イーサリアムとは?暗号資産としての仕組みや特徴について将来性を踏まえわかりやすく解説

ビットコインに次ぐ時価総額第2位の暗号資産「イーサリアム(ETH)」の仕組みや特徴について、ビットコインとの違いなどを踏まえながら解説します。また、今話題のNFTとの関係性や今後の将来性もあわせて紹介します。

ビットコインのことは何となく知っているけれど、イーサリアムは聞いたことがない人という人は少なくありません。本記事では、ビットコインに次ぐ時価総額第2位の暗号資産「イーサリアム」の特徴や仕組み、将来性について解説します。

イーサリアムとは?

イーサリアムは、プラットフォームです。
契約を自動で実行する「スマートコントラクト」や、分散型アプリケーション「DApps」を開発できる独自の機能をもったプラットフォームです。

従来のWebサービスは政府や企業が中央で一元管理していましたが、ブロックチェーンの技術により運営、管理組織を必要としません。

イーサリアムは現在、ビットコイン(BTC)に次いで世界中で取引されています。

イーサリアムというプラットフォーム上で使用する暗号資産は「Ether(イーサ)」といいますが、現在はイーサリアムの名称が暗号資産そのものを指す言葉として定着しています。

イーサリアムの基本情報は下表の通りです。
通貨単位 ETH
時価総額(2022年12月現在) 2位
コンセンサスアルゴリズム PoS(Proof of Stake)
発行上限枚数 発行上限なし
ホワイトペーパー White Paper
公式サイト ethereum.org

スマートコントラクトの仕組み

スマートコントラクトとは、人の手を介さずにある契約条件が整ったときに、決められた契約内容を自動で実行する仕組みのことです。イメージはデジタルな自動販売機です。

製品の選択
自動販売機は製品の購入に必要な金額を提示
正しい金額を支払う
自動販売機は正しい金額の支払いを確認
自動販売機は選択された製品を出し販売

イーサリアムではこの自動販売機の一連の流れについて、ブロックチェーンの技術を介して自動で実行します。常に全員で監視、承認、記録をしているため、不正、改ざんができない仕組みです。

上記の例だと、提示された金額を支払わない限り製品は出てきません。自動販売機を壊して中の製品を盗む、偽札を使用するなどの不正や改ざんは不可能です。

また、希望した製品が確実に販売されます。
「正しい金額を支払ったのに製品が出てこない、別の製品が出てきた」のような事態も起こりません。常時監視下にあり、確実に決められた契約が実行されます。

DApps(分散型アプリケーション)の仕組み

DAppsは「Decentralized Applications」の略称で、「分散型アプリケーション」と呼ばれています。「ある条件が満たされると、自動で特定のプログラムが実行される」のが特徴です。

従来のアプリケーションには企業などの中央管理者が存在していました。しかし、DAppsではブロックチェーン技術を用いることで分散管理を実現しています。
これにより、金融商品や不動産の契約、ゲームなど幅広い分野のおいてそれぞれに適したアプリケーションの開発が進んでいます。

マイニング方式とは

暗号資産は法定通貨とは異なり、通貨を管理する国や中央銀行が存在しません。第三者が、コンピュータのネットワークを介して管理する仕組みをとっています。

この第三者による取引の承認作業を「マイニング」といいます。
コンピュータで取引をチェックし、ブロックチェーンと呼ばれる取引台帳に記録され、マイニングマシンと呼ばれるコンピュータを使用し、マイニングを行っています。

かつては個人のコンピュータでもマイニング作業を行い、獲得できる暗号資産によって収益を立てることができましたが、現在では高性能なマシンが必要となり、事業者のマイニング規模も大きくなっていることを背景に、個人のマイニング作業は難しくなっています。

イーサリアムの仕組み

前述の通り、イーサリアムはブロックチェーン上で使用するアプリケーションを開発するための基盤となるプラットフォームです。イーサリアムはオープンソースを採用しており、プログラミング技術者であれば誰でも開発ができます。

開発されたアプリを「DApps」といい、契約を自動実行する「スマートコントラクト」の機能を有しています。そして、開発されたアプリやスマートコントラクトを実行するための燃料として使用される暗号資産を「Ether(イーサ)」といいます。

この仕組みにより、イーサリアムは送金や決済を主な機能としたビットコインが改良された機能的な暗号資産といえるでしょう。

イーサリアムの特徴

イーサリアムの特徴は主に3つあります。
世界初の暗号資産である「ビットコイン」にはない機能や特性をについて解説します。

送金スピードが速い

イーサリアムの特徴としてまず挙げられるのが、送金スピードの速さです。
イーサリアムの送金速度は約15秒で、約10分かかるビットコイン(BTC)と比較するとかなり速いことがわかります。

