兵庫県立大学とグローリー、骨盤CT画像から骨折を自動検出するAIモデルを開発
2021/6/8
グローリー株式会社は、同社と兵庫県立大学が2019年8月に兵庫県立大学先端医工学研究センター内に共同で開設した兵庫県立大学グローリー医工学共同研究講座のグループが、人工知能(AI)を利用してCT画像から自動で骨折を検出する支援システムを開発したと発表した。
■研究背景
■研究手法・成果
製鉄記念広畑病院の村津副院長・整形外科部長らは、93名の骨盤骨折患者のCT画像に対して、骨折の位置、形状を手動でマーク(アノテーション)し、AIを学習するための学習データを作成した。グローリー医工学共同研究講座は、同学習データを用いてAI骨折検出法を提案した。
骨折は3次元的に様々な向きで形状を有す。提案法では、撮影された3次元画像から、前後左右斜めを含む9方向の断面画像を生成することで、骨折を確認しやすい断面で骨折検出が行われる。これを統合することで、3次元的に骨折検出が可能になるという。
骨折患者93名に含まれる骨折389箇所に対して、AIモデルの学習、評価を行った結果、骨折検出性能は感度(骨折を正しく検出できる割合)が80.5%、適合率(検出したものが正しく骨折である割合)が90.7%だった。さらに、骨折を有する患者93名、骨折がない112名の被験者に対して提案法を適用した結果、すべての骨折患者において100%で1つ以上の骨折を検出(感度100%)、骨折がない被験者においては96.4%で正しく骨折がない(特異度96.4%)と判定し、日常診察で非常に有用なAI診断支援となるとのことだ。