矢野経済研究所、「協働ロボット世界市場」の調査結果を発表
2021/2/12
株式会社矢野経済研究所は、2020年の協働ロボット世界市場を調査し、主要国の関連政策や支援制度、参入企業動向、将来展望を発表した。
■市場概況
人間が持てないほど重い物体のハンドリングや塗装、溶接など、人では難しい作業を産業用ロボットが行う一方で、協働ロボットはスクリュードライビングと力制御による曲面アイロンなどのより精密な作業を、囲い無しで人と同じ空間内で行うことが可能である。そのため、産業用ロボットと協働ロボットはスマートファクトリーの構築において相互補完的な役割を果たしており、生産自動化には欠かせない領域を占めている。しかし、米中貿易摩擦の長期化による製造業の生産低迷や、新型コロナウイルス拡大の影響による生産稼働率の低下などを背景として、2020年の協働ロボット世界市場規模は、メーカー出荷台数ベースで前年比87.9%の25,474台、同出荷金額ベースで同89.7%の898億1,300万円に減少する見込みであるとのことだ。
■注目トピック
協働ロボット世界出荷台数を導入業界別にみると、サービス業界やその他業界における構成比は、2020年23.2%から2030年には38.1%まで拡大すると予測。世界でも導入が進んでいる中国では、マッサージ物理療法や電力グリッドでの高電圧ケーブルの保守作業など、今まででは協働ロボットの導入が考えられていなかった新規応用分野での需要が増加している。また、韓国では政府主導のプロジェクトとしてチキン店、コーヒーショップ、ビール専門店などの飲食商店街やハンドメイド靴工房などにおいても協働ロボットの導入が進んでいる。日本においても、三品(食品・化粧品・医薬品)産業やサービス産業におけるロボット活用を目標とするロボット導入実証調査(FS:feasibility study)事業が進められている。
■将来展望
調査期間: 2020年9月~2021年1月
調査対象: 日本及び海外の協働ロボット関連主要メーカー
調査方法: 同社専門研究員による直接面談、ならびに文献調査併用