現在では全科の医師が参加する臨床互助ツールとなった「ヒポクラ × マイナビ」は、2015年にひとりの臨床医が自身の患者の皮膚科疾患に苦慮したことを発端に、オンライン上で皮膚科専門医に患者の症状について相談ができる診断支援サービス「ヒフミル君」(現在の皮膚科コンサルト)としてサービスを開始した。この皮膚科コンサルトについて、実際にヒポクラ × マイナビのユーザー医師はどのように利用しているのか、遠隔医療学会遠隔診療モデル研究分科会委員も務めるCMO竹村氏が、2019年4月1日~2020年3月31日の利用データを元に、傾向をまとめたという。
■利用者属性
・利用者(医師ユーザー)のボリュームゾーンは医師免許取得後10~19年目(30~40代)の医師だが、50~59年目(70代以上)からも利用されており、高齢になってもデジタルディバイスを使いこなす医師は存在していることが分かる。
・所属施設はGP(診療所)とHP(病院)でほぼ半数ずつであるが、わずかにHP勤務の医師の利用割合が高い。院内コンサルトができない環境下での使用が多いのかもしれない。
・診療科は厚生労働省が発表している「診療科名(主たる)別にみた医師数」の統計データとほぼ同じ分布となっており、人数としては内科が多いが使用する診療科の偏りはあまりないようだ。
■相談疾患の割合
・ユーザー医師から相談された症例に対し専門医からアドバイスした疾患名は腫瘍の割合が高いようだ。やはり腫瘍等に関しては、皮膚科専門医以外の医師には診断に困ることが多いと考えられる。2009年に日本皮膚科学会理事会が発表した「本邦における皮膚科受診患者の多施設横断四季別全国調査」とは疾患の構成に違いがあり、皮膚科の医師が日常診療する疾患と、非専門医のユーザー医師が直面する困難には乖離があるようだ。
「ヒポクラ × マイナビ」のコンサルトでは、専門医がアドバイスを返信する際に下記4段階の疾患の重み付け(impact revel)をしているが、レベルが「L」であることは少ない。
E:緊急(すぐに皮膚科への紹介が必要)H:深刻 M:処置・様子見 L:軽微・疾患ではない ( X:エラー)