CES2020、来場者の注目を浴びたブースをテーマ別にご紹介! ③

2020年1月初旬に、米ラスベガスで開催されたCES2020の技術やガジェットを総括。家電のみならず、ビジネストレンドをも占う世界最大級のテクノロジーショーで来場者の注目を浴びていたブースをテーマ別に、写真・映像とともにお届けする。今回は、ベンチャー企業の展示会場「EUREKA PARK(エウレカパーク)」で、話題を集めた日本のスタートアップを紹介する。
前回、EUREKA PARKには、国ごとにブースを固めて出展する傾向があると紹介した。日本の場合も、JETRO(日本貿易振興機構)が中核となり、「J-Startup」と称して29社のベンチャー企業を集め出展した。

CES2020では、ソニーの自動運転車や、トヨタのスマートシティー構想「Woven City」が注目され、日本企業の存在感を高めたが、この「J-Startup」も活況を呈していた。

■ラストワンマイルの覇権争いに、「安全性」で挑む

こちらは、株式会社FINE TRADING JAPANが2012年にブランドを立ち上げ、2017年に株式会社化したglafit(グラフィット)が提案する電動スクーターだ。
モビリティによる移動体験をICTによってシームレスにしようとするMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)は、自動車メーカーやプラットフォーマーだけが主役ではない。電車やバスなど公共交通機関の間を埋める、短い距離の移動のために電動バイクや、電動スクーターの開発が盛んになっていて、多くのベンチャー企業が台頭している。

特に欧州では、電動スクーター市場が活況を呈していて、街中では、スマホで手続きをすることで、自由に乗り降りが可能な電動スクーターが散見され、多くの利用者がいる状況だ。

そんな市場に対して、glafitが提案するのが、安全性の高い電動スクーターだ。

実は、一般的な電動スクーターには構造的な欠陥があるという。それは、両足を前後に置いて乗ることで、バランスをとることが難しく、転倒時に受け身の体勢をとりづらいということだ。

一方で、glafitのスクーターは、両足を左右に開いて乗せることができ、常に安定した姿勢を保つことができる。何かしらの衝撃で車体が揺らいでも、とっさに飛び降りるといった動作もしやすいという。

また、他のメーカーでは標準装備しているところがあまりない、ウィンカーライトも装備し、安全面に配慮した電動スクーターとして、注目を集めていた。

米国では、2月からクラウドファンディングを行う予定で、日本国内でもクラウドファンディングを予定しているという。

【glafit】X-SCOOTER LOM

■空の移動を快適に、技術ベースで考えるエア・モビリティの新コンセプト

また、次世代モビリティの注目株のひとつに挙げられるのがVTOL(Vertical Take-Off and Landing Aircraft:垂直離着陸機)だが、乗り物として活用する際の課題解決策として、エアロネクストは、「空飛ぶゴンドラ(Flying Gondola)」というコンセプトを発表した。
エア・モビリティの新コンセプト「空飛ぶゴンドラ」は、安全性と快適性を両立させ、快適な飛行体験を提供することで、エア・モビリティの社会受容性を高め、空の経済化を加速させるというものだ。

操縦者不要の自動航行で、機体の揺れが最小限に抑えられ、乗降しやすく、複数の人が時間と空間を共有しながら移動できるようイメージされている。

ただ、エアロネクストはVTOLのメーカーではなく、そのための重心制御技術に特化した企業だ。「空飛ぶゴンドラ」にも、独自開発したドローンの重心制御技術「4D GRAVITY®」と、VTOLの重心制御技術「ティルトボディ®」を搭載し、垂直離着陸時の恐怖心の払拭や、離陸から水平飛行への円滑な移行などを実現。従来のエア・モビリティの課題を解消している。
乗り物そのもののコンセプトが、多くの企業から出される中で、こうした安全に関する技術が基幹技術として根付いていくことが期待される。

■ベビーテックでも存在感 赤ちゃんの泣き声を分析

モビリティ分野以外で注目を集めていたのは、ベビーテックだった。ベンチャー企業がひしめくEUREKA PARKだけではなく、今回はP&Gが、おむつが濡れたらスマホに通知する「Lumi by Pampers」というシステムを発表し注目されるなど、盛り上がりを見せている。
そんななか、日本のファーストアセントが発表したのが、赤ちゃんの枕元に置くだけで、赤ちゃんが泣いている原因が分かる「CryAnalyzer Auto」だ。
赤ちゃんが泣くと、Hangry(空腹)、Angry(怒っている)、Sleepy(眠い)、Uncomfortable(不快)、Boring(退屈)のいずれかに分類し、スマホに通知を送る。2万人以上のモニターから集めた泣き声データとAIを用いて、このアルゴリズムを開発した。
診断結果の精度は80%以上だという。ブースを訪れた外国人の反応も良く、ベビーテック需要のグローバリゼーションを感じたという。

■アシックス初出展の裏にベンチャー企業

EUREKA PARKではないが、今回初出展を果たしたアシックスのブースにも日本のベンチャーの姿があった。

アシックスが発表した、スマートランニングシューズのコア技術を開発した、no new folk studioだ。

アシックススポーツ工学研究所と連携してさまざまな実証実験を行ってきており、アシックスが2019年に開催したスタートアップ企業のアクセラレーター(事業連携推進)プログラムで、最優秀賞を受賞。今回、「スマートランニングシューズ」のプロトタイプを共同で発表した。
ソールに仕込まれたセンサーが、足の動き、歩行の安定性、足裏の接地の分布等のデータを取得、スマホなどでリアルタイムに確認することができ、ランナーのフォーム改善などを支援することができる。

ベンチャー企業との連携で、アシックスは新しい価値を世界に向けて発信することができた。日本企業のプレゼンス向上に、今後ともオープンイノベーションが重要な役割を果たしていくことだろう。

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