AIで振り付けの著作権を管理するサービスが4月上旬にリリースへ 3DモーションをAIがデータ化する

マイクロエンタテインメント株式会社は、AIでデータ化されたダンスや振り付けが著作権として取引きされるマーケットを構築すると発表した。既に大物ダンサーや振付師たちが続々と参加を表明しており、4月上旬に日米で同時にサービス「GESREC」のリリースを予定しているという。動画から3Dモーションを抽出するAIと、類似する振り付けを検知するAIを同時開発することにより、この新しい領域の垂直立上げを進める。日米で約430億円と推定される全く新しい市場を作り上げるとのことだ。

■背景

踊るという行為の歴史は長く、その目的自体も時を経て多様性を増してきた。今では誰もが疑うことなく人類の誇る文化のひとつだ。YoutubeやTikTokといった動画メディアがより存在感を持つようになった今、これまで以上にダンスという領域に注目が集まるようになった。そんな中、世界中で数えきれないくらいのプロダンサーや振付師が独自のアートピースのため日夜才能を磨き、努力を続けている。

一方で、ダンスに対する権利は明確に定義されていない。独自性をどのように定義、主張するのか、また、もしできたとしても利用状況をどのように把握するのか、利用したいという人は誰にどうやって許可を求め、どのような対価を支払うのかなど様々な障壁が浮かび上がっている。

ダンサーはアーティストでありながらも、他の領域のプロフェッショナルに比べると、本人がパフォーマンスに直接介在することを最も求められる職業のひとつであると言える。結果として、怪我や病気で働けなくなってしまったり、体力の衰えと共に引退ということが非常に多くなってしまう。

■実現したい世界

GESREC(Gesture + Recognition:ジェスレック)は、世界中のプロダンサーや振付師の生み出したアートが、認められ国境を越えて広がっていく世界を実現したいと考えているとのことだ。そのためには誰がいつ、どのような振り付けを考案し、公表したのかを登録管理できるシステムを構築する必要があると考えているという。更には登録された振り付けを、正当な対価を支払って使いたいクライアントとの橋渡しをするようなマーケットプレイスをつくりだすことも重要となる。同時にダンサーが踊ったり、振り付けを考える際の自由を奪わないよう、むしろクリエイティブさを推進するような柔軟さを目指すとのことだ。

前述のように障壁は数多くあるが、ひとつずつ着実に乗り越えていくことにより、ダンサーや振付師だけでなく、あらゆるエンタテインメントに関わる人、ひいては鑑賞する人といった全ての人にとって有益な価値を生みだせると確信しているという。

■テクノロジー

GESRECが思い描くような世界を実現していくための、武器のひとつが最先端のテクノロジーだ。ダンスとその振り付けというものをいかに客観的な指標へと展開し、管理しつつ普及させられるかが重要なカギとなっている。同社は、以下の2つの異なる能力を持つAIを同時開発することによってこの課題にチャレンジしている。

・動画から3Dのモーションを推定し、抽出してデータ化するAI
・3Dモーションを分類し、著作権利用を検知するAI

既にβ版での実験に成功しており、今後精度を上げていくという段階に入っている。この2つのAIは、今後振付のマーケットプレイスをグローバルに展開し、ダンサーや振付師のつくりだす価値を飛躍的に引き上げていくうえでのキーテクノロジーであると認識しているとのことだ。

■サービスフロー

ダンス振り付けの提供者(場合によっては所属事務所)であるプロダンサーや振付師は、GESRECのサイトに登録(本人確認とプロフェッショナルであるということの証明が必須)。認証が完了すると、Youtubeの動画アドレスをアップロードできるようになり、登録規約に合意すると振り付けの登録が完了する。登録された振り付けは、AIによるデータ解析を経て3Dモーションのデータが保管される。

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