また、一般的な海外送金には1営業日~5営業日程度かかるため送金手段の1つとしてもイーサリアムは注目されていくことが見込まれています。

ただし、イーサリアムに限らず仮想通貨は送金手数料の高さや時期に伴う取引量など、さまざまな事情によって送金速度にラグが発生する可能性がある点には注意が必要です。

発行上限が決まっていない

イーサリアムは、発行上限数が決められていません。イーサリアムの運営側が供給量を制限する「バーン(焼却)」を実施することで、希少性と価格の安定を担保しています。

イーサリアムのネットワーク、アプリケーション上ではETHが使用されるため、常に需要が見込まれ、今後も流通量が増加していきます。

DeFiやNFTへの活用など高い汎用性

イーサリアムは、銀行をはじめとする中央機関を必要としないDeFi(分散型金融)のアプリケーション開発の基盤を担います。

DeFiでは、従来の金融機関のシステムや人員にかかるコストを削減できることから企業などからのニーズが高い傾向にあり、イーサリアムの需要も高まっていくことが見込まれています。

また近年、取引量が増大しているNFT(Non Fungible Token)の共通規格としても採用されており、NFTを使用したゲームが一般層に徐々に広まってきています。
このように高い汎用性があるのも、イーサリアムの特徴の1つです。

ビットコイン(BTC)との違い

ビットコインの基本情報は下表の通りです。
通貨単位 BTC
時価総額 1位(2022年12月現在)
コンセンサスアルゴリズム PoW(Proof of Work) 
発行上限枚数 2,100万枚
ホワイトペーパー whitepaper
公式サイト bitcoin.org
現在、時価総額はビットコインが1位です。発行枚数に2,100万枚までの上限がある点がイーサリアムとは大きく異なります。

ビットコインは、定期的に発行される枚数が減っていく仕組みを採用しており、発行上限枚数が決まっているため希少性があります。
金と性質が似ていることから「デジタルゴールド」と呼ばれることもあります。

利用用途の違い

ビットコインは主に決済や送金を目的として使用されますが、イーサリアムはプラットフォームとして使用されることが多い点が特徴です。

前述の通り、スマートコントラクトによる契約の実行や、DApps(分散型アプリケーション)の開発へ利用されるのが主となります。

そのほか、ビットコインは価値の保存手段としての用途もある点がイーサリアムとは異なります。

コンセンサスアルゴリズムの違い

コンセンサスアルゴリズムとは、「データの真正性を担保するルール」のことです。
中央管理者の存在しない暗号資産の取引において、合意形成をするためにコンセンスアルゴリズムが使用されます。

コンセンスアルゴリズムは暗号資産によって異なり、ビットコインはPoW(Proof of Work)、イーサリアムはPoS(Proof of Stake)を採用しています。それぞれに特徴やメリット、デメリットが存在します。

イーサリアムは元々環境負荷の高いPoWを採用していましたが、2022年9月のアップデートによりPoSへ移行しました。これにより従来の年間消費電力について95%程度の削減に成功しています。そのほか、二酸化炭素排出量にも高い効果があると見込まれています。

イーサリアムとNFTの関係性

NFTは「Non-Fungible Token」の略称で「偽造や改ざんができないデジタルデータ」のことです。

イーサリアムは唯一性がある点や相互運用が可能である特徴を活かし、アートやゲームでの利用が広まっています。

2021年の世界全体でのNFT取引金額は176.9億米ドルと、2020年の8,250万米ドルの215倍に拡大していますので、今後も伸びていく分野として注目されています。

またNFTは、イーサリアムを基にしたERC721規格を採用して作成されています。
NFTの作成や送金をする際はイーサリアムが手数料として必要となるため、NFTの取引高が増えるにつれイーサリアムの利用も増えます。

このように、イーサリアムとNFTの関係性はとても深いといえます。

イーサリアムの課題

イーサリアムが現状抱える課題として挙げられるのは以下の3点です。

スケーラビリティ問題
スマートコントラクトの弊害
ガス代の高騰

今後の利用者増などを踏まえると、アップデートを繰り返し改善されていく可能性も十分にありますが、課題として捉えられている観点について解説します。

スケーラビリティ問題

スケーラビリティとは「拡張性」を意味し、利用者の増加によってシステムの負荷が大きくなってしまい、利用に支障が生じるリスクを懸念しているのがスケーラビリティ問題です。

