Web3時代に欠かせない、暗号資産を管理するウォレット「MetaMask」 〜Web3サービス徹底解説 #2〜

「Web3(Web3.0)」とは、ブロックチェーン技術を活用した新しいインターネットを指す概念だ。管理者を必要としないことから「分散型インターネット」とも言われている。中央集権型の「Web2.0」とは大きく異なり、インターネットに革命をもたらすと期待され、近年、注目を浴びている。この連載では、そんなWeb3に関連するサービスを紹介していく。今回は、暗号資産を管理するウォレット「MetaMask」を取り上げる。

仮想通貨ウォレット「MetaMask」とは

MetaMaskは、暗号資産を管理できる「ウォレット」の一種で、ブラウザ拡張機能とモバイルアプリとして提供されている。ウォレットとは、暗号資産を利用する際に必要となるサービスだ。暗号資産を保管することができ、まさに、お金を管理する現実社会の「財布」のような役割を果たしている。MetaMaskでは、取り扱い可能な暗号資産としてイーサリアムやイーサリアムがベースのトークンなどに対応している。暗号資産の購入や保管ができるほか、Dappsというブロックチェーンベースのアプリケーションとの接続が簡単にできることもMetaMaskの特徴だ。

MetaMaskは、イーサリアムの共同創立者であるジョセフ・ルービン氏が設立したConsenSys社によって提供されている。ルービン氏は、2014年にイーサリアムプロジェクトを立ち上げ、同年にConsenSys社を設立した。その後、2016年にMetaMaskをリリースしている。同社は2022年3月にシリーズDラウンドとして4億5,000万ドルの資金調達を発表した。企業価値は70億ドルを超えたという。このラウンドでは、マイクロソフトやソフトバンク・ビジョン・ファンド 2も出資している。また、その際、MetaMaskの月間アクティブユーザーが3,000万人を超えていることも公表した。

暗号資産取引の手間を省く、MetaMaskの特徴

MetaMaskは、暗号資産の購入や保管といったウォレットの基本的な機能のほか、「スワップ」というトークンの交換機能を備えている。自分の持っているトークンを売却して、ほかのトークンを購入したいときに、MetaMask上で保有するトークンを別のトークンに交換できるのだ。これにより、取引所を介する必要がなくなるため、手間を省くことができる。

また、MetaMaskは、それ自体がウォレットでありながら、複数のウォレットや別のアカウントを管理することもできる。さまざまなネットワークやプラットフォームに対応しており、アカウントを連携することで、コレクションしているNFTや暗号資産の残高など、自身の暗号資産のポートフォリオを一覧で確認することが可能だ。MetaMaskのアカウントを複数持つことも可能で、用途に応じてアカウントを使い分けることもできる。

2022年12月には、PayPalとの提携を発表。MetaMask上で、PayPalを使ったイーサリアムの購入ができるようになった。アメリカの一部のPayPalユーザーから利用可能になり、順次拡大するとしている。この機能により、暗号資産を購入するハードルを下げる狙いだ。

積極的な啓蒙活動で、Web3の中核を担うサービスへ

MetaMaskは、イーサリアムブロックチェーンに特化しており、イーサリアム基盤のDappsとの連携を簡単に行うことができる。NFTマーケットプレイスやNFTゲームなどを利用する際に非常に便利だ。ConsenSys社もMetaMaskを単なるウォレットとして捉えておらず、「ウォレットであり、ブロックチェーンDappsへの入り口」と称している。世界最大のNFTマーケットプレイス「OpenSea」もMetaMaskの利用を前提としており、MetaMaskはWeb3世界に欠かすことのできない存在になりつつある。

また、ConsenSys社は、Web3やウォレットをさらに普及させるべく、2023年1月、Web3について学ぶことができる学習シミュレーションプラットフォーム「MetaMask Learn」を発表した。同社は、MetaMaskなどのWeb3サービスを提供する一方、社会全体としてはWeb3に関する知識が行き渡っておらず、「深く理解するために調べてみると、逆に混乱してしまう」ということがよくあると危惧している。そのような状況を打破するための教材としてMetaMask Learnをリリースしたとのことだ。ウォレットの展開に加え、Web3の啓蒙も行うことで、MetaMaskはWeb3の中核を担うサービスになろうとしている。

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