Web3時代の多目的コミュニケーションツール「Status」 〜Web3サービス徹底解説 #3〜

「Web3(Web3.0)」とは、ブロックチェーン技術を活用した新しいインターネットを指す概念だ。管理者を必要としないことから「分散型インターネット」とも言われている。中央集権型の「Web2.0」とは大きく異なり、インターネットに革命をもたらすと期待され、近年、注目を浴びている。この連載では、そんなWeb3に関連するサービスを紹介していく。今回は、多目的コミュニケーションツール「Status」を取り上げる。

多目的コミュニケーションツール「Status」とは

Statusは、メッセージツール・暗号資産用ウォレット・Web3ブラウザが一つのサービスに統合された多目的コミュニケーションツールだ。現在はパソコン用とスマートフォン用が提供されており、英語や中国語、日本語などに対応している。

メッセージツールとしては、1対1のチャットやグループチャット、公開されているグループに参加することでメッセージの送受信を行うことができる。また、暗号資産用ウォレットも備えているため、メッセージに加え、暗号資産のやり取りも可能だ。これにより、コミュニケーションの幅を広げる狙いがある。なお、扱っているのはイーサリアムで、ビットコインなどには対応していない。さらに、Web3ブラウザも提供しており、イーサリアム用に構築された分散型アプリのストア「DApps」を利用できる。ここでは、ゲームやDeFi(分散型金融サービス)アプリ、NFTマーケットプレイスなどが取り揃えられている。

Statusはオープンソースプロジェクトとして運営されている。開発や技術面はもちろんのこと、「Statusアンバサダー」というStatusを普及させる制度も設けられている。アンバサダーへの応募は誰でも可能で、ワークショップやハッカソンの開催、ブログの投稿などを通じてStatusのコミュニティを活性化させる役割を担う。このアンバサダーを中心にユーザーコミュニティの力でサービスを盛り上げる目的だ。

「プライバシーファーストのメッセンジャー」を謳う、Status

Statusは、個人情報の保護やセキュリティに力を入れ、「人権を守る安全なコミュニケーションツール」を目指している。ユーザーのデータを収集・販売してきた従来のサービスとは一線を画し、第三者がユーザーのデータを取得できないようにしている。このような考え方の一環として採用しているのが「擬似匿名アカウント」という仕様だ。

Statusのアカウントを作成する際、電話番号やメールアドレスなどの個人と紐づけられる情報を登録する必要はない。一方、ユーザーには、ランダムに生成された「形容詞・形容詞・動物」という三つの単語からなる「ユーザー名」が割り当てられる。これによりユーザーは、自身を表すユーザー名を持ちながら、個人情報は特定されないという「擬似匿名」でサービスを利用することができる。また、「プライバシーファーストのメッセンジャー」を謳っており、メッセージの内容や、誰が誰にメッセージを送っているか、などは捕捉していない。これらにより個人の自由なやり取りを守り、ひいては人権を守る安全なサービスになろうとしている。

Web3サービスの鍵を握る「トークン」

Statusでは、イーサリアムのトークン「Status Network Token(SNT)」が使われている。SNTは、保有する他の暗号資産と交換するか、取引所で購入することで保有でき、一部の機能の支払いに必要になる他、保有量に応じてStatusの意思決定に関わる投票に参加できる。Web3サービスでは、SNTのような独自トークンを発行するものが他サービスでも見られる。

トークンは需要が増えれば増えるほど価値が高くなるため、トークン保有者はサービスの利用者が増えるよう、積極的にサービスを盛り上げ関与していく。Statusがアンバサダー制度を導入しているように、熱量の高い利用者を巻き込むことが重要だ。利用者による活性化で新たな利用者が増えることでトークンの価値が高くなり、価値のあるトークンを求めてさらに利用者が増えるという好循環を生むことができるかどうかが、今後のサービスの成否に大きな影響を与えそうだ。

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