具体的には、暗号資産で使われているブロックチェーン技術において、1つのブロックの中に書き込める取引データの数が限られているために引き起こされる障害のことです。

ブロックの容量が一杯になると、処理速度がわずかに低下し、送金遅延を引き起こします。イーサリアムは近年取引数が大幅に増えたことにより、本来だと速い速度での送金や取引が可能でしたが、遅延が顕著になりました。

さらに、このような状況下で取引をすると手数料が高くなる問題も発生しており、今後さらなる利用者増加に際して改善が望まれています。

スマートコントラクトの弊害

スマートコントラクトには、改ざんできないがゆえの弊害があります。

たとえば、過去にイーサリアムはシステム上の不備を狙われ、360万ETHを盗まれる「The DAO事件」を経験しました。その際に運営は強硬手段として、盗難事件以降の取引データをすべてなかったことにする処置を取りました。

その結果、運営内で意見が分裂し、イーサリアムクラシック(ETC)というコインが新たに誕生した経緯があります。

このように強固なセキュリティがあるために、万が一不正な取引や問題が起きた際は、情報を改ざんすることができないため、解決策が見つからなくなってしまう場合があります。

ガス代の高騰

ガス代とは、ブロックチェーン上で送金や決済をする際に発生する手数料のことをいいます。

ブロックチェーンを用いた送金や決済などの取引には、その内容に間違いがないかのチェック、承認、記録といった段階的な作業が発生します。ガス代は、作業に対する手数料であるため、大量に実行されればその分混み合い、手数料も高くなります。

今後、利用者の増加によって取引量も増えれば、ガス代も高騰しやすいという課題があります。

イーサリアムの将来性

イーサリアムは金融や社会、企業など幅広い場面での利用をビジョンとして掲げています。公正かつ透明性のある契約が必要となる金融や、不動産、保険などあらゆる場面での利用が期待されており、徐々に我々の社会に浸透してくるでしょう。

ここからはイーサリアムの将来性について、主なトピックを解説します。

EEA(イーサリアム企業連合)の支援

EEA(イーサリアム企業連合)には、すでにマイクロソフトやインテル、JPモルガンなどの大手企業がメンバーとして加入しています。企業でのイーサリアム利用促進をビジョンとして掲げており、今後のイーサリアムの普及と経済活動に大きく貢献していくことが期待されています。

実際にマイクロソフトのクラウドサービスAzureにイーサリアムベースのブロックチェーン「Lition」が追加されています。

アップデートによる課題解消も見込まれている

2022年9月にPoWからPoSへ変更するアップデート「マージ」を完了し、エネルギー消費を削減しました。引き続き、スケーラビリティ問題解決とガス代の高騰問題の解決に向け、「シャーディング」というアップデートが控えています。

イーサリアムは課題を解消するアップデートを重ねていくことで、さらなる普及を目指しています。

イーサリアム(ETH)の購入方法

イーサリアム(ETH)の購入は3つの手順で完了します。

暗号資産取引所の口座開設
開設した口座に日本円を入金
日本円でイーサリアム(ETH)を購入

国内の大手暗号資産取引所は金融庁の認可が降りているため、安心して取引を開始できます。アプリケーションが使いやすい、手数料が安いなど、特徴の異なるさまざまな暗号資産取引所がありますので、自身に合ったものを選ぶとよいでしょう。

暗号資産取引所の口座開設

まずは、暗号資産取引所の開設が必要です。
各取引所の指示に従い、アカウントを作成し本人確認を済ませることで、口座を開設できます。口座開設は最短で即日で完了し、Web上で口座開設を完了できる場合がほとんです。詳細は、各暗号資産取引所へ確認するとよいでしょう。

開設した口座に日本円を入金

暗号資産の購入には日本円が必要です。
インターネットバンクやATMを使用し、開設した口座に入金をします。

日本円でイーサリアム(ETH)を購入

日本円でイーサリアム(ETH)を購入します。取引可能な単位は取引所によって異なりますが、一般的に1ETH単位ではなく少額からの購入が可能ですので、資金が少ない方でもすぐに暗号資産投資をスタートできます。

まとめ

イーサリアムは、契約内容を自動で実行するスマートコントラクトが最大の特徴です。
処理速度の遅延であるスケーラビリティ問題やガス代の高騰が課題として挙がっていますが、今後のアップデートで解消されていくことが見込まれています。

世界の有名企業から支援され、社会に普及させる動きが活発になっています。すでにイーサリアムはマイクロソフトで使用されており、各企業での使用も広まっていくことでしょう。

イーサリアムは将来性が期待されており、今後の社会発展にますます欠かせない存在となるでしょう。

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