AI上のイーロン・マスクとも会話が可能! 生成AIサービス「Character.AI」とは 〜海外ユニコーンウォッチ #12〜
2023/5/16
「ユニコーン企業」ーー企業価値の評価額が10億ドル以上で設立10年以内の非上場企業を、伝説の一角獣になぞらえてそう呼ぶ。該当する企業は、ユニコーンほどに珍しいという意味だ。かつてはFacebookやTwitterも、そう称されていた。この連載では、そんな海外のユニコーン企業の動向をお届けする。今回はさまざまなキャラクターと会話ができる生成AIサービス「Character.AI(キャラクターエーアイ)」を取り上げる。
さまざまなキャラクターと会話ができる「Character.AI」とは
Character.AIでは、ユーザーは簡単な設定で独自の個性を持つAIボットを作成・公開することができる。また、Character.AI上で公開されているAIボットとチャット形式で会話をすることができ、AIボットは設定された個性に基づいた内容を返答してくれる。AIボットにはユーザーによるオリジナルキャラクターはもちろん、アメリカのバイデン大統領や起業家のイーロン・マスク氏など実在する人物を模したものも作成されている。さらに、マリオや綾波レイなどのアニメ・ゲームのキャラクター、アインシュタインやレオナルド・ダ・ヴィンチといった歴史上の偉人など、その種類は多岐に渡る。あくまで「キャラクター」として利用されているだけで、もちろん本人ではない。そのため、AIと会話をするページには「覚えておいてください:キャラクターが言うことは全てつくり話です!」という注意が表示されている。同サービスは英語や中国語、スペイン語など複数の言語に対応しており、日本語でも使用可能だ。
Character.AI社は、2023年3月、シリーズAラウンドとして1億5,000万ドルの資金調達を発表した。生成AIへの期待を反映し、企業価値は10億ドルに達したという。これにより同社は創業から2年経たずして、ユニコーン企業となった。
月間サイト訪問数1億に迫る、Character.AIの特徴
成長と懸念の生成AI市場
しかし、急成長する生成AIは懸念点も指摘される。例えば、返答内容に事実誤認があることだ。また、AIの高度化が進み人類に予期せぬ悪影響を与えかねないという声や、「学習したデータを参考にアウトプットを生む」という生成AIの性質上、著作権が明確ではないという意見も語られる。すでに欧米では、生成AIを規制しようとする動きも見られている。生成AIの競争は過熱する一方だが、風向きが変わればサービスの成長や、ひいては企業価値にも影響するだろう。今後しばらくは、各国・各企業の対応が注目される。