愛媛県南予地域で観光型MaaSの実証実験が開始

KDDI株式会社、南予広域連携観光交流推進協議会、四国旅客鉄道株式会社、全日本空輸株式会社、伊予鉄バス株式会社、宇和島自動車株式会社、株式会社瀬戸内ブランドコーポレーション、一般社団法人愛媛県バス協会、石崎汽船株式会社は、愛媛県南予地域の公共交通の便性向上や移動のシームレス化による観光客の満足度の向上を目的とした観光型MaaSの実証実験を2020年10月29日から12月31日の間で行うと発表した。

参加9団体は、本実証実験の実施に向けて「南予観光型MaaS実証実験協議会」を設立し、南予地域の交通機関をおトクに利用できる「えひめ いやしの南予デジタルフリーパス」を発売し、アプリダウンロードや会員登録、クレジットカード登録が不要な観光型MaaSサービスを提供する。本実証実験により、利用者はよりシームレスで簡単な観光を体験できるという。

■背景

南予地域は、日本一細長い佐田岬半島、リアス式海岸の足摺宇和海国立公園など風光明媚な景観を誇る。一方、南予地域の交通機関は、クレジットカードや交通系ICカードへの対応状況が統一されていないことや、経路検索ですべての交通機関が検索されないことなどの課題がある。また、2018年の西日本豪雨では、南予地域の主要産業である農業や商業を中心に大きな被害が出るなど、観光客の増加による域内産業の回復も課題となっている。このような状況の中、関係する自治体、交通機関、通信会社、広域連携団体が集まり、観光型MaaSを実現することで、周遊しやすい観光地づくりを行い、観光客の増加、域内消費額の向上による地域の活性化を目指すとのことだ。

■本実証実験の概要・特徴

南予地域のJR、伊予鉄グループの路線バス、宇和島自動車の路線バスが乗り放題となるデジタルフリーパスによる観光型MaaS実証を実施する。

①駅やバス車内にあるNFCタグやQRコードにスマホをかざすだけで乗り降りができるシームレスな取り組みだ。
②クラウドシステムを使うことにより、アプリのダウンロード・個人情報を入力する会員登録が不要かつ、登録済みの決済方法を使えば新たにクレジットカードの入力も不要という特徴がある。
③全日本空輸株式会社が提供する「ANAアプリ」上の「空港アクセスナビ」との連携により、観光型MaaSのデジタルチケットが購入、表示できる。
④南予地域のJRの駅にあるポスターにかざすと、周辺観光地や飲食店の情報が閲覧でき、現在地から観光地、飲食店までのルート案内を行える。
⑤交通機関の乗車、降車、観光施設の入場ごとにポイントが貯まり、ポイントは観光施設の入場券と引き換えができるなど、観光地を巡れば巡るほど、おトクになる。
⑥旅行中に災害情報、緊急情報を容易に取得できる機能や、旅行保険に加入可能な機能を有している。
出典元:プレスリリース

■南予観光型MaaS実証実験について

1.期間
2020年10月29日から2020年12月31日
※「えひめ いやしの南予デジタルフリーパス」は、2020年10月15日15時から販売を開始する。
2.展開エリア
愛媛県南予地域および松山市、広島港、呉港
(宇和島市、八幡浜市、大洲市、西予市、内子町、伊方町、松野町、鬼北町、愛南町、松山市、広島市、呉市)

3.提供サービス
(1)JR、路線バス、リムジンバスで利用可能な「えひめ いやしの南予デジタルフリーパス」を発売
本実証実験に合わせ、南予地域のJR四国の特急列車、伊予鉄グループの路線バス、宇和島自動車の路線バスが乗り放題となる「えひめ いやしの南予デジタルフリーパス」を大人6,000円/小児3,000円で発売する。また、オプション設定として、追加1,000円で松山観光港、松山空港からのリムジンバスの利用や、広島港、呉港からのスーパージェットの乗船券(別料金)も購入可能だ。他にも、内子・大洲エリアを散策できる「内子・大洲町並散策1日パス」(大人2,840円/小児1,420円)を販売する。
出典元:プレスリリース
出典元:プレスリリース
(2) アプリ不要、登録不要、接触不要なデジタルチケッティングサービスの提供
・登録済の決済手段を呼び出すことで、会員登録、クレジットカード登録をすることなく、料金の決済をすることができる。これにより、外出先でクレジットカードを出し入れして入力作業をすることなく、デジタルフリーパスを購入可能だ。
・交通機関乗車時、降車時には、駅やバス車内に設置したNFCタグにかざすもしくは、QRコードを読み込み、デジタルフリーパスを見せるだけで交通機関が利用できるため、アプリのダウンロードが不要。また、観光施設も入場することができる。

(3)交通機関の利用状況に応じたポイント交換システムの提供
交通機関の乗車、降車ごとに、「南予のりつぎポイント」が1ポイントずつ貯まる。合計4ポイント貯まると、南予地域の観光施設の入場券と引き換えが出来るポイントシステムだ。

(4)ANAアプリとの連携
・国内航空会社のアプリと連携した観光型MaaSを実現する。
・松山空港、広島空港を発着する航空券を持つ人が、ANAアプリ上の空港アクセスナビで目的地検索をすると、条件選択画面および検索結果画面に表示されたリンクから簡単に観光型MaaSサービスサイトにアクセスできる。空港アクセスナビからのアプリ内ブラウザのまま、観光型MaaSのデジタルフリーパスの購入から利用などまでが可能となる。
出典元:プレスリリース

■各社の役割

・KDDI株式会社:全体企画、協議会の幹事、観光型MaaSプラットフォームの提供
・南予広域連携観光交流推進協議会:南予9市町村との連携、域内観光施設との連携
・四国旅客鉄道株式会社:「えひめ いやしの南予デジタルフリーパス」の造成
・全日本空輸株式会社:ANAアプリ上の空港アクセスナビとの連携、域内宿泊施設との連携、GoToキャンペーンとの連携
・伊予鉄バス株式会社:松山空港リムジンバス、松山観光港リムジンバスとの連携
・宇和島自動車株式会社:域内路線バスとの連携
・株式会社瀬戸内ブランドコーポレーション:プロモーション活動
・一般社団法人愛媛県バス協会:域内交通事業者との調整
・石崎汽船株式会社:スーパージェット(船舶)との連携
<協力団体及び企業>
・国土交通省 四国運輸局:実証実験への助言(協議会へのオブザーバー参加)
・株式会社カカクコム:飲食店情報の連携
・au損害保険株式会社:旅行保険等の提供

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