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NTTデータ、自治体やインフラ事業者の災害対策業務をトータルで支援する「デジタル防災プラットフォーム」の提供を開始

株式会社NTTデータは、自治体やインフラ事業者向けに災害対策業務をトータルで支援するデジタル防災プラットフォームD-Resilioを2021年7月30日より提供開始すると発表した。
近年、台風・大雨などの自然災害の頻発、激甚化に加え、新型コロナウイルス感染症や大規模停電など、国民の安全安心を脅かす災害は広域化・複合化している。一方、こうした災害対策を行う自治体やインフラ事業者の現場では、報告や被災状況調査などの場面において非デジタルの手段も利用されており、災害時における対応の迅速化を阻害する理由のひとつとも言われているという。D-Resilioは、災害対策業務で必要な情報収集~意思決定~応急対応の各フェーズにAIや衛星・ドローン等のNTTデータの持つデジタル技術を適用、さらに災害の広域化・複合化対策で必要となる自治体や医療機関、保健所などの関係機関とリアルタイムな情報連携により、対応の迅速化・二次災害の防止に貢献するとのことだ。

■背景

近年、台風・大雨などの自然災害が頻発化、激甚化している。令和元年における水害被害額が全国で約2兆1,800億円に達し統計開始以来最大となり、今年も熱海市の土砂災害等、全国各地で災害が続いている。また自然災害に加え、新型コロナウイルス感染症など国民の安全・安心を脅かす脅威は多様化しており、コロナ禍での避難所運営といった災害が複合化した場合への対応も求められるようになっている。現行の災害対策業務において効率化余地のある業務と、近年の災害広域化・複合化への対応で求められる対策は以下があげられるという。

・効率化余地のある災害対策業務の例
自治体が被害情報を電話、FAXなど非デジタルな形式で収集、集約する
収集、集約した被害情報がエクセルなどのデジタルデータの場合であっても、被害内容とその発生場所が連携したデータになっていないためすぐに全体での集計や地図表示できない
罹災証明を発行するため、浸水等の被害後、家を1軒1軒調査員が回って被害認定を行う
被害状況の把握のため、同じエリアに対して異なる組織の管理者が別々に調査を実施する

・災害の広域化・複合化で求められる対策の例
大雨や土砂災害の場合、流域全体の自治体の連携や土木部門と医療部門の連携といった組織を超えた連携
コロナ禍の避難所運営のような場合には保健・衛生系の組織と防災や土木系の組織が連携
市区町村間の横連携だけでなく、県や国といったより上位へのエスカレーション、上位組織が判断

■概要(特長)

NTTデータは、上述のような事例に対応できるよう、デジタル防災プラットフォームD-Resilioを立ち上げる。D-Resilioは、自治体やインフラ事業者に求められる災害対策業務のデジタル化、さらに行政やインフラ企業、医療機関などの災害対策時に求められる関係機関間でのリアルタイムでの情報連携を実現する。

特長1:デジタル技術で災害対策に必要な業務をトータルでサポート
自治体やインフラ事業者の災害対策で必要とされる、情報収集~意思決定~応急対応のすべてのフェーズにおいてデジタル技術を活用し迅速に的確な業務遂行を支援する。

(1)情報収集
衛星画像やドローンを活用し、家屋や土砂崩れ、浸水状況などを現地に赴くことなく迅速に広範囲の状況を把握することが可能だという。特に夜間や雨など状況を選ばず高頻度に撮影が可能な小型レーダー衛星を活用し、時間経過に伴う変化を把握することも可能だ。また、NTTデータが保有するTwitter全量データを活用し、被害地域付近の住民のリアルタイムの情報も収集できる。さらにHalexForesight!では、1km四方の詳細な気象情報を現在~6時間後まで予測することができこれらを組み合わせることで、災害対策業務に必要な情報収集を迅速、容易に実施することをサポートする。

(2)意思決定
収集した情報を統計的なダッシュボード表示やGISを用いた共通状況図(COP)として可視化し、ダッシュボード上のさまざまな情報分析を通して災害対策本部の科学的な意思決定を支援する。さらに現在研究中の技術として、ドローンで撮影した動画から、道路の亀裂、斜面崩壊、などの箇所を自動抽出するAIがあるという。この新技術を実際の災害対策の現場へ適用できるよう、研究開発を進める。

(3)応急対応
災害対策基本法が令和3年に改正され、現在では市民は警戒レベル4までに必ず避難することが求められる。このため、自治体から住民に向けた避難情報のスピーディーな伝達やさまざまな方法で市民にもれなく伝達する必要がある。NTTデータの保有する減災コミュニケーションシステムでは従来の屋外スピーカ、タブレット端末に加え、伝達率の高い住民所有のスマートフォン・携帯電話の端末や、SNS・HPなどとも連携し、一度の操作で多様な伝達手段へ一括して情報を配信し、作業負担の軽減と確実な情報伝達の両立が可能だ。

特長2:他システム、関係機関と簡易に連携可能
D-ResilioはAPI等の各種連携インターフェースにより既存の災害対策関連システムや、広域災害救急医療情報システム(EMIS)、県の総合防災情報システムとの連携など、災害対策時に必要となる関係機関間での情報連携を支援する。例えば土砂崩れがあった場合に、都道府県、市区町村、国の出先機関、電力等のインフラ企業、損害保険会社などがこれまで個別に行っていた現地調査も、先行実施した組織が被害調査結果を共有することで他の組織の調査の代替も見込まれる。
出典元:プレスリリース
・連携ユースケース例
D-Resilioのソリューションを連携させ、以下のようなユースケースが実現可能だという。

「行政」×「インフラ企業」組織間連携による迅速なインフラ復旧
大雪による倒木等により電力や通信等が不通となった場合に、行政とインフラ企業が情報連携し、被災・要復旧箇所の情報を共有することで、インフラ復旧に必要な道路を優先的に除雪を行うといった対応が可能となる。

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