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Google、サードパーティCookieのサポートを段階的に終了し代替技術も使用しないと発表

Google は、昨年ChromeにおけるサードパーティCookieのサポート終了を発表。現在も、関連する業界の関係者との広い協働を通じ、匿名性を保ちつつ広告主やパブリッシャーにとって機能する新手法の構築を目指して、プライバシーサンドボックスの開発に全力を挙げて取り組んでいる。しかし、サードパーティCookieをユーザーレベルの識別子に置換する他のアドテク企業のような措置を、Googleも講じるのかという質問があるという。Googleは、サードパーティCookieのサポートを段階的に終了させた後、ウェブ横断的に個人を追跡する代替的識別子の構築をしないこと、また広告製品でこれらを使用しないという明確な方針を発表した。
他社サービスでは、たとえば個人のメールアドレスに基づくPII ( Personally Identifiable Information:個人を特定し得る情報 ) グラフのような、ウェブ横断的に広告トラッキングを行うためのユーザー識別子を提供する可能性があるが、Googleはこれを行わない。このようなソリューションは、プライバシー保護に対する利用者の期待の高まりに応えられないだけでなく、急速な厳格化をみせる規制への遵守を困難にするものであり、長期的に持続可能な投資ではないと捉えているという。その代わりに、今後Googleのウェブ広告製品は、個人の追跡防止と広告主やパブリッシャーにおける成果の実現を両立するプライバシーを保護したAPIに依拠するようになるとのことだ。

■プライバシーにおける革新こそがトラッキングに代わる有効な手段

関連性の高い広告表示という利点のために、ウェブ全体での追跡を許容する必要はないという。また広告主も、デジタル広告の高い効果を得るために、ウェブで個人を追跡する必要はないとのことだ。集計、匿名化、オンデバイス処理、その他のプライバシー保護技術の進歩により、個別の識別子に代わる技術開発の明確な道筋が見えてきた。実際、FLoC ( FLoC - 協調機械学習により生成されたコーホート) を使った最新の検証結果では、広告からサードパーティCookieを効果的に排除し、共通の関心対象をもつグループの中に個人を ”隠す” 方法を示した。Chromeは今月予定している次回のリリースで、オリジントライアルを通じFLoCベースのコーホートの公開テストを行い、第2四半期にはGoogle広告の広告主を対象としてFLoCベースのコーホートのテストを開始する予定だ。また、Chromeについては4月、新たに一般利用者向けにプライバシー サンドボックスに関する初の管理設定を提供。今後のリリースでは、さらに多くの提案がオリジントライアルの段階に入り、エンドユーザーや業界からのフィードバックを受けながら管理機能を拡張して行くことになるという。

このような技術と取り組みの進歩は、関連性のある効果の高い広告や収益化を犠牲にすることなく、利用者にとってプライバシーに配慮した、安全なウェブエクスペリエンスを実現する未来が可能であることを示しているという。Googleは、プライバシーサンドボックスを通じたウェブ広告製品の強化を約束するとともに、こうしたプライバシー関連のイノベーションの開発及び採用において、デジタル広告エコシステムに携わる者との継続的な連携を働きかけていくとのことだ。

■ファーストパーティの関係構築の重要性

企業やブランドにとって、顧客と強固な関係性を構築することは、ビジネスを成功させるために不可欠だ。よりプライバシーに配慮した世界においては、その重要性は疑うべくもないという。Googleは引き続き、パートナー向け広告プラットフォームで、パートナー企業が自社顧客と直接つながるファーストパーティの関係構築をサポートしていく。また、人々と企業やブランド、パブリッシャーとの直接的な関係を築いていくためのソリューションのサポートも強化していくとのことだ。

あらゆる人に対して開かれたインターネットを維持するために、全員がプライバシー保護の強化に努めなければならない。それはサードパーティCookieに限らず、ウェブをブラウジングする際に個人の追跡に使われるあらゆる技術の排除を意味する。Googleは、個人のプライバシーが尊重され、広告によってサポートされた幅広いコンテンツにアクセスできる活気に満ちたオープンなエコシステムの維持に、様々な業界の関係者と共に引き続き注力するとのことだ。

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