atama plusが、AI講師が教えるリアル塾「atama+塾」のフランチャイズ展開を開始。AIにより個別最適化された学びを全国に届ける

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AI教材「atama+(アタマプラス)」を開発・提供するEdTech企業のatama plus。一人ひとりの生徒に専用のカリキュラムを用意するatama+は、全国4,000教室以上の塾への導入実績があります。

AIと人間による最先端の学習システムを提供してきた同社が次に狙うのは、リアルな塾の全国展開です。2024年6月からは「進学個別 atama+塾(以下atama+塾)」のブランドで、フランチャイズ展開をスタート。AIを活用して個別最適な学びを届けるatama plusの目指す先と、教育業界の今後について、代表取締役CEOの稲田 大輔氏に伺いました。

25年春には、フランチャイズで100教室を目指す

――atama+塾の概要やフランチャイズ展開に至るまでの経緯を教えてください。

atama+塾は、atama+を主軸にした新しい理想の学びを追求するべく、2022年の6月に長野県でスタートしました。松本市と諏訪市に立ち上げた3教室を自前の塾として、ゼロからつくるチャレンジを始めました。教室デザインから、カリキュラム、授業料、先生と生徒の関わり方、保護者との関わり方にいたるまで、試行錯誤しながら進めて2年ほどが経過した状況です。3教室とも順調に成長できたので、このモデルを全国に拡げて大きな教育改革を実現するために、理念に共感してくださる方と2024年6月からフランチャイズ展開することを決めました。

――フランチャイズ展開への反響はいかがでしょうか?

僕らとしては教室数を増やすことが第一の目的ではありませんが、おかげさまで当初の予想を超えるお問い合わせをいただいています。順調に進めば25年の春には100教室ほどの規模になると見込んでいます。特に地域は絞っていないので、全国展開を視野に入れています。お声がけいただく事業者さまも幅広く、教育事業を手がけてはいないけれども、教室として活用できそうなスペースを所有していたり、生徒や保護者との接点を持っていたりする事業者の方からもお問い合わせをいただいています。教育には関心があるけれど、参入したくてもできなかった方たちからの関心も高く、とても嬉しく思います。

――atama+塾を長野でスタートさせた理由はどこにあるのでしょうか?

都心と地方では教育環境が異なります。地方では少子化がより激しく進んでいますし、講師の不足、情報格差という課題もあります。地域に関わらず成功するモデルをつくりたかったので、都心ではないけれど、そこまで離れておらずアクセスに適した場所を選びました。

カリキュラムから教室デザインにいたるまで、すべてゼロからの立ち上げ

――atama+塾を軌道に乗せるまでの約2年間で苦労したエピソードを教えてください。

もう本当に苦労は数え切れないほどありました。長野の教室を東京の会社が運営するわけですが、まず社員に各教室の教室長として赴任してもらい、塾の運営に加えてサービスモデル開発にも従事してもらいました。教室長も他の社員もゼロからの教室運営の経験はなかったので、本当にたくさんの苦労がありました。僕も現地に行って皆で学校の前でビラを配ったり、保護者面談に立ち会ったりもしました。

私たちは「教育に、人に、社会に、 次の可能性を。」というミッションを掲げ、生徒一人ひとりに最適化された学習カリキュラムを提供することを目指しています。これまでの試行錯誤の中で、個別最適化された教育を実現するための先生と生徒の関わり方、必要なカリキュラムや教室デザインなどが見えてきました。多くの苦労がありましたが、たくさんの学びもありました。

――教室のデザインも皆さんで手がけられたとのことですが、塾のカリキュラムだけではなく、空間や環境も教育には大事だと見なしているということでしょうか?

