武田薬品、デジタル変革の加速に向けアクセンチュア・AWSと提携
2020/10/14
武田薬品工業株式会社(以下、武田薬品)とアクセンチュアおよびAmazon.com, Inc.の関連会社である Amazon Web Services, Inc.(以下、AWS)は、武田薬品のデジタル変革を加速するため、5年間の戦略的提携契約を締結したと発表した。
武田薬品の代表取締役社長CEOであるクリストフ・ウェバー(Christophe Weber)氏は、「3社の力を結集することにより、当社は、人々の健康、テクノロジー、ビジネスの成長の融合を目指して果敢に行動します。私のビジョンは、今後10年以内に、当社の従業員全員が人工知能をより良い判断の手助けとなるように活用し、革新的な治療薬や体験をこれまで以上に迅速に患者さんや医師、医療費を支払う人たちに提供できるようになることです。アクセンチュアおよびAWSとの提携により、当社がこれまで単独で進めてきたことをさらに前進させ、このビジョンを実現します」と述べている。
武田薬品は、クラウド活用を前提とした「クラウドファースト」のアプローチを採用することで、不要なシステム構築作業を排除し、より高い拡張性と信頼性を担保した安全なITアーキテクチャの構築が可能になる。また、アプリケーションの80%をクラウドに移行することで、差別化をもたらさないテクノロジーや自社データセンターの削減を進め、支出の抑制を図る。
武田薬品はデータサービスおよびその活用力の強化を通じ、ライフサイエンス分野におけるエコシステムや外部パートナーとの連携を拡大する。例えば、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する臨床研究を拡大するため、本提携では、COVID R&D Alliance向けの安全なデータ共有および臨床試験推進プラットフォームをクラウド上に5日足らずで構築。クラウドを活用しなかった場合、このプラットフォームの立ち上げには最大3カ月が必要となるという。
加えて、希少かつ複雑な疾患に罹患する多くの患者のために極めて重要で生命を救う、あるいは生命を維持する治療薬を開発する武田薬品のPlasma-Derived Therapies Business Unitでは、デジタルでつながった最先端の血漿収集センターの設立に向けて取り組んでおり、ドナーの体験と血漿採取プロセスの最適化に取り組んでいる。武田薬品では、2024年までに血漿の採取能力と製造能力を65%以上向上させる計画であり、患者にとって欠かせない医薬品の供給力の増強に向けて取り組むとともに、患者への新たな治療を加速させる。
アクセンチュアの最高経営責任者(CEO)であるジュリー・スウィート(Julie Sweet)氏は「武田薬品が80%ものアプリケーションをクラウドに移行し、クラウドファースト企業に向けた大胆な取り組みを行うことは、患者さんへの新たな治療法が加速され、従業員の皆さんの働き方に新たな選択肢を広げ、雇用を生み出し、さらにデジタル時代に即したスキルの向上につながるなど、関係するすべての方々に、継続的な利益をもたらす好例となります。武田薬品およびAWSと提携して、この壮大な取り組みをスピードと規模感をもって実現できることを誇りに思っています」 と述べている。
武田薬品は、今後3年間でデータおよびデジタル領域の専門人材を新たに数百人採用する計画だ。かつてない人材層へのアプローチを行うほか、数千人にのぼる従業員のスキル向上を図り、データのさらなる活用力とデジタル化を推進するとのことだ。