東大発ベンチャー、IoTを活用したサンゴの人工抱卵を実現 サンゴを保護し、SDGsへの貢献を目指す
2020/7/27
環境移送技術を活用する東大発ベンチャー企業の株式会社イノカは、IoT技術により水温を沖縄の久米島付近の海面水温と同期させた完全閉鎖環境内の実験で、サンゴの人工抱卵を実現したと発表した。同時に、2020年8月からサンゴの人工産卵のための実証実験を再始動し、2021年3月、世界初の産卵時期をコントロールした人工産卵成功を目指すという。
■実験背景・目的
さらに、サンゴの生態系は大気中の二酸化炭素を吸収し、炭素を海洋に固定するブルーカーボン生態系としても注目されているという。温室効果ガスの抑制効果も期待されていることから、世界的に減少を続けているサンゴを保護し、残していくことでSDGsに貢献できると考え、2019年10月より実験を開始したとのことだ。
■実験の概要
<検証方法>
IoT技術を活用し、四季の変化をサンゴの採種元である沖縄の久米島付近の海と同期させた。水槽内では水温の調整のほか、水流をつくることで沖縄の海のような波を人工的に発生させている。本実験では沖縄産の成熟したサンゴを利用し、アクアリウム用のサンゴライトで紫外線を当てた。ライトは昼は太陽を浴びるような明るさ、夜間は月明かりに照らされる程度の明るさにすることで、水槽内の環境を沖縄の海に可能な限り近づけている。
5月中旬にサンゴを折って確認したところ、体内での抱卵を確認。その後、例年の産卵タイミングである6月中旬に、再度サンゴを折って確認したところ、サンゴの体調の悪化に伴い卵が確認できず、産卵には至らなかったという。