そうですね。生徒が集中しやすくなる環境を意識しています。一般的な個別指導の塾は教室に生徒が数多くいて、賑やかな雰囲気で指導が行われています。atama+塾の雰囲気はそれとは異なり、皆が黙々と集中して勉強しています。タブレットの中にいる個別最適化されたAIの講師が教えてくれるので、とても静かな環境です。僕らは生徒が集中できる環境をつくることが大事だと思っています。

――御社がもう一つ展開されているatama+ オンライン塾と、atama+塾とのすみ分けについて教えてください。

まず、atama+塾の生徒さんはリアルな教室で勉強したいというニーズを強くお持ちです。一方、atama+ オンライン塾で学ばれている生徒さんには、自宅で自分のペースで勉強したいというニーズがあります。通塾したい方にも、自宅で勉強したい方に対してもサービスを提供していきたいと考えています。

「AIによるティーチング」と「人間によるコーチング」という分担

――教育業界にも今後はAIが導入されていくのでしょうか?

atama plusは2017年に創業してAIもゼロから開発してきましたが、教育とAIは非常に相性がよく、特定の部分では人間の力をはるかに上回る効果があります。生徒のデータを取得しながら一人ひとりに合わせた教育を提供するという視点では、AIの活用は欠かせません。AIがティーチングを行い、人間がコーチングを行う形が現時点では最適と考えています。今までは人間がティーチングもコーチングも担当していましたが、生徒一人ひとりの得意苦手に合わせて教えることはAIの方が得意な領域です。そして、夢に向かう子どもたちに伴走して、褒めたり励ましたりするのが人間の役割です。両者がそれぞれ得意なところにフォーカスすることで、より良い教育が生み出せると考えています。

――AIの導入により教育業界はどのように変化すると予想されますか? 御社の今後の展望と併せて教えてください。

atama plusでは自前で開発したAIと、ChatGPTをはじめとする他社製AIの双方を活用していますが、その進化はめざましく、AIによる教育の個別最適化はどんどん進むと予想します。生徒全員が同じ授業を受ける時代から、一人ひとりに合った授業を受けられる時代になっていくでしょう。ただ、私たちの基本的思想として、AIだけで教育が変えられるとは思っていません。AIと人間のベストな分担として、AIによるティーチング、人間によるコーチングという振り分けを考えています。atama plusの展望としては、グローバル展開も視野に入れています。AIにより個別最適化された学びは世界中でニーズがあるはずです。

ブラジルで気づいた、日本との違い

――稲田さんはブラジルに赴任されていたこともあると思いますが、日本とブラジルの教育はどのような違いがあるのでしょうか?

ブラジルには5年間住んで、現地で教育事業に携わってきました。日本との大きな違いは、学校の授業の形式ですね。日本の学校の授業では先生がメインで話して、生徒たちは質問をする程度ですが、ブラジルでは先生と生徒の話す時間がほぼ半々です。ディスカッションのように生徒たちは自分の意見を発信しています。やはり子どもの頃からアウトプットの訓練をしていると、学校でも家庭でも子どもが大人に対して意見を積極的に発信するようになりますね。

――今後どのような事業展開を考えていますか?

海外の方が日本よりも教育格差がある国が多いと思っています。このような教育格差を是正するためにも、AIと教育の相性はとても良いと思っています。また、AIを活用した個別最適化した学びは世界中でニーズがあるはずですので、日本でも世界でも同様にパーソナライズされた教育を届けたいと考えています。すでに僕の頭の中にはいろいろな計画がありますが、まずは国内の事業をしっかりと成長させてから、海外展開を狙っていきます。

稲田 大輔

atama plus株式会社 代表取締役CEO

東京大学大学院 情報理工学系研究科修了。三井物産で教育事業を担当し、海外EdTech事業責任者等を歴任。基礎学力の習得にかかる時間を短くし、社会でいきる力を養う時間を増やすことを目指し、2017年4月にatama plusを創業。一人ひとりに合わせた自分専用カリキュラムを作成するAI教材「atama+」を全国の塾4000教室以上に提供。 2023年に「atama+ オンライン塾」を開校、2024年6月からは「進学個別 atama+」のフランチャイズ展開を開始。

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