2024年は「WEB3ゲーム」のターニングポイントに!? gumi × double jump.tokyo WEB3ゲーム勉強会レポート

近年、NFTやWEB3サービスの裾野が広がるなか、ブロックチェーン技術を活用したゲームも次々と開発されています。これらのゲームは「WEB3ゲーム」と呼ばれ、ゲームユーザーはもちろん、市場からも、その成長性が注目されています。「暗号資産」や「仮想通貨」と聞くと身構えてしまう人でも、ゲームから始めることで、WEB3の世界へのハードルが低く感じられるのではないでしょうか。そのようなWEB3ゲームの現状や将来性を解説すべく、2024年2月15日、株式会社gumiとdouble jump.tokyo株式会社による、WEB3ゲームに関する勉強会が開催されました。今回は、本勉強会のセッション「WEB3ゲーム2024年どうなる(gumi & double jump.tokyo)」をレポートします。

gumiは、モバイルゲーム事業を中心に展開しながら、コンテンツ開発や投資など、ブロックチェーン事業にも注力しています。また、自分の好きなものを応援する「推し活」をアップデートする「OSHI3構想」を進めています。これは、独自トークン「OSHI」を中心とした新たな経済圏を構築し、推し活を支援し、拡大しようとするものです。直近では、WEB3ゲームの開発も進めており、最新作となる「ファントム オブ キル -オルタナティブ・イミテーション-」のリリースを控えています。double jump.tokyoは、ブロックチェーンゲーム専業開発会社として設立され、今ではブロックチェーンゲームはもちろんのこと、NFTプロデュースやWEB3事業コンサルティングなども手掛けています。現在、株式会社セガよりライセンス許諾を受け、「三国志大戦」IPを活用したブロックチェーンゲームを開発中です。本勉強会では、株式会社gumi Head of Blockchain Business 寺村 康氏と、double jump.tokyo株式会社 執行役員/ブロックチェーンゲーム開発統括 坂本 康朗氏が登壇し、WEB3ゲームの市場概況や日本市場の動向、成長ポイントについて解説しました。

意識せずとも、ブロックチェーンを利用する時代が来る

「WEB3ゲーム」という言葉一つをとっても、その定義は曖昧で、「ブロックチェーンゲーム」や「NFTゲーム」などとも呼ばれています。厳密な定義はありませんが、一般的には、ブラウザゲームやアプリゲーム、スマホゲームなどにブロックチェーン技術が加わったものを総称し「WEB3ゲーム」と表現されています。そのなかには、暗号資産やトークン、仮想通貨などが組み込まれているものもあれば、そうではないものも存在します。また、NFTが組み込まれているものもあるなど、その種類は多岐に渡ります。double jump.tokyoは、この分野の先駆者として、「My crypto Heroes」というゲームを運営しています。リリース当時は、暗号資産を稼いだり、NFTをトレードするなどの「デジタルデータを自分の資産に替える」という新しいユーザー体験を、新しい技術を用いてどのように提供するかに挑戦していました。そこから徐々に、ゲームとしての面白さを追求し、ゲーム性を強化するようになっていきました。

WEB3ゲームの市場規模は、日本も含め世界的に成長可能性が高いと期待されています。矢野経済研究所によると、日本のブロックチェーン活用サービスの市場規模は、数年後には7,000億円を超えるとのことです。寺村氏は、今後のWEB3ゲームの成長について「例えば、スマホゲームなどの過去のトレンドを見ても、初期段階はユーザーがものすごく少ないけれど、そこから爆発的に伸びる局面が来る」と指摘します。その上で、「その急成長するタイミングが、もう間もなく来るのではないかと市場は予想している」と語ります。このような背景を踏まえ、gumiやdouble jump.tokyoは、まさに今、WEB3ゲーム開発に注力しているとのことです。坂本氏は、市場規模の成長はもちろんのこと、「今のスマホゲーム市場にプラスされるというよりも、ユーザーや事業者が、スマホゲームからブロックチェーンゲームにだんだん置き換わっていくのではないか」と、市場自体の変化にも触れました。また、寺村氏は「ブロックチェーンを意識しなくなるフェーズになるのが一番良い」と言います。インターネットも、当初はユーザーが「今、インターネットを使っている」と意識しており、情報を抜かれる可能性があると怖がられることもありました。しかし今では、「今、インターネットを使っている」と意識しながらサービスを使うことは少ないのではないでしょうか。そのように、ブロックチェーンも、「今、利用している」という意識が薄くなり、気づいたら裏ではブロックチェーン技術が使われているという世界になるのではないかと考えているとのことです。

