金融RADARは生活者の金融への意識や世帯における金融行動の実態を把握するため、日経リサーチが毎年実施している。今回の特別調査は、首都圏40キロ圏内の20~74歳の男女を対象に6月23日~6月28日にインターネットで実施し、3,103名から回答を得た。調査結果から一部を紹介する。
メディアでESGやSDGsが取り上げられることが増え、サステナブル(持続可能)な社会への関心が高まっている。本調査では、投資を通じて社会に貢献するESG投資の実態を聞いた。その中で、何らかの投資商品を保有している人(1,797人)を対象に、ESG投資への意識を尋ねた。
ESGとは環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字をとったもの。財務情報だけでなく、これらの要素を考慮した投資が「ESG投資」と呼ばれる。ESG投資に興味・関心がある人の割合を年代別で比較すると、20~30代が37.7%、40~50代が28.3%、60~70代が30.8%だった。若い人がよりESG投資に関心を持っていることがわかる。
実際にESGへの取り組みを意識して投資をしている人の割合を年代別で比較すると、20~30代が26.0%、40~50代が14.9%、60~70代が14.8%という結果だった。投資行動からも若い人のESG投資への意欲の強さがうかがえるという。
ESG投資に興味や関心がある人(543人)を対象に、具体的にどんな取り組みをしている企業に投資したいかを尋ねた。全体では、「気候変動への対策」「再生エネルギーの利用」など環境(E)分野への関心が高い結果となった。年代別に見ると、20~30代は「ジェンダー平等など人権への配慮」や「働きがいのある職場づくり」など社会(S)分野への関心が高い一方、60~70代は環境(E)分野が上位となり、年代によって違いが出た。
個人投資家の間ではESGの考え方が浸透してきており、投資指標のひとつとして存在感を増している。かねて取り組むべき課題として挙げられてきた環境(E)分野だけでなく、若年層で社会(S)分野への関心が高いことも注目される。ESGへの取り組み・発信をする企業や投資商品を開発する金融機関は、このような個人投資家の意識を踏まえて対応する必要があるとのことだ。