小売業界の「2021年のトレンド予測」が発表

CI&T株式会社は、2021年の小売業界におけるトレンド予測を発表した。

2020年は、これまでと大きく異なる年となった。緊急事態宣言などでダメージを負った小売企業は、不安定な顧客需要に対応するため、迅速な対応が必要とされた。かつてより店頭販売に支えられてきたブランドにとって、Eコマースは生き残りを賭けた重要な生命線となっているという。

2020年の新型コロナウイルス流行拡大は、消費者のマインドセットに大きな変化をもたらした。流行のみを重視した購買パターンや衝動買いの減少、そしてBOPIS(オンラインで購入したものを、店舗で受け取る仕組み)の利用が急増するなど、オムニチャネルでの購買経路を積極的に受け入れるようになった。また、不透明なワクチンの普及状況に加えて、予測不可能な米国の選挙と英国のEU離脱が世界的に大きな影響を与えている。我々は、長らく、更なるオンラインツールの普及を、何も気にせず出かけられる日を、安定した世界的政治を待ち望んでいる。多くの不確実性に直面する中で、更なる忍耐と受容を強いられている。言い換えれば、人々は様々な新しい規範に適応し続けているということだという。

これは小売企業にとって何を意味し、2021年に向けてどのように進化していくべきなのか。同社の2021年の主な予想は下記のとおり。

1.サステナビリティ(持続可能性)の大きな飛躍
すでに多くの小売企業が二酸化炭素排出量の削減に投資しているのを耳にするが、この取り組みは、2021年も引き続き活発であると言える。コロナ感染拡大が実店舗にもたらした課題や、時折流行するファストファッションは、小売企業がサプライチェーンや流通モデルのサステナビリティを再評価するきっかけとなっている。

しかし、サステナビリティを重視しながら充分な利益率を維持するためには、企業はあらゆる角度から環境破壊の要因削減に取り組まなければならない。多くの大手ブランドが、戦略としてサステナビリティの向上を掲げているが、その過程で何を具体的に行っていくのか、内容を明らかにしている企業はほとんど無いのが現状だという。サプライチェーンのトレーサビリティ(追跡可能性)、ロジスティクスの最適化、エネルギー効率の良いデータセンターなど、テクノロジーを活用したソリューションは、多くの小売企業にとって未開拓機会のほんの一例に過ぎないとのことだ。

2.ファスト・ファッションに衰退の兆し
せっかく買った流行りの服も数週間で時代遅れになったり、SNSに同じ服を着ている写真を投稿したくないと思ったり。それが2020年からは、頻繁に集まることも少なくなり、たまにZoomで飲み会をしたりするくらいで、ファッションにスピード感を求める必要性はほとんどなくなってきている。この状況変化に伴い、サステナビリティへの関心向上と、不況による支出控えが相まって、消費者がブランドとの関係を再考するようになっている。緊急事態宣言などの影響で、多くの人が衣類の仕分けを行い、近藤麻理恵氏のように、本当に必要としているものとその理由を見直すようになった。2021年には、消費者はより慎重に購入を決めるようになり、汎用性の高い高品質な商品への購買意欲が増えていくことが予想されるという。

3.オンラインとオフラインの融合
2020年、オンラインで注文し、実店舗で商品を受け取るスタイルがより日常的なものになった。それ以前は、オンラインとオフラインの融合は、小売店や消費者にはほとんど受け入れられていなかった。しかし、今ではそのニーズが爆発的に伸びている。2021年には、小売企業がこの新たな方法を採用し、買い物客の注目を集めようとしていることから、オンライン注文&実店舗受け取りへのニーズが、これまで以上に押し上げられることが予想されるという。現在、米国では、店頭注文とアプリ注文が特に人気となっている。その結果、小売企業は、オンライン&オフライン購入やEコマースの利用顧客のために、プラットフォームにいかに付加価値を付け、より多くの体験を生み出すことを期待されている。各社のウェブサイトは、ゲーム要素やライブストリームなど、よりインタラクティブなコンテンツを取り入れることで、エンゲージメントが促進されるという。またオフラインでは、例えば駐車場でウィンドウショッピングができるようにするなど、最近話題となったドライブ・イン・シネマ(車に乗ったまま映画鑑賞ができるイベント)のように、ソーシャルディスタンスを保った新しいビジネスを生み出す機会ともなり得る。

4.期待を超えることで得られるチャンス
コロナウイルス感染拡大、アメリカ大統領選挙、そしてイギリスのEU離脱により、多くの人々が様々な我慢を強いられた。刻々と変化するワクチンの普及状況、長引く米国の選挙と英国のEU離脱宣言、そしてオンライン注文した物がなかなか届かないなど、2020年は、多くの予約注文や待ち時間があった。

2021年は、これをチャンスとできる年だという。消費者が小売企業に対して寛容になりつつある一方で、高品質かつ素早いサービスを提供できるブランドは、これまでになく高い評価を得ることになる。注文したその日のうちに荷物を受け取れることや、配送荷物を自宅まで取りに来てくれることなど、手間を省いた一貫したショッピング体験を約束できるブランドこそが、勝者となるとのことだ。小売企業は、デジタルや機械学習などによるサポート機能をより充実させて、顧客サービスをパーソナライズするとともに、配送方法をよりクリエイティブなものにすることが期待されている。

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