Web3マーケティングへの第一歩【「Web2.5からはじめるマーケティング」ウェビナーレポート】
2023/5/17
「Web3(Web3.0)」という言葉が急速に広がり、ブロックチェーンやNFTなど、関連する技術を活用した事例も増えています。しかし、実際に自分の業務にWeb3を取り入れる方法が分かる人は多くないかもしれません。今回は、マーケティング領域でWeb3を活用する第一歩として「Web2.5のマーケティング」を提案するオンラインセミナーをレポートします。
Contents
「既存の顧客を大事にしながらブランドを一緒に育てていく」のがWeb3マーケティング
そもそもWeb3は「ブロックチェーンの技術を基盤に、ビッグテックが管理しているプラットフォームから解放され、個人がオープンなインターネットを取り戻すために生まれたカウンタームーブメント」といわれています。これがなぜ生まれたかというと、GAFAMなどのビッグテックがユーザーのデータを持ち広告配信などに使うことで、彼らの資本を肥大化させてきたことが背景にあります。正直、国境を越えた支配者になっているというのが現状だと思います。このような中央集権的な情報権力を分散させて、より個人をエンパワーメントすることを目指したため、Web3という概念が注目を浴びるようになっています。
Web3に至る変遷を簡単に振り返ります。Web1.0は一方通行の時代です。昔のGoogleやYahoo!などのように一方的にコンテンツを掲載するものでした。Web2.0になると、SNSなどに代表される双方向・相互コミュニケーションの時代になります。そして、分散化の時代となり、プラットフォームには依存せず、参加者が分散して情報を所有するというのがWeb3です。
続いて、Web2とWeb3のマーケティングの違いについてお伝えします。現状のWeb2のマーケティングでは、サービスやプロダクトを出した際に、まずは新規顧客を獲得するために認知を上げ、興味を持ってもらい、購入された後は購入者をつなぎ止めてクチコミを広めてもらう、という手法が多いかと思います。一方、Web3のマーケティングでは、認知獲得から購入の過程ももちろん重要ですが、どちらかといえば、すでに購入してくれた人や関わってくれている人たちに、さらなるブランド体験を提供することに注力する、という考え方が重要になります。
広告にブランド体験やストーリー体験を掛け算。Web2.5のマーケティングとは
ここで、Web2.5のマーケティングに該当する具体的な事例をご紹介します。スターバックスは、NFTを使ったポイントを貯めるスタンプラリーを実施しました。スターバックスでアイテムを買ったり、ゲームに参加したりすることで、NFT(デジタルスタンプ)を獲得でき、これを貯めることで特典や特別な体験が手に入るというものです。
高:SBINFT代表の高と申します。我々は、元々、「nanakusa」というNFTマーケットプレイスを2021年4月にリリースしました。その後、2021年9月にSBIホールディングスのグループに入り、現在はグループ内でWeb3部門、特にNFTのコンサルティングやマーケットプレイスといった事業に特化した会社を運営しています。
私からは、弊社とパートナーとの取り組み事例をいくつかご紹介させていただきます。一つ目は、ローソンエンタテインメントと取り組んでいる、ローソンチケットサービスと連動したチケットNFT事業です。これは2022年4月にリリースしており、ローソンが扱うさまざまな興行・イベントの記念チケットの配布から始めています。現在、30イベント以上の配布実績があります。
お客さまは「ユーザー」ではなく、価値を共に高める仲間
高:事業者の方々は、大小の違いはあれど課題を抱えています。そのなかで共通している課題は、NFTを扱う前段階として「暗号資産を持つ」ということ、そして「ユーザーにどういう体験を提供するか」ということです。特に後者に関しては、既存サービスにちょっとした付加価値を加えたいというNFT活用のお話もあれば、全く新しいNFTだけのサービス展開を希望されることもあります。ただ、どちらにしても、その先にいるユーザー・既存顧客に対して、なるべく分かりやすく、シンプルにNFTに触れてもらうことで、「いいな」と思ってもらえる体験を目指すべきだと思います。我々の事例を振り返ると、まずはそのようなプロジェクトをPoC的に少しずつ始めるケースが多いです。
長谷川:NFTはもちろん大事で、基盤となる技術ではありますが、企業としての方針も鑑みて考えなければならない側面もあるので、我々はデジタルアセットやデジタルアイテムの付与から始めてみることをオススメしています。まさに同じく、PoCから始めることが多いと思います。
足尾:コミュニティ運営を半年以上続けてきて思うのは、NFTやWeb3を活用したコミュニティマーケティングを行う際は、お客さまに対して「ユーザー」として接しないほうがよいということです。顧客ではなくパートナーという感覚に近いと思います。同じNFTを所有している人たちで、その価値を共に高めていく協同関係を築くことができるかが大事です。そして、NFTの所有者が参加できる余白を残せるかどうかや、その人たちの声から生まれた商品が世の中に受け入れられるといった成功体験をコミュニティのなかでつくることができるかどうかが、NFTを活用する上では重要になると思います。
中村:ありがとうございます。本日のセッションは以上で全て終了となります。皆さま、誠にありがとうございました。
株式会社既読 CEO
アパレルの学校を卒業後、フリーランスのデザイナーを経て、デジタルエージェンシーのOPTにてARTディレクターに従事。現在は、クリエイティブエージェンシーのKIDOKU.inc代表として、デジタルファッションブランド”XXXXTH”の運営と並行し、企業のWeb3参入支援を行っている。
SBINFT株式会社 代表取締役社長
2000年のインターネット黎明期よりSIerやコンテンツ事業者経験の後、GMOメディア、Yahoo!JAPAN、ドリコムやモブキャストなどでゲームプロデューサーやプラットフォーム事業責任者を歴任。
株式会社デジタルホールディングス グループ戦略部
アニメ業界、ゲーム業界を経て、現在はデジタルホールディングスに所属するクリエイター。
現在はANIM.JPという4,000人規模のDAOを運営し、コミュニティと共につくり上げる新しいエンタメの形を定義している。
先進技術とクリエイティブを掛け合わせた取り組みや、日本から世界に価値を届けることができるWeb3の活用に日々従事している。
株式会社オプト プランニング統括室 室長 兼 コミュニケーションデザイン部 部長
2015年オプトに入社。メディアプランナーとしてデジタルブランディング支援に従事。2019年よりコミュニケーションプランニング部門の部長、2021年より、ストラテジー、クリエイティブ、メディアを包括するプランニング領域の統括に就任。