlyerのアカウントで受け取ることも可能になり、売却をすれば日本円に換金することができる。

「ウォレット」機能を備えるウェブブラウザ

Web3サービスの代表である暗号資産を利用する際には、それを保管する「ウォレット」が必要だ。Braveは「ウォレット機能」をデフォルトで備えている。暗号資産を扱うことを前提としたサービスなので当然といえば当然だが、拡張機能を使わずにウォレットを使用できることは、他のウェブブラウザとは異なる独自性だ。Braveは、ウェブブラウザ自体にウォレットを備えるメリットとして、アカウントのなりすましリスクを軽減できる点や、CPUの使用量を少なくできることを挙げている。ウォレット機能の標準装備により、Braveを単体で利用するだけで暗号資産を扱い始められることから、Braveを起点としてWeb3サービスを利用することへのハードルが下がると考えられる。

実際にBraveは、現状の暗号資産の使いにくさに着目し、BraveとBATを活用することで「暗号資産を次世代の10億人のユーザーに解禁し、デジタル広告業界の足かせとなっている非効率なシステムとプライバシーの侵害を解決したい」と述べている。最初の利用目的はプライバシー保護や広告のブロックだとしても、Braveユーザーが増えることは、おのずからWeb3サービスの利用者が増えることにつながるだろう。

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