Today's PICK UP

うつ病患者に対する認知行動療法にVRを活用へ VRコンテンツによりポジティブ感情を喚起する

高精度VRと行動解析AIエンジンを提供する株式会社ジョリーグッドは 、国内最先端の認知行動療法研究機関である、国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター(以下 認知行動療法センター)と共同で、うつ病患者に対する認知行動療法をベースにしたVRの検証を開始する。ジョリーグッドは、「認知行動療法VR」に関わるシステム技術の特許を2020年2月に出願している。

■背景:精神疾患とうつ病

精神疾患が個人と社会に及ぼす損失は甚大で、WHO発表では、あらゆる疾病のうち、うつ病は人類に疾病負荷を与える疾患の1位とされているという。精神疾患は日本の5大疾病のひとつであり、患者数は約420万人と最も多い。その中でもうつ病は127万人と最も多く、1年間の社会経済コストは年間3兆900億円に上るとのことだ。
出典元:プレスリリース
抗うつ剤は世界医薬品市場で9位、3.5兆円市場
出典元:プレスリリース

■認知行動療法とは

認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapies; CBT)は、認知に働きかけて気持ちを楽にする精神療法(心理療法)の一種。認知は、ものの受け取り方や考え方という意味だ。ストレスを感じると私たちは悲観的に考えがちになって、問題を解決できないこころの状態に追い込んでいくが、認知療法では、そうした考え方のバランスを取ってストレスに上手に対応できるこころの状態をつくる。うつ病治療において、認知行動療法は第一治療選択のひとつで、軽症の状態に対しても適用が推奨されており、幅広い対象に適用が可能だ。

うつ病の特徴として、活動が低下し、自室等に引きこもり、反芻を繰り返すことでネガティブな気分が悪循環するという傾向がある。認知行動的な観点に立てば、うつ状態では様々な考えや行動から、ポジティブな感情を体験する機会が邪魔されているとも捉えられる。

ジョリーグッドが発達障害者向けに開発提供しているソーシャル・スキル・トレーニングVRサービス「emou」(エモウ)は、認知行動療法の一つであり、このemouが接点となり認知行動センターの主要メンバーらと出会い、本共同研究の合意、契約に至ったとのことだ。

■本研究の内容

本研究では、うつ病患者複数名を被験者対象として、ジョリーグッドが持つ多様なVRコンテンツの中から「ポジティブ感情を喚起するVRコンテンツ」を数パターン体験させる。将来的には、VR体験中の視認行動と生体情報(バイタル測定)、アンケート評価を連携解析することで、うつ病患者の感情喚起(行動活性化)に有効な空間要素を検出する予定だという。本研究はそれにつながる開発研究で、認知行動療法とVRを組み合わせた際のさまざまな技術的解決を検討する。

さらに、これらVRの空間要素と感情喚起の相関パターンをAIによる機械学習を重ねることで精度を向上させ、VRによるうつ病評価とその疾患レベルに対する「VRコンテンツの調合」を自動化することを目指す。ジョリーグッドは、VR内の行動解析により精神疾患レベルを自動評価し、それに適したVRコンテンツを自動調合する「VR診断コンテンツ調合システム」の特許を2020年2月に出願している。

<VR診断コンテンツ調合システムのイメージ>
出典元:プレスリリース

人気記事

マツダの天才エンジニアとして知られた人見氏が本音で語るDX!Appleなど巨大テック企業が参入するなか、日本の自動車メーカーの生き残り戦略とは?

マツダの天才エンジニアとして知られた人見氏が本音で語るDX!Appleなど巨大テック企業が参入するなか、日本の自動車メーカーの生き残り戦略とは?

100年に一度の大変革期を迎えている自動車業界。そのなかで日本の自動車メーカーの行く末に「猛烈な危機感がある」と明かすのは、かねてよりマツダの天才エンジニアとして知られ、現在はシニアイノベーションフェローを務める人見 光夫氏だ。Appleをはじめとした巨大テック企業たちが自動車業界への参入をこぞって表明する今、既存の自動車メーカーが生き残りをかけて望むデジタルシフト戦略とは。ここでしか聞けない、本音が満載のインタビューです。