2024年はWEB3ゲームのターニングポイントに

2人は次に、日本の持つWEB3ゲーム市場のポテンシャルについて話しました。そもそも、日本はゲーム領域との親和性が非常に高いと言います。国別のゲーム市場の規模では、人口の多いアメリカ、中国に次いで、日本が第3位となっています。このような状況からも、日本においてゲームに対するニーズは非常に高いと考えられ、WEB3ゲームも日本人にリーチできる可能性が高いのではないかと期待されているのです。さらに、国別の一人当たりモバイルゲーム課金額は、日本が圧倒的に高い状況になっています。この点について、寺村氏は「日本人は、ゲームに没頭するとお金を使うという消費行動があることから、日本市場には大きなビジネスチャンスがあると捉えている」と語りました。

議論は、セッションのタイトルでもある「2024年のWEB3ゲーム」に移ります。坂本氏は、相当な開発費をかけた複数のゲームが2024年・2025年に公開されるため、「海外勢を含め、2024年がターニングポイントになり得る」と言い、「そのようなゲームが本当にユーザーに広がるか注目している」と明かしました。一方、寺村氏は、WEB3ゲームを取り巻く環境の整備が進んでいることに着目します。税制関係や、プラットフォーマーによる規約の明確化が進んでいるため、2024年は、ブラウザゲームだけでなく、アプリゲームとして、WEB3ゲームが提供され始める年になるかもしれないとのことです。これを踏まえて、「私たちコンテンツ開発側はもちろんのこと、マーケティング要素にも広がりが出て、ユーザーへリーチする手段が拡大するのではないかと感じている」(寺村氏)と語りました。また、2024年にはgumiが新しいWEB3ゲームを発表することもあり、寺村氏は「ゲームとして面白いと感じられるようなキラーコンテンツになることを狙いたい」と言い、「そういうコンテンツがあると、ユーザーは色々なハードルを自然と超えてくる。そうなれば、非常に大きな成長を見込める市場になる」と述べました。坂本氏は、キラーコンテンツの登場について、そのマイナス面を無くす必要があると指摘します。キラーコンテンツが出ても、ユーザーがリスクを背負う必要があり、その結果、コンテンツが炎上し、ゲームの事業者が萎縮することが一番良くない状況だと言います。坂本氏は「この両面をクリアすることで成長できる」と強調しました。

最後に2人から、WEB3ゲームが成長するためのポイントが語られました。寺村氏は、「まさに私たちが進めている『OSHI3構想』になります」と言い、今後のgumiの展開への抱負を語りました。坂本氏は、「仮想通貨には、一部の人が損をして一部の人だけが得をするという側面がある上、とても知識があり、詐欺にも騙されないなどさまざまな条件が揃っている人だけが得をするような見え方になっている」と話します。その上で、「これをよりわかりやすくするようなゲーム性や説明の仕方が今後重要になる」と指摘しました。坂本氏は、「私たちとしては、今までWEB3ゲームに触れてこなかった人に、リスクを取ってプレイしてくださいと言うのではなく、門戸を開いたゲームを制作することが、これからのポイントになる」と締めくくりました。

寺村 康

株式会社gumi Head of Blockchain Business

日本政策投資銀行にて国内外の大手法人向け融資業務や債権管理(事業再生)業務のほか、人事部門にて主に採用業務などに従事。2018年4月にgumiへ入社し、企業広報や渉外業務を管掌しているほか、現在はメタバース事業(ブロックチェーン領域及びXR領域)の推進も担当。

坂本 康朗

double jump.tokyo株式会社 執行役員/ブロックチェーンゲーム開発統括

ECサイト運営会社でエンジニアとして様々なサービスの開発や運用を経験した後、2015年にゲームプラットフォーム運営等を手掛ける会社に入社。2021年12月double jump.tokyoに入社し、2022年7月に当社執行役員に就任。

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